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ep263 酒問屋訪問〜亜人ハウスの進捗確認
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アーサーさんに即断即決で「わからん(意訳)」と言われてしまった。
その土地の安全管理に関することだからさすがのアーサーさんでも断言はできないらしい。
「五日後の面会で、直接伯爵に訊いてみてはどうでしょうか」
と提案された。
それが一番良さそうだ。伯爵はデイライトで一番偉いんだもん。伯爵が良いって言えばぜんぶよかろうなのダァー。
あと帰り際にロイさんからでっかいアタッシュケースみたいな箱を渡された。
「これなんです?」
「7億8千万ソルン分の金貨っすよ」
おぅふ……。そんなお土産渡すみたいに持ってくんなよ。
あれか? 商業ギルドの上役にもなってくると、動かす額が大きすぎて感覚麻痺してくんのか?
中を開けるとピッカピカの朱金貨が何枚も……ひぃぃぃ。
「どうします? 持って帰ります? それともブラタネリ商会の口座に振り込んでおきましょうか?」
あ、そんなもんあるのね。その方がいいやん。
「うん、そうしてくれます? 6億ソルン分だけブラタネリ商会に振り込んで、あとは貰っておくよ」
「承知しました」
というわけで商業ギルドでの用事が済み、本とお茶菓子に没頭しているセラミナを拾って建物を出る。
デイライトの大通りは広いので、五人が横に広がって歩いても特に問題ない。日本なら注意されるか舌打ちされるかチャリンコで強めにチリンチリンされると思う。
「おい、みろよあれ」
「ん?……うおっ、美人が固まって歩いてらぁ」
歩いているとひそひそと噂をする声が聞こえる。
「冒険者か? いや、違うな。ギルド職員か?」
「ギルド職員はこの時間働いてるだろ」
「でもいかにも仕事出来そうな雰囲気だぞ。踏まれてえ」
「ほなギルド職員か?」
「でもギルドの制服着てないな」
「ほなギルド職員ちゃうか……」
「隣の女の子、垢抜けない感じがグッとくるな。なのにケツがでけえ……」
「アセンブラの神官みたいな女、めちゃくちゃタイプだわ。胸でかいし、背筋がスッとしてんのに儚い感じでよぉ」
むさ苦しい男どもがカリンたちを指さして何やらボーイズトークしているようだ。
声もデカいし視線無遠慮で、まったくデリカシーの無い連中だ。でも僕だって美人が固まって歩いていたら「おっぱい揉みてえ」「お尻パフりてえ」とか思ってしまうし、もしかしたら口に出してしまうかもしれない。気持ちは分かるので黙っておいた。
「……でもよ、あの真ん中にいるぱっとしない男はなんなんだ? 奴隷か?」
「奴隷じゃ……ねえだろう。あの美人たちと親しげだし……あぁっ、ボディタッチまでしてやがる」
「そうか……世の中は不公平だな」
「なんであんな男が美女と歩いてんだろ。そこ代われよ」
「神は死んだ!」
「おいっ、滅多なこと言うな!」
「アホ面スケベ顔で美女侍らしやがって……」
「ゴブリンエイプ性欲犯罪者が」
……ライン超えてね?
君たち、言いすぎじゃね?
こめかみが怒りでピクピクしていると、その様子を見ていたシルビアが「ふふっ」と小悪魔的な表情をして、僕の左腕を両手で掴んできた。もちろんお胸がもにゅんと当たる。
むほーっ!
