ステ振りの王様

高戸

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15話 勘違いと森探索

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 ご飯を食べた後は、少しの休憩を挟んで森に行こうと思う。

 畑を作って芋などの野菜を栽培するつもりだったが、芋自体が1つも手元に無い状態での栽培は無理があるだろう。回復魔法で成長促進を促うながすにしても元となる物は必要だ。

 そして問題がもう1つ。
 トイレだ。

 人数が増えたため、このままトイレを作らなければ衛生上良くない。
 そしてトイレをどうやって作るかだが、異世界ならではのスライム式を採用しようと思う。

 スライムは、どんなものでも吸収して体の一部に変換する能力を有している。更に、スライムは排泄機能がなく、蓄えられた物はスライムに余すことなく吸収され一定の量を超えると分裂するため、コスパがすごくいい。

 スライムを5匹ほど魔物使いの能力で捕まえて分裂させようと思う。



「それじゃあ休憩も済んだし、そろそろその貰った権利を使おうかな」

 俺がそう呟いた瞬間にアリア、シリアとエリスが俺の方に勢いよく向き直った。

「今からですか?」

 そりゃ昼の方がいいだろう夜は危ないと思うし。それか「今日は嫌だ」みたいな事か? シリア、流石にそれは無理だぞ畑はともかくトイレは急ぎたい。

「お姉ちゃん?」

「大丈夫だから、アリアはあっちに行っててね」

「いや!」

 なぜかアリアが泣きそうになっている。俺としてはアリアにも来てほしいのだが、犬の能力って便利だろ。多分。

「我がまま言わないで、ね?」

 え!? なんでそんなに目に涙溜めてんの? 森の探索手伝ってもらうだけだぞ?

「ネイト、本当にするの?」

「俺としてはアリアにも手伝って貰いたいんだが?」

「それはダメです!」

 そんな勢いよく断らなくても、まあ小学生ぐらいのアリアに働いてもらうのは良くないか。

「じゃあさっさと外行くぞ、エリスも来るだろ?」

「「外?」」
「お外でするの?」

 エリス、シリアの疑問にひとテンポ遅れてアリアが訪ねて来た。

 そりゃ森に行くからな、あ、まだ労働の内容話してなかったけか。

「森に行くぞ」

「森っ!?」

 いや、森嫌いなの? 獣人でしょ? いや見た目で決めるのは良くないけど、青ざめすぎだろ。

「え? 虫とかダメだったりするのか?」

 でもこの2人獣人国から来たって事は森を越えてるはずだよな?

「いえ、虫は苦手ですが、ダメというわけでは無いです」

「あのさ? なんでそんなに怖がってるんだ?」

「いや、森ですよ!? 普通じゃないですよ!? 何言ってるんですか!?」

 テンション上がったね。


 そうかこれはあれか、なんか勘違いしてる?

「お前ら、なんか勘違いしてないか?」

「「「え?」」」

「俺達は今から森に探索に行くんだぞ!?」

「探索?」
「たんさく?」
「え?」

 いやなんだその反応は。

「そ、そうですか探索ですか、いいですよね探索」

「お前ら…」

「いえ、はい。ごめんなさい」

「(良かった)」

 エリスが何か言ったか? 聞こえなかった。

「ほえ?」

「取り敢えず、森の探索だ!! お前らの勘違いは不問にするからさっさと支度しろ」

「ひゃい」
「うん」

 はあ~。

 やっと森の探索が行える、そういえばアリアって嗅覚が凄かったりするんだろうか?

「アリアも行くか?」

「行く」

「よし、じゃあみんなで行くか」




 えーっと人選は、まずは俺とエリス、それにアリアとシリアだろ、後はノームの魔物使いが2たりと、その上位のテイマーが1人だな。

 ノーム達はいろんな職業に別れていて適材適所がしっかりすれば生産系以外も優秀だな。

 結果7人の大所帯になったけど、まあ余り強い魔物は出ないらしいので大丈夫だろう。いざとなればトイレと作物で班分けすればいい。
 獣人とノームの仲の悪さも問題かもしれないし。


