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レーヴァンシュタインの悲劇【聖女視点】
ガタン、と急に馬車が揺れた。えっ…なに?どうしたの?馬車が止まった…?沿道のみんなも不思議そうに見てるわ。私は手を振るのをやめて前を見た。
道の真ん中に黒い影があった。ゴスロリみたいな黒いドレスを着た女の子だ。顔は真っ黒なベールで見えない。
「……なに?どうしたのよ!?」
「い…いえ、その……こ、子供が……」
「子供くらい轢いてもいいわ!だって私は聖女だもの!」
「……はっ!」
王様と聖女の道を阻むなんて!死罪よ死罪!死んじゃえ!
馬車が再び進み始めると、「殺せ!」なんて声も上がってるわ。死は娯楽よ。みんな嬉しそうに声を上げているじゃない。お金持ちそうな小さな女の子が血塗れの挽肉になるなんて……ああ、なんて素敵な悲劇なの!?
「……そう。それが今のこの国なのね…」
ぽつりと女の子がつぶやいた。肩に流れる、緩やかな赤毛。血のように真っ赤な……まるで…
女の子がベールをゆっくりと捲り上げる。紫の……瞳。王家の…
ーーー レーヴァンシュタイン王家の、至高の紫…!
「……っ…???ロゼ…マリ、ア……!?」
「お久しぶりね、『ヒロイン』さん?」
「……あっ、あんた…!まさか!?アンタも転生者なの!?アンタがシナリオを壊したのね!?アンタが…!!」
「いいえ、シナリオ通りよ…」
「なにいって……」
私はヒュッと息を吸い込んで。
シナリオ通り。
そんなはずない!全ての障害を排除して、攻略対象全員の好感度を100%にして……逆ハートゥルーエンドの先のルートは、幸せしかない!だってもう一つの『バッドエンドルート』は……
……全員、じゃない………
ルーカス様が、いない。ルーカス様が………
「さて?始めよっか、姉さん」
いつのまにか、ロゼマリアの横には男が立っていた。……おかしいわ。あれは攻略対象のレイジーンじゃない!?魔女だったロゼマリアの汚名を雪ぐために暗部に入って……私に愛を囁いたチャラ男じゃないの!?どうして…どうして抜刀するの?どうして………
ロゼマリアがこくりと頷く。
「魔王陛下の名の下に、このゴミどもを排除しろ」
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