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王都編
四公爵との茶会
茶会の場所は大公邸だった。
「おはようリオちゃま!ばあば寂しかったわ!」
まるで何年も会ってないかのようにメアリーばあちゃんが出迎える。……あれ?メアリーばあちゃん、別れたの昨日の夕方だったよね?
「メアリー様、そのくらいで……四公がお待ちです」
俺をハグして放さないメアリーばあちゃんに、アイザックさんが申し訳なさそうに告げる。「ああん、もう…」とか可愛らしく拗ねるばあちゃん。なんだこれ、可愛いな!?
「リオちゃま、今日のお茶菓子はお城の菓子職人のものですよ。たくさん食べて頂戴ね」
おう。たくさん食べて目方を増やさなきゃな!
空は晴天。風はほとんどなく、まさに小春日和だ。これがもっと北のプレンダーガストならめちゃくちゃ寒いだろうが、ここは王都。……あー、プレンダーガストの屋敷はどのくらい出来上がっただろうか。リサやセバスたちは寒い思いをしていないだろうか。領民たちは寒いからと風呂に入らないなんて不潔な奴らはいないだろうか。……いそうだな。あいつら、労働者は汚れるんだと何回言っても聞きゃしねえ。帰ったら速攻チェックしに行かないと。
庭の一角に大きめのテーブルが設置されていた。すでに集まって座っているオッサン爺さんども。いやもうほんと、お疲れ様です。
「ああ、待ってましたよリオ。さあ、座りなさい」
「は。失礼します」
うーん。先日の披露目式にいなかった顔ばかりだ。あ、でもなんとなくわかるぞ?服の微調整とかエステっぽいことされてた時に、アイザックさんが延々と貴族の家柄、特徴、どこに領地があるか、どういう職についてどういう性格なのか、どの派閥なのかとか朗読してくれたもんな。
黒いローブの短杖を持ったオッサンがシャーロック公爵。魔導師団長。中立派筆頭。
髭クマ筋肉の爺さんがグローヴス公爵。元騎士団長で、現騎士団長の祖父。国王派筆頭。
ちょび髭カールの痩せたオッサンがプリッドモア公爵。大聖女アンティエーヌの父親。神殿派筆頭。
ふっくらして人が良さそうな爺さんがマクファーレン公爵。王妃イヴリンの父親。王妃派筆頭。
そしてラドが王兄派筆頭……っていうか本人で………いない派閥といえば第一王子派閥くらいだろうか。第二王子派閥は王妃派閥と合併してるらしいし。
「お招き頂きありがとうございます」
リサに習ったボウ・アンド・スクレープ。よしよし。我ながら上手く出来たぞ。最初の陛下の謁見では、空腹と疲労のあまりつい軍隊式でやっちまったからな。
「ふむふむ。なんと可愛らしい勇者殿であろうか。ささ、お座りなされ。甘い菓子も塩気のある軽食もありますぞ?」
「新鮮な胡瓜のサンドウィッチもいかがかな?」
「いやいや、男ならやはり肉であろう!王妃殿下の考案された『かつさんど』もあるぞ!」
「それより魔力量を測らせてください!実は賢者の塔から魔力測量器を持ち込んでいるのです」
「ちょ……シャーロック公、それって持ち出し禁止…」
「いいえ!賢者の塔では私が一番偉いのです。なので私が法です」
「始まったぞ…この不良魔導師め…!」
「プレンダーガスト侯爵はこのような大人になってはなりませんぞ?」
「陛下にプレンダーガストレッドの装飾品を献上したと聞くが、どうだろう?私にも何か作って貰えないだろうか?もちろん金に糸目は付けない。…実はもうすぐ妻の誕生日で……」
高位貴族の上澄の人たちだからと身構えたのに、めちゃくちゃ構われた。まるで親戚のおっさんたちのようだ。今生の『親戚』は最悪だったけど。
っていうか、派閥違うのに仲良しだなオッサンたち!?
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