側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。

とうや

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セオドア様が「やっといて」と言ったのですもの

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さて困りました。王太子殿下のお仕事って、肩書きだけは陸軍元帥なのです。騎士団とか近衛とか、その他諸々を統括なさるお仕事。お飾りですけど。

けれど、セオドア様が「やっといて」と言ったのですもの。何かありますね?

軍事はさっぱりわからないので、お父様に専門家はいないかとお伺いしたところ、なんとセバスが出張してきました。


「ほっほ、これでも若い頃は軍師などやっておりまして」


わあ、セバスがとっても頼もしいです。

通常業務はアリサや侍女軍団が良い感じに回してくれるようになりました。わたくしは確認してサインするだけ。空いた時間にセバスの『お嬢様でもわかる軍の健全運営講座』を受け、「実際に見てみましょう」、とルネライト王国軍を調査すると……あらあら、まあ…。出ます出ます不正の数々。賄賂、横領、裏口入団は当たり前、暴力事件に婦女暴行。被害は城下にも及び、苦情と陳述書は握り潰されておりますね。わたくし、正義漢ぶるつもりはございませんが、王家の印象は良くしておきたいものです。


「お嬢様、は迅速に、徹底的に、ですぞ?鼠一匹逃さぬつもりで下準備を致しましょう」


わあ、セバスがちょっと怖いです。


「セバス師匠せんせい、一斉摘発後の空いた穴はどうしましょう」

「良い事に気付きましたね、エマ


くすくすと2人で笑い合います。あら?ケイレブがちょっと引き気味ですわ?


「城下の警邏の半分は冒険者を使いましょう。お嬢様の狗にSランクが居ましたね?」

「Sランクというとニックか鬼哭丸ですね。鬼哭丸は境界地域で武者修行中ですから、ニック……そうですね、ニックなら多少は王都冒険者ギルドに顔が効くでしょう。それに騎士を養うより冒険者を日雇で雇った方がお安くなりますね」

「あとは警備体制の見直しを。仕事と言いながら詰所で遊んで、いざとなったら出動も渋る騎士など要らんでしょう」

「あらあら、まあ。手厳しい」

「騎士団だけではなく荒事あらごと専門の部隊も必要ですな。この国の騎士とやらはぬるすぎる。今この国が戦争になれは目も当てられぬほど食い荒らされますぞ?私なら兵を1万ほど貸していただければ、5日…いえ3日で制圧してみせましょう」




制圧しないでくださいませ。











******************************************

裏設定

セバス本名、セバスティアーノ。元はエマの祖父の狗。『シーグローブの狗』は主人あるじが死ぬと殆どが殉死するが、セバスはエマの父親にスライドして仕えた変わり者。とある戦闘国家の軍師として仕えていたが、エマの祖父が傭兵として率いた軍に負けて捕虜に。そのまま『シーグローブ』自体に惚れ込んで仕え始める。多分80代のお歳。彼と同年代のプリムローズは彼の名前を聞くと舌打ちするほど有名だった。

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