6 / 49
03 滅びたらいい!
しおりを挟む無骨な黒鉄の馬車に瑞穂ごと転がり込む。
血塗れの俺と、多少汚れた瑞穂を見ると、なにも訊かずに御者は全速力で馬車を走らせ始めた。
おお…すげえ。スプリング効いてる。………スプリング?
……んー…まあいい、後から訊こう。
「借り上げていた屋敷で馬に乗り換えます。レスト様、乗馬はお得意ですか?」
「『レスト』が乗れてたから大丈夫だろうが……あっ、それと俺の名前は刹那ね」
「セツナ、様……」
「うんうん、そうそう。名前まで奪ったら可哀想だろ?」
「…………」
居場所を奪われ存在意義を奪われ、その上名前まで俺が奪ったらなんか可哀想だし。
瑞穂がウルウルと瞳を潤ませながら俺を見ている。うん、可哀想だもんなレスト。だがすまんこの体はもらった成仏しろ。
それから俺たちは馬に乗り換え……って、おいこら待てこれ軍馬じゃねえか!?でけえよ!案の定、体が覚えてた俺はすんなり乗れたが、瑞穂は横乗りで走るのか?速度でねえぞ?
……そんなことを思った時期が私にもありました的な?
瑞穂は制服のまま、ヒラリと跨った。
そう、跨ったのだ。
ちょ……パンツ見えちゃうだろうが!?見ちゃうけどね!
その時の俺の気持ちがわかってもらえるだろうか?
ワクワクしながらパンチラを期待したのに、瑞穂は事もあろうにスカートの中にショートパンツを履き込んでやがった!ガッデム!滅びたらいい!スカートの中にパンツ以外を履く女子なんて!
「行きますわよ主人様!!」
え…。なんだそのアルジサマって……。
ブヒヒン!と葦毛の馬が嘶く。
応援ありがとうございます!
12
お気に入りに追加
688
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる