【7人の魔王4】転生したら最弱の村人で、拉致監禁暴行のフルコンボからの略奪婚(物理)されました。

お義父さんのダンジョン作り

お野菜ダンジョンをお義父さんが作ってくれることになった。千早の住居の下。バベル上から二番目の、紅葉さんたちが事務とかのお仕事してるとこらしい。


「千早、俺、ここから出るの初めてかも…！」

「あァ？ソうだったカ？」


千早に抱っこされて移動する。なんというか、千早は俺を膝に乗せたり抱っこしたりが好きだ。最初は恥ずかしくて逃げてたんだけど、千早がすっごい残念そうにするから「ちょっとだけね？」がずっとこんな感じに…。ご飯も食べさせてくれるし、魔王って種族はこれが普通って言うから…。


「ちー……監禁は良くないよ、監禁は…」

「独占欲強すぎ…」

「まあ閉じ込めてないと心配ではあるよねえ…」


んむ？


みんなでゾロゾロ歩いてやってきたのはおっきな扉のあるとこだった。うっ…汗と血と色んな臭いが……


「えい」


神官様に習った《浄化》をかける。千早はパチパチと目を瞬かせて、俺の頭を撫でてくれた。恥ずかしいけど嬉しい。役に立ったよね、俺？


「ほお…聖龍の血族……真祖だから息子、か。よくもまあ、あの一番貧弱で脆い聖龍の血筋が今日こんにちまで生き残っていたものよ」


せいりゅう？むすこ？あ……俺の今世の親のこと？

俺のお父さんは神官様だって思ってたけど、俺がホントは卵から生まれたのは聞いたことがある。えーと、なんだっけ？教会でお祀りしてるなにかがパッカーンと割れて……うん、なんかそんな感じ？


「ではダンジョンを創ろうか！」


ぐにょ…とお義父さんが手をついた壁が歪んだ。ぐにょぐにょ動いた壁に扉ができる。3メートル近いお義父さんがちゃんと通れるくらいの大きな扉。ゴウーンと音がして扉が開いて、お義父さんを先頭にみんなで中に入っていく。中は広い洞窟みたいになってて真っ暗だった。


「ふむ。まずは明かりか」


ぽぽぽ…と壁に明かりが灯っていく。洞窟はどこまでも真っ直ぐに続いていた。


「うわあ、親切設計www」

「どこまで行っても真っ直ぐのダンジョンかあ…。これなら子犬ちゃんとちいちゃんのデートコースにいいかもね？」

「いや待て、真っ直ぐって逆にどっちが出口かわかんなくなんねえ？」


口々に千早の兄弟の人たちが言う。


「次に麵麭パンか」


えっ…


めきょ！とコミカルな音を立てて木が生えた。えええええ！？

大きな木の中心に、本当にパンがなってる…。しかもいい匂い。ちょっとヤシの木に似てるかなあ。


「マて、親ジどの！ぱンはきニなラナい！」

「えっ…じゃあどうやってこの世界に存在するんだ！？」

「小麦粉こねて焼くんだっけ？」

「そうか、小麦粉の木か！ならば何か袋に入れて成るようにせねばな」

「違うよ！なんで！？あんたたち一応創造主だろ！？《世界記録ライブラリ》でわかるだろ！？」

「小麦粉の袋が木に成るってどういうビジュアルなの…」

「すげえ！親父、うちにもパンの木作って！！」







カオスである。