【異世界大量転生5終】辺境伯次男は鬱展開を全力で回避する

とうや

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不倫発覚からの白紙の誓約書



突然だが、俺、グレン・ナイトレイには異世界で生きた前世がある。

日本国という平和そうで平和じゃない軍事国家で、一市民として生きていた。満員電車に毎日揺られ、かと言って異世界転生者にありがちな社畜ではなく、ほんっとーに標準的な国民だった。

楽しみは、帰宅してからのゲームと酒と美味しいもの。

コンビニ飯や外食も好きだったが、自分で酒のつまみを作って、デイリーワインを一本空けて。酔っぱらいの勢いでVRゲームという、なんとも平凡な人生。

人生終了のお知らせは、満員御礼駅のホームに突き落とされたという何とも締まらないエンディング。


ああ、話が逸れた。

その前世じじつを思い出したのは、この王国の公爵令嬢だった嫁との結婚式の最中だった。


あ…やっべ。これ、俺のやってたVRMMORPG『ブレイブリー・ドーン』のメインストーリーじゃん…。


誓いのキスは塩っぱかった。

ゲームの通りに進むのなら、俺、中ボスじゃん?ラスボスにもなれない中途半端なやつじゃん?しかも、回復を駆使してくるめんどくさいボスの割には、対策さえきっちりやってりゃ余裕で周回してた『闇の聖者グレン』じゃん!?ジャンジャン落とすドロップする『聖者のコア』は錬金術のスキル上げに最適で、前世のゲームでは即売り払ってそれはもう稼がせてもらった。

その闇の聖者グレン。彼は闇堕ちの前は勇者パーティーの回復役だったが、愛する妻を寝取られて殺されて、災厄の『闇の聖者グレン』として蘇り王都を地獄に叩き落とす。つまりは友達の勇者に討たれるというお涙頂戴のメインストーリー。


えええええええ…。悪いの嫁と浮気相手の王太子じゃね!?


『ブレイブリー・ドーン』はとにかく理不尽な胸糞展開が多かった。泥沼のような王国で神託により勇者として選ばれた村人アルヴィンがその中で足掻き成長していく物語だ。冒険者であるプレーヤーは度々そのアルヴィンと偶然出会い、共闘するストーリー展開。


……っていうか俺いまグレンだけどな!


許可なく部屋に踏み込むなど…!とか喚いている王太子殿下?この屋敷さあ、俺の屋敷でしかもここ俺の書斎兼研究室なんだけど?お前たちがズッコンバッコンやってたベッド、俺の仮眠用なんだけど?

ああ、よかった。大事な研究資料は実家に置いといて。まさか王都の俺の屋敷で好き放題されてるとか。しかも絶対誰も入れるなって言ってた俺の部屋で。執事もメイドも全部解雇してこの屋敷売り払おうか。いや、更地にしようかな…。そうだもうめんどくさい更地にしよう。


「……………ダリル、を出してくれ」

「…は」


白紙の誓約書は、文字通り好きに書き込める誓約書だ。この国では一般的になりつつあるが、これも俺の発明。


「どうして…?帰ってくるのは明後日じゃなかったの?」


汚嫁様よ、わざとズラしたんだよ気付けよ。


「マーガレット、君、俺が何で君を抱かずに『白い結婚』をしてたか考えてなかったのか?を知っていたんだ。俺が嫉妬に狂って王国に弓引いたりしたら、ナイトレイ辺境伯領は王国に大きな貸しを作ることになる。俺を殺して、腹の子はナイトレイの子だって言って俺の実家食い荒らすつもりだったんだろう?ああ…もしくは兄上の妻にでもなる気だった?」

「………っ!!」


キッと睨まれるが怖くない。兄ちゃんの無言の視線の方が100倍怖い。正直チビりそうになるくらい怖い。さすが『ナイトレイの魔王』。








「さあ書け。『エグバード・ドーンの名において、マーガレット・ナイトレイとグレン・ナイトレイの婚姻の解消を要請する。エグバード・ドーン及びマーガレットは』」







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