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本編
【第二十話】今日、ルルティアが死んだ
(ララティア視点)
ひどいわ!どうしてこんなことをされなきゃいけないの!?
私は耳に何か痛いことをされて馬車に乗せられた。「助けて、お願い!」そう言って『魅了』を使っても、誰も私のいうことを聞いてくれない。あの赤毛の偉そうな女が言っていたわ。
お姉様の遺した耳飾りだって…。
お姉様のものはなんでも欲しいけど。嬉しいんだけど。でもこれはちょっと困るわ。……そうだ!外して、箱に入れて、たまに眺めるくらいにしましょ。
さっきから外そうと引っ張ったり引っ掻いたりしてるんだけど……だめね。手が血でぬるぬるしてきちゃったから、誰かに外してもらおうっと。
出てきた時と同じで、邸は静まり返っていた。
鎧を着た人が「降りろ」っていうから降りてあげたけど……もう、どうなってるのよ!エスコートも無しだなんて!『魅了』が使えるようになったら、あなたなんかぐちゃぐちゃにしてあげるんだから!
邸に入ると、すごく嫌な臭いがした。なんだかすごく臭い。血と脂と…排泄物?みたいな?
「……あら?」
みんな死んでいた。真っ赤だった。床も。壁も。シャンデリアもソファーも。全部全部血塗れだった。
あら、いやだ。壊れちゃったのね。
ガリガリと耳を掻き毟る。
困るわ。これを外して欲しいのに。
がりがり。がりがり…。
誰か生きていないかしら?もう……死ぬなら私の役に立ってから死んでよ!
がりがり…がり…がりがりがり……ぶつん!
やだ…痛い…!でも外れない!どうして?もう…泣きそう…!
…がり………
生きている人を探してうろうろしていると、食堂に、誰か座っていた。白い髪。黒いコート。かっこいいけどなんだか偉そうで、 ── こわい。
その隣には、黒いローブをすっぽりと被った………
ああ…!
あああ!うそ!ううん、うそじゃない!!だって私が間違えるはずないんだもの!!
お姉様のお墓のお姉様は、お姉様じゃなかった。
だからきっと、お姉様は死んでいない。知ってた!わかってた!!だってお姉様が私から離れていくはずがないじゃない!!あんなに『魅了』を重ね掛けしたの。壊れるほどに強く、何度も。何度も何度も何度も!
「お姉様…!!」
お姉様に駆け寄る。近くに行くと、ちゃんとお顔が………
…………あら?さっきの…ひと、は……?
グッと
首が。息が。苦しくなった。
「あっ…!?ぐ………?カ…ヒュッ……???」
苦しい!え……なんで!?何が…おこってるの?待って…!ねえ待って、どう、し……
「……カミーユ陛下、貴方が直接手を下さずとも…」
「うちの部下どもに『王族殺し』の汚名は着させられんからな」
おう…ぞ………く?え?なに?なになになに?なにがどうなって……
「ア…ガ…ァア……ゥ…!ゥウー!!??」
紐、だ……!私、後ろから紐で首を絞められてるんだ!!やだ!やだやだやだやだ!!やめて!苦しい!!死んじゃう!痛い!!息が……!!
「…ぉ……ね………ぇ、ざ……!!」
助けて!お姉様!!
お姉様に手を伸ばす。
けれど… ──
ローブの下の、お姉様のお顔は冷たい『無』だった。
違う…!だれ!?お姉様じゃない!お姉様はそんな目で私を見ない!!違う!怖い!やめて!苦しい!痛い!
手足をめちゃくちゃに動かして暴れる。でも全然外れない!苦しい!!苦しい!たすけて!誰か……だれ、か…………………
「…~~!!ぉ……ご………!…っ!!ぁ………!」
ごきり…と何かが折れた音が耳元でした。
「さよなら、ルルティア…」
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