遠くでムサ男どもの悲鳴が聞こえる。
「ケイはこのあとどうするの?」
シルビアがすました顔で訊いて来る。なのにめっちゃお胸が『あててんのよムーブ』をしてきており気が気でない。
「ま、マダムジャンゴの奴隷商会に行って、前から予約していた奴隷を買ってくるよ」
「へー……」
なんかシルビアがジト目で見てくる。そしてきゅっと太ももをつねられた。なんで……。
「ははあ、じゃあまた雌奴隷が増えるんだねえ。ご主人様はほんとに下半身と脳みそが直結してる性欲エイプなんだね。軽蔑するよ」
アルフィンが「よっ」と言って背中に飛び乗ってきた。小柄な身体から伝わる柔らかさと熱い熱が異性であることを意識させてくる。
「別に女だけじゃないが」
「女もいるんでしょ」
「……そりゃあいるよ」
「ほらぁ」
かじかじ、かじかじ。
うなじをずっとかじられている。しかも割と痛い。歯型ついてるんじゃないか。そしてかじったところを丹念に舐めてくるからゾワゾワする。飴と鞭が上手い。
……でも、アーサーパパが言っていたようにこれも彼女なりの愛情表現なのかもしれない。アルフィンは少女時代ちょっと歪んでそうだしな。そう思うとちょっと許せるかも。
「アルフィンおやめなさい。使徒様の御身に傷跡がつくでしょう」
「ハッ。この駄目ゴブリンさんはこうしてあげると興奮するんだよ。ボクは哀れな性奴隷として責務を果たしてあげてるってわけ…………なんだよその目は」
「ぬふふ」
「……ひゃあ~」
倒錯的な光景にセラミナが顔を両手で覆っているが、隙間からチラチラと見ていた。カリンは呆れた様子でアルフィンを注意していたが、いつのまにかスッと寄ってきて、僕の空いている左手を彼女の最近引き締まってきた神官尻に誘導させ、もみしだくように促してきた。
「……カリン?」
「使徒様の御手が空いていらっしゃったので、差し出がましいようですが私の雌尻でお慰めしようかと」
もにゅむにゅり。
手に力を込めると肉感的なヒップが沈み込む。服越しにパン線を感じるこの瞬間がいとおかしなんすわ。
セラミナとはまた違う、色っぽいお尻だ。何度もこのお尻を鷲掴みにして射精したんだと思うと、天界の往来でエア射精したくなるほど興奮してくる。
「そう言えばカリンは、最近大丈夫? 信者も増えてきて管理が大変じゃないかい?」
おそらくジオス教最後の神官の尊い貴重な清らかヒップを撫で揉み潰しながら、世間話に勤しむこの瞬間、プレイスレス。
「ああっ、お優しい使徒様。お気遣いいただきありがとうございます。その件ですが、事後報告になり申し訳ございません。数人ほどスラムより神官の希望者がおりまして、今は見習いシスターとして奉仕活動に従事しております。仕事もある程度分担できるようになったため、ご心配には及びません」
おーっ!
そうなんだ。
シスターって神官になれないんじゃなかったっけ? まあでも、こっちの世界では違うのかもな。言語理解スキルの翻訳がこうなってるから、あんま気にすることはないか。
(よかったね、カリン)
ずっとカリン一人で回してたからね、心配してたんだ。人が増えるならいくらか彼女の負担も軽減されるだろう。
「使徒様? いかがされましたか?」
「ううん。ホッとしたんだよ。カリンはずーっと一人で頑張ってきたからね。最近は充実していたみたいだけれど、大変そうだったから。それに、カリンが守ってきたジオス教に、新しい神官が増えるんだ。すごく……嬉しいことだよね?」
思わず笑みがこぼれる。キモいニチャ顔かもしれないけど、許してくれ。
「……し、使徒様……カリンは……っ」
すると彼女は最初びっくりしたような顔をして、しばらくするとみるみるうちに涙が溢れてきてしまった。尻を揉んでいた手を頭に置いて、優しく髪を撫でる。
「ありがとうカリン。ジオス教徒、亜人のための、君の献身は永く記憶されるべきものだ」
「いいえ、いいえ。すべては使徒様のため、尊くも慈悲深き、私の愛する使徒様のためです……すべては使徒様のおかげで報われたのです。ですからもう、カリンはそれだけで充分なのです」
