月夜の晩に

ラプラス

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王都、再び

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 「…と言うわけで、明日から王宮で行儀見習いとして働いてもらうから☆」

 ベッドの上でテヘペロするラルフさんに、アデルは悶えているが、こちとら2週間の移動生活にげっそりして、そんな反応を返す余裕はない。
 それに、誰がお見舞いに行ってこんな展開になると予想できただろうか。いや、きっと絶対に誰も予想できなかっただろう。
 ってゆうか、本人元気じゃん!ムッチャ元気やん!
 一応足首釣り下げられて腕に包帯巻いて入るけれども!


 「リ、リーゼ?何も顔で感情表現しなくても…」
 「…やります」
 「え?」
 「行儀見習いやりますから!その代わり、ラルフさんは怪我完治させてくださいね!」
 「は、はい」
 「ふふ…」
 「あ、ランディ!」
 「リーゼ、久しぶり。元気そうだね。…よかった」
 「?ランディどうしたの。私ならほら、ピンピンしてるよ」

 口角を無理やり上げてみるが、引き攣って余計に見苦しい笑顔(?)に…。

 「無理して笑わなくてもいいんだよ。リーゼもアデルも、長旅で疲れたでしょう?侍女達に湯浴みの準備をさせてあるから、お風呂にゆっくり浸かってくるといいよ」
 「ありがとう」

 その日はお風呂に入ってさっぱりした後、そのまま寝てしまったらしい。




 そして次の日…。
 リーゼはランディと王宮の長い廊下を歩いていた。

 「ね、ねぇランディ」
 「ん?なあに?」
 「さっきから考えてたんだけど、その格好ってもしかして…」
 「お仕着せだけど、何か問題あるかな?」
 「いや、問題はないんだけど…。もしかしてランディ、今の今まで王宮で侍女をしていたの?」
 「そうだよ~」

 ケロリとあっさり答えられ、ちょっとポカンとしてしまう。

 「ランディ強いから。私てっきり騎士様になって剣を振り回してるのかと思ってた」
 「えー⁈何それ物騒だなぁ」

 そういってケタケタ笑うランディ。
 その様子に少しホッとした。

 良かった。ランディは昔と何も変わってない。

 「ところで、私たちどこに向かっているの?」
 「あれ、言ってなかったけ。今日からリーゼがお世話する王女様のところだよ」

 サラッと簡単に言ってしまったランディ。

 「え…?」



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