公爵令嬢は奪われる 〜悪役にならなかった公爵令嬢が辺境伯に嫁ぐまでの話〜

とうや

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閑話

第三王子は失恋する3


私がローズマリーを取り巻く現実に頭を悩ませていると、生徒会メンバーが慌てて私を呼びに来た。

ローズマリーがアンジェを殴って大怪我をさせた、と。

医務室のアンジェは、片頬がひどく腫れ上がっていた。

歯が ーーー 折れたらしかった。

はらわたが煮えくりかえる。

治癒魔法師の到着を待たずに私はローズマリーに怒鳴り込んだ。

「お前は私の愛がアンジェに注がれているのに嫉妬してったのだろう!」

そう責めた。

青くなって謝罪してくるのだろう。そう思っていたのに……ローズマリーは鼻で笑ったのだ。

「盗人猛々しいとは この事ですわね。それに もう貴方様との縁は完全に切れていますのに、婚約者気取りも大概にしてくださいませ。……震えがくるほど気持ち悪いですわ」

「………!?」

何を言われたのかわからなかった。

それは生まれて初めて浴びた、明確な侮蔑だった。

二の句が継げない私を残して、ローズマリーは立ち去った。

ようやく現実に戻った私に、遠巻きにしていた男子生徒がおずおずと教えてくれた。

何を思ったか、アンジェがローズマリーの指輪を無理矢理 奪おうとした、と。

あの……指輪か…………。

何を考えている、アンジェ!?あれはきっと…………。

私は治療を終えたアンジェに何故そんなことをしたのかと聞いた。

アンジェは

「キレイだったから!」

と朗らかに笑った。

……私には、アンジェが言葉の通じない化け物に見えた。
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