 森は西にある、獣人国に近づく事にはなるが、この辺りは人間と獣人の不可侵領域だろうから誰もいないはずだ。

 森は山よりも近くにあるので今日中に帰って来ることも可能だろう。




 思った通り森へは1時間ほどで到着した、俺はステ振りを使っていないから使えば10分もあれば着く距離だ。

「じゃあスライム捕獲班と食材確保班に分かれるぞ」

 班分けは、しなくてもいいかとも思ったがノームと獣人の仲が悪すぎる。

「ノーム達はエリスとスライム捕獲だ、獣人2人は俺と食材集めだ」

「うん」
「「「了解じゃ」」」
「「はい」」

 エリスは【剣士】でBランクなので魔物に襲われてもノーム達を守り切るくらいは出来る。




 エリス達と別れて直ぐにアリア嗅覚は発揮され、色々な食材が見つかっていく。ちなみの毒は俺の鑑定で見分けがつくので安心だ。

「こっちには薬草とマナくさが有りましたよ」

 ファンタジーな草もかなりある。

 この森はかなりの年月誰からも手を付けられていないようで、食材の宝庫になっている。マジックバックを持っていないエリスを獣人2人とペアにしない理由は鑑定とこれ(マジックバック)だ。

「あ、あそこに生えてるのって解毒草じゃない?」

 アリアが指さしたのは崖の真ん中に生えている紫色の草だった。

「解毒草か、欲しいけどあの高さは届かないんじゃないか?」

 と言った時には、すでにシリアが足を折り曲げて、ちぢまっていた。

「よっと」

 と、言って一気に跳び上がり解毒草をもぎ取って元いた場所に着地した。

 いや、兎の跳躍力なんて比較になってないぞ! あいつ兎じゃ無くて鳥の獣人じゃないのか!?

 今跳んだ高さは5mは確実に越えてる、獣人って思ってた以上にやばい?

 それからは日本でもなじみのある食材が結構な数確保できた。

 目的の芋に始まり、やまぶどう、きのこ、ミカン、かぼちゃ、イチゴ、エンドウ豆、サトウキビ、と他にもかなりの野菜が見つかっている。ちなみに名前は鑑定した結果日本と同じ物だった。

 トマトやピーマンなどが見つかった時には、これって森で取れるのか? とも思ったが知らないし気にしない事にした。

 さて、続いてはファンタジーな物についてだ。

_______________
薬草 レア度2

備考 食べると体力が回復するがと
にかく苦い。通常はポーションなど
に加工してして使う。
_______________

_______________
マナ草くさ レア度2

備考 食べると精神的苦痛が和らぎ、
魔法を使う際に必要なエネルギーを
補給できる。苦いためポーションな
どに加工して使う。
_______________

_______________
解毒草 レア度 5

備考 毒にならなんにでも効く。
麻痺、睡眠、精神異常も毒に入る
ため、万能薬に加工して使用する
事で状態異常をほぼすべて無効化
する。
_______________

_______________
白霊長の卵 レア度4

備考 料理人でもCランクは越えな
ければ、調理出来ないとされる食材。
味は絶品でどんな料理にしても合う
と、言われている。
それに加えて高さ6m幅2mも有る
巨大な卵のため持ち運びにはマジッ
クバックが必須とされる。通常は祭
り事などの大人数で食べる事が多い
_______________

_______________
シェルナイト レア度3

備考 貝の魔物が死んだ後に残った
貝殻が長い年月と共に魔力を吸収し
て、鉱石化した物、魔力を通しやす
い性質を持つ。
鉱石としては二流品だが、鉄と同程
度の硬さを誇り、魔法武器などを作
る際に使われる。
_______________

 の5種類が今日手に入れたファンタジー素材だ。これでも2時間ほどしか探索していないので、次に来た時に新たな素材が見つかる可能性も低くは無いだろう。

 収穫は上場、エリス達との待ち合わせ場所に行くと、大量のスライムに囲まれた4人を発見した。

 5匹以上捕まえて来てくれ、と頼んだのだが、何故か15匹以上は居る。

「ネイト、お疲れさま」

「ああ、それより、このスライム何匹居るんだ?」

「19匹…」

「俺は5匹以上と言ったよな?」

「うん、大量!!」

 いや、そのいい笑顔止めてくれ。うん大量だな、いいな。これから分裂してネズミ算式に数が増えると思うと、頭痛が!。

「ネイト、他にもシェルナイトが5個と薬草とマナ草が少し取れたよ」

 採取にも目を向けてくれたのか。そこは流石だ。

「ああ、よくやった。それは俺のマジックバックに入れて置くな」

「はい」

 と収穫した物を手渡してくれたので、マジックバックに放り込んでおく。

「じゃあ、帰るか」

「「はーい」」
「うん」
「「「あい、わかった」」」
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