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03 滅びたらいい!

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無骨な黒鉄の馬車に瑞穂ごと転がり込む。

血塗れの俺と、多少瑞穂を見ると、なにも訊かずに御者は全速力で馬車を走らせ始めた。

おお…すげえ。スプリング効いてる。………スプリング?

……んー…まあいい、後から訊こう。


「借り上げていた屋敷で馬に乗り換えます。レスト様、乗馬はお得意ですか?」

「『レスト』が乗れてたから大丈夫だろうが……あっ、それと俺の名前は刹那せつなね」

「セツナ、様……」

「うんうん、そうそう。名前まで奪ったら可哀想だろ?」

「…………」


居場所を奪われ存在意義を奪われ、その上名前まで俺が奪ったらなんか可哀想だし。

瑞穂がウルウルと瞳を潤ませながら俺を見ている。うん、可哀想だもんなレスト。だがすまんこの体はもらった成仏しろ。


それから俺たちは馬に乗り換え……って、おいこら待てこれ軍馬じゃねえか!?でけえよ!案の定、体が覚えてた俺はすんなり乗れたが、瑞穂は横乗りで走るのか?速度でねえぞ?

……そんなことを思った時期が私にもありました的な?

瑞穂は制服スカートのまま、ヒラリと跨った。

そう、跨ったのだ。

ちょ……パンツ見えちゃうだろうが!?見ちゃうけどね!

その時の俺の気持ちがわかってもらえるだろうか?

ワクワクしながらパンチラを期待したのに、瑞穂は事もあろうにスカートの中にショートパンツを履き込んでやがった!ガッデム!滅びたらいい!スカートの中にパンツ以外を履く女子なんて!


「行きますわよ主人様!!」


え…。なんだそのアルジサマって……。




ブヒヒン!と葦毛の馬が嘶く。







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