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【宰相視点】私と陛下と狂犬と大金貨
しおりを挟む「……で?幾らで売っていただけます?」
ニコニコと。天使の皮を被ったなにかが笑う。テーブルの上には大金貨が堆く積み上げられ、屈強な黒軍服の男たちがさらに金貨の入っているであろう箱を抱えて控えている。
エイリック・アーミテイジ。ルネライト王国の双子王子の忠犬。懐刀。または『シーグローブの狂犬』。宗教画に描かれていそうな美しい顔。けれどその中身はまごうことなき異常者で軍人だ。
国王陛下の顔色はすでに髪の色を通り越して土気色。私も似たような顔色なのだろう。
この異常な忠犬は、大量の大金貨を積み上げてとあるものの売却を迫っている。売れと言われれば我が国は『是』と頷くしかない。だが真意がわからない。それに彼の双子王子が所望のものは王国にとって取るに足らぬものと、彼らがいずれ手に入れるものだから尚更わからない。
「これ以上だと予算オーバーなんですよね。……ま、その時は諦めますよ?交渉は」
ひぅ!と引き攣ったように陛下が息を吸い込んだ。金で方が付かなければ武力で押し入る気なのだろう。だが、何故……
「さほど要らないものでしょう?ね?」
トントン、と要求したもののリストをエイリック・アーミテイジは指で叩いた。
「売ってください。トーマ家の姉妹、レアとニナを。さあ、サインを」
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