【異世界大量転生5終】辺境伯次男は鬱展開を全力で回避する

とうや

文字の大きさ
152 / 153

最終話



あんなに大事おおごとになったってのに、俺は生き残った。



あのあと。

視界が真っ白になって、






んで。

目が覚めたら《久遠》とベロチューしていた。噛んだけど。蹴ったけど。

食い散らかされた『グレン』の体と、《オリジン》の本体の方は、「えっ?あれなんだったの?」って言うくらい治ってた。

夢かと思ったけど、《久遠》に襟首掴まれてジタバタギャーギャー言ってる《唯一》があれは現実だと肯定する。

ベロチューで貰った魔力は「第一世代3柱分の魔力だ」って《久遠》がドヤ顔で言ったから、「えっ?一眞とも粘膜接触したの!?」って訊いたらすっげえ嫌そうな顔してた。ほんっとお前刹那一筋なんだなあ…。

ジタバタ暴れてた《唯一》は、俺が抱っこすると大人しくなった。あれぇ?噛み付いてこないの?おかしいなあ???見た目は赤ん坊だけど、中身は……ホラ、ねぇ?

食われてから再生した部分は見事に服がなかったから、《久遠》の羽織を奪って解決。手袋と靴と、襟と袖とズボンの切れっ端って格好じゃ結界から出れない。出たら死ぬ。死因は羞恥で。マッパより恥ずかしい。


結界から出たら、死にそうな顔した嫁たちと、これまた死にそうな顔した見知った奴ら。駆け寄った嫁たちを押しのけて刹那が抱きついてベロチューかましてきた。……ねえ、お前と《久遠》って、チューまでは浮気じゃないとか?いや、わかってるよ。魔力うめえ。でも嫁が怖いからそろそろ離して。

で。

離してもらったら腕の中に赤子。うん、察するよね。

「うわぁ!グレンのちっちゃい頃そっくりだあ!」なんて言って手を出したレイの指がごっそり消失するというハプニングがあった。瞬時に治癒したからほとんど気付かれてないけど。痛みも血も出る前に瞬間治癒。元聖者なめんな。

新《唯一》は、どうやらまるっと記憶を失って、ガツガツ食った俺を親だと認識しているらしい。それってどうなの?で、俺以外が触るとめっちゃ怒る。あんなに(顔だけは)大好きだっただろう《桜座》さえも威嚇する。それってどうなの!!??

……おかしいなあ。第一世代わたしが産んで、第二世代と同列に扱わせるのが復讐だったのに。さぞや屈辱だろうとワクワクしたのに。蓋を開ければ俺に従順なだけの猛獣赤子。うん、やべえ。天上の御方々、回収お願いします。


世界は急速に広がっていく。


供給の止まっていたエネルギーチカラも正常に流れ出した。《唯一》という電源ケーブルが正常になったおかげだろう。

新《唯一》はユイと名付け、とりあえずグレン・ナイトレイの第一子として登録された。嫁たちがソワソワしてるが2人目は産まん。今度は何が出てくるか恐ろしい。だって時折神託めいた声が聞こえるんだもん。「楽しそうだから私の依代も作ってくれないかな?」とか……。お断りだ(ブルブル)


ドーン王国はもうガッタガタだったけど、予定通りというかなんというか、やっぱりマクシミリアンが戴冠した。城ごとセドリック王も王太子も消えてなくなったからね。

で、ドーン国王マクシミリアン1世になったマクシミリアンは、恐ろしいことに俺の嫁になった。

 ーーー は???意味がわからない…!

ナイトレイに併合されるためのお飾りかと思ったらホントに初夜までやった。もちろん兄ちゃんたちの前で。ニコニコしながら「私はさほど性欲は強くないので月に一度ので構いませんよ?」とか言いやがった。やめてマジやめて。泣いてる子もいるんですよ!(ここに)



ブレイブリー・ドーンという物語が終わる。



引っ掻き回して変えまくった悲劇の運命は、多少はマシになったのだろうか。誰も彼も助けたいなんて思わない。残念ながら俺は勇者でもヒーローでもないからだ。

けど、俺の好きな人たちが笑顔でいれる。そんな優しい物語になっただろうか。

やっとよちよち歩き出したユイを抱いて。丘の上から夕日を見せる。

黄金に輝く麦畑。夕陽に照らされる領地。夕餉を作る家の煙。家路を急ぐ男。農道を走っていく賑やかな子供たち。


ユイ。これがお前が守っていく世界だ。


愛して、守って、慈しんでいく世界だ。美しいだろう?

