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木の洞からの幼馴染みの特権
普段、動揺なんかしないジェラルドの、あの困惑した目が頭から離れない。
……仕方ない。弟だと思っていた者の中身は、ばけものだったんだ。
もう……無理だ。楽しかったな。幸せだったな。こんなばけものでも、好きだって言ってもらえて ーーー 嬉しかったな。
さて、どうするか。
私はぼんやり爪先を見る。
同胞の元に身を寄せるなんて有り得ない。いつまた私は《唯一》の支配を受けるかも知れないのだ。だったらまた、砕いてばら撒いて………ああ、だったらこの体は始末しなければ。
3人の顔が浮かぶ。
ごめんなぁ…と、俺が呟いた。
くしゅん…。
「…………?」
「……あ、グレン?考え事終わった?」
「………レイ…?」
「うん?他に誰がいるのさ、こんなイケメンが」
「あ……いや、なん、で…?ここに…?」
木の洞の外。レイモンドが立っていた。
「なんでって…、言ったでしょ?僕はグレン以上にグレンを知ってるんだから。グレンが逃げ込む先なんかお見通しだよ?」
いつからそこに居たのか。木の下に居たにも拘らず、ぐっしょりとレイモンドは濡れそぼっていた。
「……違う。違うよ、レイモンド。どうして来たんだ」
「泣いてるグレンを追いかけるのは幼馴染みの特権だよね?」
話が……噛み合わない…。
「………ねえ、グレン?こんなことくらいで、僕は諦めないよ?」
ひたりとレイモンドの冷たい手が、私の頬に触れた。
「レイモンド、私は ーーー ばけものだ」
「……うん。普通じゃないっていうのは知ってるよ?さっきの人たちもすごく怖かったしね?でも、グレンはグレンでしょ?」
「……お前を…食らうかもしれないぞ」
「ふふ…グレンのお口で噛まれて血肉になるの?素敵だね?」
い か れ て る 。
そうだ。《ちいさきもの》の脳は度々エラーを起こす。求愛が高じて相手を殺したり、餌になりたがったり。
あー…えーと……なんだろう。段々と馬鹿馬鹿しくなってきたぞ?
「大体ね、グレン?普通の人間が大神デウス様を顎で使う?」
「…う……」
「魔法陣もね?あれ、普通読めないよ?異世界の『げぇむ』とかのものかと思ってミナさんにも聞いたけど、見たことないっていうし」
「あー…」
「詰めが甘いんだよね、グレンは」
返す言葉もございません。
「ジェラルド様も勇者くんも。ちょっと覚悟が足りなかったみたいでびびってたけどね?まあ、すぐ慣れるでしょ。君の『嫁』だもん」
蕩けるような表情をして、レイの顔が近付いてくる。
「逃さないよ?やっと手が届くところまで追い詰めたんだから」
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