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亡国王子、五体満足になる
しおりを挟む亡国の出涸らし王子アールツナイ、無事五体満足になりました!わー、ぱちぱちー!滑舌はまだ完璧とは言えないけどかなりまともになった。ペロペロ我慢した甲斐があったよ…めっちゃ苦しかったし痒かった。あれからしばらく俺を抱き上げようとするフィアツェンさんを拒否して、侍女頭のロッテンマイヤーさんとか家令のセバスティアンさんに運んでもらった。2人ともまだ若いんだけどおじいちゃんとおばあちゃんみたいだ。ちゃんとフィアツェンさんに「メッ!」ってしてくれた。フィアツェンさんの周りってさあ、リンクさんとレヒトさんを筆頭にイエスマンばっかりなんだよね!貴重だよね、こういう常識人。
フィアツェンさんも何が嫌だったかちゃんと意思表示したらごめんなさいしてくれたので和解成立。手が禁断症状みたいにワキワキしてたので仕方なく抱っこ再開。それでもフィアツェンさんがお仕事中は歩けるようにリハビリ兼ねてお屋敷……というか要塞?の中だけウロウロして良いことになった。
お屋敷は仕事場も兼ねてて、俺のおやつの時間とお昼ご飯の時間にその辺にいる誰かが回収してフィアツェンさんの書斎に連れて行ってくれる。三食とおやつ2回はフィアツェンさんと食べる約束だからだ。俺も舌と歯が生えてきて硬いものが食べれるようになった。歯は子供の歯だったから抜かれても普通に生えて来るんだったんだけど……ねえ?(遠い目)
今日のお昼ご飯はお肉焼いたのと固いパン。朝ごはんもお肉焼いたのと固いパンだった。きっと今日の夜も同じメニューなんだろう。小学校の家庭科で栄養学を叩き込まれるヒノモト人。元ヒノモト人としてはお野菜とかも食べたいところです。あとお味噌汁。お米。お米食べたいよお米。明治の車夫さんは玄米ご飯、味噌汁、お漬物か梅干しで筋骨隆々だったってドイツのお医者さんが言ってたらしいし?そういや俺がフィアツェンさんに移動中に食べさせてもらってたのってなんだろ?甘くも辛くもなくて……っていうかほとんど無味無臭のトロッとしたなにか。ブルブル…きいちゃいけない気がする……。
固いパンはほんと固くて、フィアツェンさんが俺の口に入るように砕いてくれるんだけど、毎回バキバキ!とかいう食べ物にあるまじき音がするんだよね…。それを口に入れて、俺にだけつけてもらってるホットミルクで口の中でふやかして食べる。……うん、普通に大人の歯に悪い気がしてきた。
ねえねえ、一花姉?パン酵母とかここって作れる世界?
心の中で聞いてみると『大丈夫よ~!私も食べたぁい♡』って返ってきた。ふむ。それじゃ作りますか。
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