132 / 153
春告ノ歌
しおりを挟む暦の上での冬が終わる。
北の大地であるナイトレイの冬はまだまだ続くのだが、今年からは私の領地だ。
私の勝手にさせてもらおう。
雪祭り最終日。
今年は凍死者餓死者も出ない、とても良い年だった。
私は歌う。春告げの歌を。
さあ目を覚ませ。
麗しの大地よ。
豊穣の領土よ。
微睡みの冬が終わる。
鳥よ歌え風よ歌え陽よ降り注げ芽吹け命よ。
愛しき世界よ。
愛すべき世界よ。
歌え。芽吹け。歌え。起きよ。歌え。芽吹け。歌え。芽吹け。芽吹け。芽吹け。
歌え。歌え。歌え。歌え。春が来た。歌え。歌え。踊れ、大地よ。
舞いながら歌う。春を告げる豊穣の歌。
瞬く間に雪が溶けてゆく。
樹々に、足元に花が咲き乱れ、色の洪水が起こる。
麗しの大地。愛しき私と俺の領地。
ああ…、こんなにも、世界は美しい。
そっと腹を撫でる。
ずっとずっと。この美しい大地が、世界が。
続くためならば、私は
ーーー 喜んで礎になろう、と……思う。
応援ありがとうございます!
21
お気に入りに追加
3,381
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる