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モブとタコパ1
しおりを挟むあのあとめっちゃ叱られた。テオとルクレツィアの二人がかりで。
この期に及んで俺がまだテオたちを大事に仕舞っときたいっていう往生際の悪さっていうか浅ましさっていうか。
だって宝物は綺麗に磨いて傷付かないように汚れないように柔らかい布で包んで、盗まれないように厳重に金庫に仕舞っとくもんだろ!?って言うとテオから久々の拳骨が。ルクレツィアからは泣きながらのビンタがきた。おおう…娘からの初ビンタ……。
助けを求めたカムイからは「なかまはずれはいけないんだよ?」と曇りのない目で非難され、朱座とオーロはしたり顔でウンウン頷き、遼も遥もカズマも笑ってる。くそうお前らあとでみてろ…!
その晩はテオにガッツリ抱き潰されて、次の日は起き上がれなかった。我が夫テオドールさんの夜の技術が日に日に向上しているのは気のせいじゃないだろう。
仕方がないので復活してからお疲れ様会をすることにした。ルクレツィア御所望のタコパだ。
遼の引率で訓練所のみんなにフォレストオクトパスなるタコを狩って来てもらうようにする。フォレストオクトパスは魔物に分類されるが、正確に言うと魔物じゃないらしい。巨大な雑食のタコ。魔素を纏ってないでっかいタコ。だからサヴァレーゼの森にいる。なんでも食べるから人も襲うらしいけどね!
そして、何故か居座っているテオの部下さんたちに会場の設営をしてもらう。帰らなくていいのかな~…とか思ってたけど。まー、聞くとこの部下さんたち、実際に戦場で人知れず頑張ってた軍人さん達なんだけど、ここ五年くらい他国からの領地侵略とかなくなっちゃたもんだから居ても居なくてもいい窓際に飼い殺されていたらしい。……それって俺の《予言》という名のアドバイスのせいだよね?えっと…なんていうか…その、………ごめん……。
そういう左遷組を数ヶ月前にテオが集めて直属の親衛隊を結成。昔の勘を取り戻すように訓練したんだとか。
うん、じゃあ急いで戻らなくていいね。あっちこっち破壊されたから、ここでこき使おう。
ついでに辺境伯たちと陛下たちもタコパに参加したいらしく、何かいるものはないか?そうだ酒でも届けさせよう!とソワソワしている。特に転生者と判明した第二王妃のテンションが高い。私も料理できるよアピールが鬱陶しいので天かす作りをお願いした。だってこの人、遥と同じポイズンクッキングの危険な臭いがするし…。陛下たちのお相手はテオとカズマにさせた。酒でも飲んでろ。
んで陛下、俺は酒より小麦粉が欲しいです。切実に。
鉄鉱石からたこ焼き用の鉄板を作っていると遼たちが帰ってきた。無事にフォレストオクトパスを狩って来たようだ。タコの滑りを浴びたのか全員が酷く生臭い。お前ら風呂行って来い。
フォレストオクトパス ーーー ええいめんどくさい森タコでいい ーーー を受け取って楽々錬金術で塩揉み開始。え?錬金術使い方が間違ってる?気にしたら負けだ。
森タコは森にいるだけあって土汚れが酷い。ブクブク出る泡とタコの魔物の姿に一堂ドン引き。アレは森に居っても食うてはならんとか朱座がカムイに教えてる。鑑定したら食用・美味って書いてあるから、ちゃんと下処理すれば美味しいってば!多分ね?
オーロが菜園で取れた野菜を持って来てくれたので、教会の子供たちにみじん切りをお願いする。ルクレツィアがソワソワしていたので、子供たちに包丁の使い方を習っておいでと言うと嬉しそうに走って行った。うん、今日もうちの娘は世界で一番可愛い。
さて、おわかりだろうか?遥が居ないことを。
遥はニコニコして厨房からやってきた。鍋を大事そうに抱えて。
「お兄ちゃん、作ってきた!」
「ありがとう遥。そっちの竃の方に置いておいてくれ」
ふんす!と笑顔で鼻息を荒くする前世の妹を撫でておく。鉄板も食器もグラスも鉄串だって人数分用意した。タネも休ませてるし具材も切ったし俺作ショウガの甘酢漬けもヴァッサロ邸から持ってきてもらった。アリストさんの伝手でタコ焼きソースと鰹節と青のりも完備。
さあ祭りの始まりだ。
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