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学園編
忘れていた瘡蓋を引っ掻かれるような
「……おお、リオ。来ていたのか?今この肉便器に情けをくれてやったところだ」
ニヤニヤと笑いながら、さも今気付きましたよ、といったふうに第一王子が笑った。えー、コレって「キィー!くやちい!うわきものぉ~!」とか言わねえといけねえやつ?こいつの絶対の自信はどこから来るんだろう。
「……はー、良い趣味をお持ちで?」
「ふっふっふ、褒めるな。何も出ぬぞ?」
褒めてねぇわエロガキャア!キメェんだよ!!なんで!俺の名前呼びながらエルマーとホモセックスしてんのかなあああぁぁぁぁ!?!?
「時にリオ…」
「あっ、俺のことはプレンダーガストとお呼びください」
「………(チッ)…プレンダーガスト、其方、この肉便器と友であったらしいな」
「……………は???」
「どうだ?かつての友が、この私の寵愛を受けている。思うところはないか?」
「おもうところ…」
首を傾げる。トモ?トモダチ?友達?どこに?誰が???エルマーが?第一王子の言葉はわかるんだが理解ができない。……いや待て。エルマーで考えるからいけないんだろう。友達、友達……えーと、なんだ?前世の悪友たち…北篠や南里、西ノ宮が、いけすかねえ男に突っ込まれてりゃ………そりゃあブチ切れるだろうけど…。エルマーだしなぁ?
「特にありません」
「なぁっ!?」
「……っ!リオ…!」
よくわかんねえなあ?なんでエルマーが俺の友達だと勘違いしたんだ?そもそもこの世界で友達とかできてねえ。まじで。『友達』として掠るかなー?と思うのは飲んだくれの錬金術師と、文通友達の大聖女くらいか。お…俺、友達少なすぎィ!!
「……りお…リオッ…!なんで?どうして?」
「なんでって言われても…」
「リオ……た、助けて、くれよ……なあ?お、おれ…う、売られてっ……酷い目にあって…」
「ああ。そういう刑罰だろ?」
「刑罰って…!俺はっ!冤罪で陥れられたんだッ!あの王兄に!!嵌められたんだ!実家に!!俺は…!俺は悪くないのにッ!!!」
「…………」
はーん?そういう感じ?
こいつ、2年もこんな生活してるってのに反省の『は』の字もないわけね?それどころか、何が悪かったのか。どうしてこうなったかなんて思いつきもしねぇ。『ニホン』って国の道徳はどうなってやがる。
「エルマー・ゲージ」
「……しんじて…信じてくれよ、リオ…!」
「なにを?」
「え……」
「お前、自覚してんの?なんで俺がお前に『リオ』って呼ばせなかったか。なんで試作品盗んでんのに咎めなかったか。なんで王兄殿下がお前ごとエルマー家とその指示役を嵌めようとしてんのに教えなかったか…とか」
「リ…リオ…?」
「お前の罪状を確認したけど酷ェもんだったよ。器物破損、恐喝、婦女暴行、詐欺に横領、傷害致死。挙げ句の果てに反社会組織と連んで王族への傷害。裁判じゃあ、裁判長に促された謝罪の言葉もなかったってなぁ?」
「あっ…あれ、は!あの婆さんが王族なんて知らなかった!!普通の使用人の婆さんだと思った!嵌められたって言ってんじゃん!!なんでわかってくれねえんだよ、リオ!!」
ーーー 2年前。手のひらから血を流していたメアリーばあちゃんを思い出す。とっくに忘れていた瘡蓋を引っ掻かれるような。そんな感覚に眉を顰めた。
「物を壊したのもちゃんと家が弁償したって!恐喝っていうのもちょっと口止めしただけだし。詐欺とか横領とか大袈裟にいうけど、そのくらい誰だってやってるズルだし、女の子とエッチしたのは合意で、最初は嫌がって見せるけど、最後にはアクメ顔で 嬌がってたし……し、死んだのは平民か下位貴族じゃん。俺は侯爵家だし、なんの問題があるってんだよ!?」
「………っ」
ブツリ。となにかが切れた気がした。友人でなくても。エルマーを同じ人間として扱っていた、最後の感情が。
「……な、なあ?助けてくれよリオ!友達だろ!?俺さ、今レンタルなんだ。普段は娼館で変態客の相手をさせられててさ……リオ、稼いでんだろ?俺を買い取ってくれよ。もう限界なんだよ…。お、俺、リオの愛人になってもいいぜ?リオなら美人だし臭くねえし、金持ちだし、こ、侯爵になったんだろ?それなら愛人に……いや、結婚してやってもいい。社交からは少し離れてるけどすぐに勘は取り戻すし。あ…と、でもたまに女は抱きたいかな?リオは美人だけど男だし、やっぱ俺が愛人作って孕ませて、その子供にプレンダーガストを継がせれば……」
「黙れ」
「ぎゃぷ!?」
エルマーの顔を鷲掴みにする。ウッ……なんか汚れててヌルヌルするぅ!!
「ごめんな、エルマー。俺が悪かった。お前は人間じゃなかったんだな。お前が獣以下だとよく理解した。人間の括りに当て嵌めようとした俺の間違いだ。 ーーー 二度と俺の目の前でそのくせぇ息をするんじゃねえ」
「ンン…!あがっ…!?あ、あ……!?!?」
掴んだエルマーをそのまま生徒会室の隅に投げ捨てる。派手な音がして備品が壊れたが、汚ねえモンを見せた詫びとして第一王子が支払ってくれるだろう。汗と唾液と精液で汚れた手が堪らなく不快でブンブン振ってると、慌ててティグレがハンカチで拭きに来てくれた。……が、洗いたい。今すぐ石鹸で3回…いや最低5回は洗いたい!!
「……王子殿下?」
「ふぉっ!?は、ははははは…はいぃっ!!」
第一王子が素っ裸で直立不動。うん、正しい。不快で汚ねえモンを見せられて、手も他人の汚物で汚れて、俺は今非常に機嫌が悪い。
「このような低俗な玩具で遊ぶと逸物が捥げますよ?」
「ヒッ…!?ひぇぇ…」
「王子殿下は私に「思うところはないか」とお聞きになりましたね?確かに今、思いました。 ーーー 次、汚ねぇモン見せやがったらちょん切るから覚悟しとけ?」
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