103 / 179
モブと準備
しおりを挟む冬がやってくる。
秋どこ行った?って程、今年の冬は早くきた。
雪が降り積もる前に準備する。
原作の通りに、隣国の動きが不穏なものになっていく。
去年の冬の大寒波に続き、隣国の夏は暑かった。大渇水だ。
陛下にお願いして、こっちも人道的援助を申し出て貰っていたのだが交渉は決裂。いや、交渉以前だ。
《聖者》を寄越せと言ってきたらしい。
曰く、サヴァレーゼ国周辺の異常気象は、サヴァレーゼが神の恩恵を全て吸い取っているからだ。恩恵の象徴でもある《聖なるもの》は分配されるべきだ、と。
知らんがな。
この国の恩恵の裏に、どれだけの犠牲があると思ってるんだ。
努力しろ、っていう言葉は言い飽きたよ。なんでこう、楽な方楽な方に流れちゃうかな!?
隣国の王家は王妃の生家だ。なんとかしろよ、と思ったら、隣国の議会を焚き付けたのが王妃だったという…。
どうやら俺に元王太子の呪いを解かせたいらしい。
テオが渡してくれた報告書を見て頭を抱える。
「神竜カリーナの《代行者》である聖者オズワルドならば、かの神竜の怒りを解けるであろう」と。
……馬鹿なの?馬鹿、なんだろうなあ…。
大方、王妃は俺に呪いを解かせろと陛下に言って断られたんだろう。
カリーナ様の裁きが下された直後は俺になんか嫌なことさせようもんなら国外逃亡の危険があったし、第二王妃という心の拠り所を得た今は第一王妃の言うことをホイホイ聞いちゃう陛下じゃなくなっちゃってるからなぁ…。
竜の亡骸の上に建て、竜の恩恵の上に成り立っている国に嫁いだんだから多少は竜を大切にするんだと思っていた。そう思っていたんだ。けど。
竜をなんだと思ってんだ、あいつら。便利な道具?生物兵器?御伽噺?
俺だってカムイを育てる前までは、ただの頭のいい動物だって思ってたけどね?
だからまあ…多少は演出しようと思っている。竜のためっていいながら、自分のために。朱座とカムイはノリノリだからいいかな…と。
応援ありがとうございます!
5
お気に入りに追加
9,067
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる