ステ振りの王様

高戸

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11話 電化製品を作ってみよう『冷蔵庫』

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 エリスを国民にしたのは良いが、シロナの一件のせいで心からの信用は置けていない。
 エリスだって、俺の事をいつか裏切るのではないかと気が気でならない。

 俺とエリスは現在、建国予定地を目指して歩いている。今は2日目なので最悪の場合後3日はかかるだろう。

 AGLに振り分けて進むとエリスを置いて行きそうなので、自重している。

「ネイト、もっと急いだほうがいいと思う」

「そうか?」

「うん、食料もそこに、目的地に着いて少しの間しかもたない量だから、それまでに生活基盤を作るべきだと思う」

 生活基盤か、確かに自給自足は必要だし、隣国と貿易をすると考えても何年先になるか解らない、ならばやはり俺の使える職業能力をフルに使って建築と畑作りと、やらなければいけない事は山ほどある。それに人員は今のところ俺とエリスだけだからな。

「よし、急ぐか」

「うん」

 エリスが、両腕を俺に差し出してくる。

「どうかしたか?」

「ネイトが、私を抱えて走った方が早い」

「そうかもしれないが」

 これは男子高校生的に完全にアウトだと思うんだが。それにエリスに【変換師】の職業の事は話してないのだがなんで解るのだろうか?


 なんて言える訳も無く、俺の方が先に折れた。

 ピコン♪
________
AGL+650
________

「着いたね」

「ああ、あの岩が目印の遺跡の入り口だから間違いない」

 5時間ほど少しの休憩を挟みながら走ると目的地に着くことが出来た。俺の目指していた場所は獣人国と人間国の境、国境の部分だが、目印になるものが1つある。

 洞窟が1つあるのだ、更に川にも面していて非常に生活基盤としても有効な位置取りだろう。
 洞窟はデカい岩に空いた大穴がそのまま地下への通路として続いている。

 俺たちは洞窟探索に来たわけではないので、取り敢えず周りの木を【伐採】を使い切って行く。

 エリスには鍛冶師の能力で作った斧を渡しているので、それを使って切って貰う。

 切った木はそのまま加工して木材にする、それを俺の家(予定地)に運び、一定量が溜まったところで建築のスキルを使い一気に組み立てる。

 木材加工は、鍛冶師の精錬と同じ様に原木が光り輝いて加工済みの木材に早変わりした。

 一件目の家なので立派な物にしたい。

 そこら辺に転がっている石を鍛冶師で加工して鉄骨のような使い方をして頑丈にする。
 屋根の瓦も作って、沖縄風の家を目指す。窓は此処へ来る途中で討伐した芋虫の魔物から運+600でドロップした大量の糸を使い網戸を作る。流石に開け閉めは出来ないが十分だろう。


「凄い、建築なんて大工でも2日はかかるのに」

 いや、2日も十分、異常だろ。加工や組み立ても俺のイメージによって材料さえあれば簡単に作る事が出来る。今回は石とか糸とか使ったから非常に時間がかった。AGLに振って作業したから早いだけだ。

「よし、次はエリスの家だな」

「要らない。私もここでいい、よ?」

「いや、男女の寝床は分けるべきだろう」

「じゃあ今日だけ、私の家は明日作って、今日は先に食料問題を解決させるべきだと思う」

「食料か、そうだな。でも今日だけだからな」

「うん」

 食料と言ってもここら辺にあるのは、りんごみたいな実が生ってる木と、後は川で魚とりぐらいしか思いつかない。

「果物はともかく、魚は保存に向かないと思う」

 保存か、考える事が多すぎる。

 冷蔵庫が有ればな、楽なのに。



 冷蔵庫?……作ればいいじゃん。


 【魔力回路作成】【魔石加工】、魔石に電池とエンジンの働きをさせて魔力回路で命令を出せば、行けるか?

「魔道具って魔力回路で作るんだよな? エリス、どうやるか知ってるか?」

「魔力回路は基本的にいくつもの魔力的な線を繋いで何個も命令を重複する事で、大体は2パターン~4パターンの命令を実行させる。そして魔法的な効力を生み出せる、はず」

 基本的には電子回路に近いけど、決定的に違うのは魔力の線による命令だ。電子回路の場合はプログラミングで作る部分を概念の固定化で補い、さらに概念を繋げる事で魔法的効力を発現させる『魔道具』と呼ばれる物が製作できる、ってところか。

「なら、魔力の線って言うのはどうやって作るんだ?」

「魔力の線は見えないけど、私たちの周りに存在している、魔法使いもそこから魔力を受け取ることで魔法を使っている」

 って事はだ、無線と同じで電波のような見えない何かが回路と回路を繋ぐ線の役割をしているってことか、なら線は必要ないが、この魔石からこっちの魔石へってのはどんな条件で決まってるんだ? 電波のように周波数が有るのなら解るが、空気中の魔力に種類があるとは考えにくい。

 となると、答えは概念の固定化による受信魔石の設定。

「やってみるか」

「え?」

 まずは余りの木材で冷蔵庫サイズの箱を作り、その裏に魔力回路用の空間を張り付ける、更に冷蔵庫と同じ原理で冷却するには、小型のファン(プロペラ)は必須だ。

 クーラーや冷蔵庫の基本的な原理は、気体を圧縮してそれを放出する事で周りの温度を奪い、冷却する。
 これに尽きるのだ。ただ、気体を圧縮する際に高温の気体が発生する。
 それをファンで外に逃がしている訳だ。

「ネイト?」

 ファンと冷蔵用の空間の間に魔力回路用の魔石を設置するスペースを作って、魔石一つに出来る命令の数は大さによる。ゴーレムの魔石は3つで芋虫は2つだったから。

 地球温暖化の勉強をした時に習ったのだが、まさか役立つ日が来るとは。

 魔石通しを無線でつなげるため、命令の1つは『一番近くにある魔石との接続』にして、2つ目3つ目の命令で冷蔵庫の仕組み通り『空気圧縮による液化』と『次の魔石へ液体を移動』で、2つ目の魔石にも『一番近くにある魔石との接続』で最初の魔石から液体を受け取り、『液体を冷蔵庫の中に送る』という命令を書き込む。

 芋虫の命令数が2つなのでゴーレムの魔石と芋虫の魔石でちょうど命令の限界だ。

 これ少し無理矢理すぎるか? もう少し試行錯誤するか。

「…ネイト?」

「うーん、無理に魔石を接続させる必要は無いか、じゃあ魔石を独立させて。それからパイプで液体が通る場所を作って、そこの蓋を作ってその蓋にもう1つの魔石で、命令は『温度感知』と『一定の温度以上になったときに蓋を1秒開放する』って所か。 だがこれはプログラミングの方が楽だな、勿論プログラミング言語が解らない俺には不可能だけど」

「ぷろぐらみんぐ?」

 最後の仕上げに、ファンから出る熱気を吸収する『一定以上の温度吸収』の命令を書き込んだ魔石を作って設置する事で、

「『木製エコロジ―冷蔵庫』完成!」

「そろそろ私にも、教えて、ほしい」

「ああ、っておい! なんで泣いてんだ!?」

「だって、ネイトが意地悪して、私の話聞いてくれないから、ううー」

「いや、意地悪じゃ無いって、俺の男子高校生てきな探求心が悪いんだ!!」

 うん、何言ってんだ俺。

「ごめん、今度からは説明してから作るよ」

「うん」

「それよりこの箱開けてみて」

「え?、わかった」

 木製冷蔵庫1号の開閉式だな。うむ。

「冷たい? これ何なの?」

「これは、冷蔵庫って言って、食べ物を冷やして保存するための物だ」

「冷やして保存、………なるほど?」

「まあ取り敢えず、果物をもいでこの中に入れて置いて朝の朝食にでもすれば、どれだけ凄いか解るよ」

「うん、じゃあそうする」

 エリスの好感度が明日上がってくれればいいけど。

 裏切られないように。


 この日は芋虫の糸で作った即席のベットで2人で寝た。
 ここで裏切られたら俺は確実に殺されるのに、恐怖は余り感じなかった。





後書き
クーラーの説明に着いてですが、解りやすく例えるなら消毒アルコールで手を拭いた時にスーっとする原理と同じです。
これ以上の説明は自分には出来ないのでウィキペディアさんを見て下さると解るかと思います。

地図も、お粗末とは思いますが置いておきます。
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