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偽神編
蕃神討滅 6
キン…と耳鳴りがして、すべての音が消えた。
「……ティグレ…」
ティグレだった。偽神が摘み上げてぶら下げているのは、俺の、いちばんたいせつな……
「あら?これも大当たり?やーだもう!アタシってばツイてる!?」
「………っ、はっ……ぐ、ぅ…」
なんで?
なんで、ティグレを、偽神、が……
全身の血が沸騰するような感覚。
「あはっ!アンタのなの?やだ、顔が怖~い」
ベロリとティグレを舐め上げた。待て。ちょっと待て。なにを、しやがった、このクソアマは……
「……………………か………」
「あら?なに?返して欲しいの?ふぅーん?どーしよっかな~?美味しそうだしぃ~?」
「……か、しこみ、畏み、も、申す…」
「………………………え………………………………?」
納刀し、パン!と柏手を打つ。
寿命が縮む?関係ねェ!
「畏み、畏みも申す!高天の地に最後に残りし我らが祖。天道の娘にして最後の媛。いと慈悲深き我らの母。日の本総べる灯依大神に畏み申す!」
「……ヒッ…!?ウソ…嘘、よね!?招べるはずがないわ!此処はアタシの作った箱庭よ!!招べるはずが……」
偽神を滅せるのは、偽神の創造主である最高神『ひより』のみ。ヒノモトの『武士』は『神降し』をしてその力をお借りするだけ。やり方は簡単。『強い願い』と『ひより様への誓願』。代償は『寿命』。一説には『寿命は短くなるが魂魄の階位は跳ね上がる』らしいが…
ーーー 知るか、そんなこと!
リオ・プレンダーガストの体には武士の血なんて一滴も入っちゃいねえ。しかも異世界のさらに異界の狭間だ。けど、招ぶ!コイツだけは灰の一粒だって残さねえ!!
「参られよ。参られよ。慈悲深き、いと尊き御方。我に立ち塞がりし偽神を。滅する御手を貸し与え賜え」
「ま、待って…!!」
今更、だ。いまさら、クソ偽神が唾を飛ばして叫んだ。もう遅えよ。依代は真っ赤に焼けた炭みてェに熱くなってる。
「と…取引、しましょう?ね?そんなもの招んだらアンタだってタダじゃ済まないわよ?落ち着きなさいな」
「…あ?ンなこたぁどーだっていいんだよ。いつまでその汚ねえ手でティグレに触ってんだよ?そりゃあ俺のモンだ。さっさと、は、な、せ」
「……い、良いわよ?ついでにこの世界からも手を引いてあげる。こんな間違った作品はもう要らないわ。でもねぇ?燃料が足りないのよ?わかってくれるぅ?」
「…………」
媚びるような、嘲るような。癪に触る声が、囁くように、けれどはっきりと大きく。
「すぐにでも出ていってあげるわよ?アンタの腕の一本でももらえば、ね?」
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