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王都編
冷たい視線と新しい護衛
詫び家にはすでに使用人が配置されていた。使用人60名、護衛10名。……うん、ごめん。そんなにいらない。給料も馬鹿にならないし、何より知らない人間にテリトリーをウロウロされるのは性に合わない。
「給与は大公家から出すし、身元は貴族だよ?」
それでかぁ~……
並んだ使用人の目が冷てぇのなんのって…。完全に俺のことをラドの愛人だと思ってやがる。田舎の元没落貴族が自分とこの主人を誑かしたとか思ってんだろうなあ…。
んーんんー…んー……
「すみません、全員不要です」
「えっ!!??」
一番若そうな護衛が声を上げた。若そうっていうか若い。前世でいうと中坊くらいじゃねえ?
「えっ…いや……いやいやいや、待ってくれ!いや、ください!!困ります!俺、親父に言われて来たんですよ!?それなのにいらないとか…っ!?」
ほーらね?躾のなってねえ犬も紛れ込んでんじゃん。でも俺はあえてそいつと目を合わせない。無作法者とは喋らなくて良いってリサから教育されてるし。だってこいつ、発言の許可取ってないよね?俺とラドの会話に割って入って来たよね?王兄の言葉を遮るって国王陛下か王妃殿下、あとは今は亡き上王陛下くらいじゃないか?
案の定、ラドは笑みを深くした。ウワア……怖え…!!
「エルマー・ゲージ。君の父親は大公家の寄子だ。彼は何と?」
「殿下が誑かされないよう見張ってこいと言われました!」
うーん、正直者!馬鹿のほうの。
「……だ、そうだ。リオ?」
そこで俺に振るのかよおおお!?ほら見ろ!ティグレの機嫌が急降下中じゃん!
「僭越ながら申し上げますと。こんな子供に王兄殿下が誑かされるとは思えませんがね?それに殿下にも 」
「ラド、だろう、リオ?」
「えー…あー……ラドルファス殿下……ああ、はい、ラド、殿下ですね。ラド殿下にも、私にも選ぶ権利というものがありましょう」
なんでここで愛称で呼ばせるかなあ!?妥協してファーストネームで読んだら笑みをさらに深くするし!折衷案で殿下付き……ほら見ろぉおお!みなさんムッとしてらっしゃる!ティグレや、君はなんで「当然!」とばかりにドヤ顔なんだい?
あー!もう!!面倒くせえ!!
「とにかく!いりません!必要ないです!!ここに住むならプレンダーガストの領民を雇って連れて来ます!寝てる時にグサっとやられたり、大事な情報抜かれたり、そういうのを心配しなきゃいけない生活って無理です!!安地がないような極限状態に長く置かれたら、敵意のある人間が背後に立っただけで殺す自信があります!!」
「嫌な自信だ」
くつくつとラドが笑う。
「……ではリオ、彼だけを残そうか。エルマー・ゲージ。彼は『ニホン』からの『贈り人』だよ。仲良くできるんじゃないかな?」
ニホン?知らねえなあ。仲良くできる気がしねえ……。
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