嬉しいなあ、楽しいなあ。なあ、ユイ?

俺の悪戯は成功したかな?


愛し子ユイが笑う。無邪気に。嬉しそうに。


願わくば










この世界が、お前にとって愛おしく美しいものであるように。






















感想 36

あなたにおすすめの小説

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。

人気アイドルの俺、なぜかメンバー全員に好かれてます

七瀬
BL
デビュー4年目の人気アイドルグループ「ECLIPSE(エクリプス)」に所属する芹沢 美澄(せりざわみすみ)は、昔からどこか抜けていてマイペースな性格。 歌もダンスも決して一番ではないはずなのに、なぜかファンからもメンバーからも目を離されない存在だった。 世話焼きな幼なじみ、明るく距離の近い同い年、しっかり者で面倒見のいい年上、掴みどころのない自由人、そして無言で隣にいるリーダー——。 気づけば、美澄の周りにはいつも誰かがいて、当たり前のように甘やかされていく。

【完結】逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。抱かれたら身代わりがばれてしまうので初夜は断固拒否します!

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
隣国の国王キリアン(アルファ)に嫁がされたオメガの王子リュカ。 しかし実は、結婚から逃げ出した双子の弟セラの身代わりなのです… 本当の花嫁じゃないとばれたら大変! だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだんキリアンに惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった

cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。 一途なシオンと、皇帝のお話。 ※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。

ストーカーから逃げ切ったのも束の間、転移後はヤンデレ騎士団に殺されかけている現実!

由汰のらん
ファンタジー
ストーカーから逃げていたある日、ハルは異世界に召喚されてしまう。 しかし神官によれば、どうやらハルは間違って召喚された模様。さらに王子に盾ついてしまったことがきっかけで、ハルは国外追放されてしまう。さらに連行されている道中、魔族に襲われ、ハルの荷馬車は置き去りに。 そのさなか、黒い閃光を放つ騎士が、ハルに取引を持ちかけてきた。 「貴様の血を差し出せ。さすれば助けてやろう。」 やたら態度のでかい騎士は、なんとダンピールだった。しかしハルの血が特殊だと知ったダンピールはハルを連れ帰って? いっそ美味しい『血』(治癒)と『体液』(バフ)と『癒し』を与えるダンピール騎士団のセラピストを目指します!

悪役令息物語~呪われた悪役令息は、追放先でスパダリたちに愛欲を注がれる~

トモモト ヨシユキ
BL
魔法を使い魔力が少なくなると発情しちゃう呪いをかけられた僕は、聖者を誘惑した罪で婚約破棄されたうえ辺境へ追放される。 しかし、もと婚約者である王女の企みによって山賊に襲われる。 貞操の危機を救ってくれたのは、若き辺境伯だった。 虚弱体質の呪われた深窓の令息をめぐり対立する聖者と辺境伯。 そこに呪いをかけた邪神も加わり恋の鞘当てが繰り広げられる? エブリスタにも掲載しています。

処刑される悪役令息に転生したらなぜか推しの騎士団長がグイグイ近づいてくる

猫に小判
BL
交通事故で死んだはずの会社員・田中悠人は、気がつくとBL小説『恋と陰謀~はじまりは夜に~』の世界に転生していた。 しかも転生先は、原作で処刑される悪役令息エリオット。 当然そんな未来は回避したい。 原作知識を頼りに慎重に立ち回るつもりだったのに、気づけば王宮を揺るがす事件に巻き込まれていき――。 さらに困ったことに、原作で一番の推しだった騎士団長ガイウスがやたらと距離を詰めてきて……? 平穏に生きたい元悪役令息と、過保護な騎士団長がじれじれ距離を縮める話。 ガイウス(騎士団長)×エリオット(元悪役令息)