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裏切り者からのゴールイン
「………!?」
「えっ…!?」
「…………」
テッド兄ちゃんとペリウィンクルだけだけ要求したら、ウィスが弾かれたように顔を上げた。
「え…?え?あ、あの……?グレン様、1500枚だと…その………」
私は?そう唇だけが動く。
「3人分払うが、裏切り者はいらない。好きにしたらいい」
「グレン様!?」
わかんないと思ったのかなあ。お前、呪いの残滓がぷんぷんじゃん。
「なあウィス?お前がテッドを呪わせるためのマーキングしたんだろ?じゃないとこれだけ強力な呪いをピンポイントで……って無理だろ。店に呪いとか弾く結界張れる魔道具あるの知ってる?まあ、量産品だから弱いんだけど、接客で手が触れたとか商談で顔合わせたとかじゃあ呪いをかけるなんて普通は無理なんだよ。で、サーチしたら……お前に臭いが移ってんだよなあ?性根の悪い呪臭が」
「…………っ」
「まあ私のものに触れた阿呆は個別に呪い返ししておくけど。でも、もうお前は要らない。レイが泣いて助命を申し出たってお前は要らない。ひとつ許すと前例ができる。お前が二度と裏切らないと許しを乞うても。ここで許して誓約で縛ってお前が二度と裏切らなくても。お前以外の誰かが「ああ、その程度で許されるのだ」と認識すると規律が規律でなくなる。いつかそれは私の愛する妻たちを害することになる。そんな些細なことで瓦解したハーレムは五万とあるんだ。 ーーー だからレイに泣かれても恨まれても、私と俺はお前を赦さない」
「グレン様…!!聞いてくださいグレン様!!私は…私は脅されて……っ!」
「脅されて?ふーん?親?兄弟?恋人?まさか自分の身が危ないから?だからテッドを身代わりにしたんだ?じゃあやり返される覚悟もしてたよな?私がお前を呪ってもいいんだな?安心しろ。簡単には殺さない。ありとあらゆる苦しみを味合わせてやるよ」
「ヒッ…!あ、ああ……!!あああああああああああああああああ!!!」
悲鳴のような呼び声も、もはや心に響かない。あー…、怖くてレイの方見れない。泣いてるかもしれない。きっと俺は今醜い顔をしてるんだろうなぁ……あー、あー、あー……もう!
「……地竜《璈》」
《はい、こちらに。我が君》
地響きとともに関所の外に地竜が現れる。地竜ってのは便利だね。龍脈を辿ってどこにでも行ける。
「私の預けておいた金をあちらに差し上げろ。こういう平べったいやつ。……うん、そう。それ。それを1500枚」
まあ本当はインベントリに1500枚くらいは入ってる。だって生産職だもん。お金持ちだぜえっへん。でも敢えて地竜に取り出させた。金を眺めてウフウフ笑う趣味の地竜はコレクションが減って不満そうだが。っていうかそれ預けただけだぞ《璈》よ。横領、ヨクナイ、ゼッタイ。
ジャラジャラと。交渉人たちの頭上からドーン金貨が降り注ぐ。気丈にキュッと唇を引き結んだままだったペリウィンクルが、テッド兄ちゃんの腕を掴んでこちらに向かって引き摺り始めた。
「……っ、う…うん…っ!うんっ、…しょ!…ぅう~……!!お…、重…っ………!!」
「ペリウィンクル、ゆっくりでいいから。ゆっくり!テッド兄ちゃんの肩が抜けそうwww」
「くっ…!こっ、この熊!お、おもっ…!おもい!!重いんですよおおおおグレンさまぁぁぁあああああっ!!」
「が…がんばれwww君ならイケる!」
「いけないいいいいいい…ふんっ!ぎいいいいいいいいい!!!」
ホントはもう少し重いんだけど、少し重量軽減を掛けてやってる。それでも100キロはあるんだろうなぁ。昏き森の民にはちょっと辛いかな…。
呆気に取られていた交渉人と関所の衛兵、それにウィスが再起動しても《璈》が睨みを効かせてくれた。ほんの数メートルの移動だけど、ペリウィンクル嬢、見事ゴールインです!お疲れ様!
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