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亡国王子、温泉を堪能する 1
しおりを挟むゴンザレスに揺られて数時間。辿り着いた温泉は本当に温泉だった。あれ?言葉おかしい?でもすごいんだ、温泉旅館だ。ヒノモトの武家屋敷みたいな作りで、それでいてどこか『外国人がヒノモト文化を勉強して作りました!』的なチグハグ感。いやー、いいんだよ?良いんだけどね?なんで鳥居に狛犬なんだろうね?あと竹灯籠がかぐや姫出てきそうなほどビッカビカの七色に輝いてるんだけど?
ツッコミ役はどこだ。俺は言えない。だって頑張ってるもの…。
「どうだ、アールツナイ?」
キラキラのドヤ笑顔のフィアツェンさん見ちゃったらさらに言えない。うーん、これはこれでいいとおもうよ?多分ね?
フィアツェンさんに抱っこされたまま温泉旅館を進んでいく。靴を脱ぐシステム。板張りの廊下。懐かしいい草の香り。なのに何故西洋甲冑が飾ってある?和洋折衷にも程がある。着物なのかメイド服なのかわからない中居さんがニコニコ笑って案内してくれる。どうやら泊まる部屋についたと思ったら大広間だった。
違う。そうじゃない。
「何か違うんですね、アールツナイ様?」
「愛らしいお顔の眉間に、フィアツェン様と同じ皺が。お揃いですね」
「ちっやああああああう!」
フィアツェンさんの腕の中でジタバタ暴れた。うん、俺、やっぱりお子様アールツナイくんに引き摺られてるね。
ふうっ!落ち着け。落ち着けアールツナイくん。仕方ないんだ。異世界なんだ。
「おーぷんするまえに、けいかくしょをみせてください。たてものというより、ちょうどひんです」
ふんす!と鼻息を荒くする。フィアツェンさんがでれっとしながら俺に頬擦りした。
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