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モブと招待状
しおりを挟む朝、俺が寝ている間に超絶上機嫌で登城した夫は、とんでもなく不機嫌な顔をして夕方帰ってきた。
溜息を吐きながら、癒しを求めるようにぎゅうぎゅうと俺を玄関先で抱き締める。だが今日はしない。尻の穴が壊れる。確実に。
なんだなんだと問いただすと ーーー
「兄上の誕生会に……呼ばれた。お前とルクレツィアごと」
ウワア行きたくねえ。
しかしあれだね?テオがなんか、いつになく甘えてくるね?すげえ触ってくるよ。……嬉しいけど。
陛下の57歳の誕生会って言ったら……あー、原作では『聖女候補ルミナ、ルクレツィアにワインをぶっかけられる事件』が発生する。
そこで断罪 ーーー とかじゃないけど、ルミナと王太子との絆が深まる出来事があるのだ。
正直どうでもいい。
だが俺は《運命補正》が怖い。俺ごときモブがどんなに足掻いても無駄だと嘲笑うような。
行きたくない。
またあんなことになったら……。
結果が変わらないくらいならいい。だがもし、悪い方向に転んだら?ルクレツィアやテオに何かあったら……俺は………
「わたくし行きとうございますオズ兄様」
「ルクレツィア…。あの、でも、な…?」
「オズ兄様が前世で見た予言書の事ですよね?大丈夫、わたくし、王太子には懸想しておりませんし、あの女はまだ謹慎中でございましょう?」
「う……ん…」
そう、王太子の謹慎は解けたが、聖女候補と王太子の側近候補たちの謹慎は解けていない。
知らないどこかで最悪が起こってしまうのなら……少しはストーリーに沿った方が良いのかもしれない…。
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