「あ~あ、またノンデリゴブリンがいたいけな神官泣かせてるよ」
「デリカシーに溢れてるだろうが」
……ノンデリゴブリンってちょっと語呂がええやんけ。
カリン、シルビア、アルフィンは教会に戻って仕事を片付けつつ、ゆっくりするらしい。一緒にセラミナも帰るかそれとなく確認したけど、俯いて袖を掴んできて「よければまだご一緒したいです……」と言った。セラミナがいいならもちろん問題ない。ただ、このあともまた仕事の話になっちゃうから暇なんじゃないかと思ったんだけど、関係ないみたいだ。
あとシルビアに「ブラタネリ商会の口座に6億ソルン振り込んでおいたよ」って言ったら、一瞬真顔になったあとに「……お、お金だぁぁぁぁ!」と叫んで大感激された。めっちゃキスされたし、ハグされた。シルビアはほんとお金好きだね。これは前から変わってないや。そしてアルフィンが「6億ソルンくらいで騒がないでよ。性根は二流の街商人のままだね」って毒づいたせいで、軽いキャットファイトが始まってしまった。
さてお次は奴隷商館……の前に亜人ハウスの追加依頼しておこうかな。急遽トリスが加入したから、そこの見積もりと依頼だけしておこう。
「ご主人さま、今度はどちらへ?」
にぎにぎ、にぎにぎ。
もはや当たり前のように恋人繋ぎのセラミナから無邪気な笑顔が向けられる。みんなの前では恥ずかしがって手を繋がったけど、二人になると積極的だ。少しは信頼を得られたのかな。えっちですね。
「ちょっと亜人ハウスのことで、寄りたいところがあってね」
「あじんはうす? ですか?」
「うん。セラミナが僕の奴隷になる前に、亜人たちのために家を発注してたんだよ。その確認に行きたいんだ」
「そうなんですね! 確かに、今はもう私はご主人さまの奴隷です! えへへぇ」
「え? う、うん」
全然話が噛み合ってないんだけど、なぜか上機嫌になるセラミナ。仲良くなればなるほど、この子って結構天然なんだなと分かってきた。
ドルガンさんの事務所に向かう時にふと思い出した。確か彼はドワーフだったな。あんまりドワーフと接点なくてスルーしてたけど、やっぱりお酒とか好きなのかな。
「ねえ、セラミナ。ドワーフってお酒好きなのかな?」
「土精族の方たちですか? もちろん、大好きですよ。というよりも、彼らが命の次に大切にしているものだと思います」
やっぱそうなのね。
ふむ、そしたら差し入れでも買っていくか。
「分かった、ありがとう。建築を頼んでいるところがドワーフの親方なんだけど、お酒買っていったら喜ばれるかな?」
「すっごく喜ばれると思います!
でもドワーフさんに中途半端な量のお酒を贈るのは『侮辱』にあたるって聞いたことがあるので、もし贈るならたくさん買われたほうがいいかもです」
ほお、それはありがたいこと聞いた。
んじゃ樽ごと差し入れますか。
「ありがとう、セラミナ。いつも助かるよ。酒樽ごと買おうかと思うんだけど、いいお店知らない?」
「た、樽ごと買われるんですか。そしたら酒問屋さんかな……。でも普通の人は酒問屋さんでは買えないはずです。商会の方とかじゃないと」
「いちおう僕ブラタネリ商会っていうとこで、オーナーみたいなのやらせてもらってるんすよ」
お金だけ出してほとんど運営は任せてるけど。優秀な従業員に任せてくれ、僕は粗末でちんけな置物やらせてもらってる。
「……あっ、す、すみませんっ!
私、バカだからうっかり忘れていて……そ、それなら大丈夫だと思います。お酒自体にはあまり詳しくないんですけど、問屋さんなら知ってます。こっちです!」
ふんふんとやる気にあふれるセラミナに案内されしばらく歩いていくと、大通りから少し外れたところで古いけど大きめの建物が見えてきた。
なかなか古めかしい外観だ。老舗の酒問屋ってところか?
……入り方がわかんねえ。このまま入っていいのかな。わからん。
「ええい、ままよ!」
「ママ、ですか?」
「そうだよ。ママよ、飯まだかよ!
どうも、タネズです~」
こういうのはテンションで行けば大体解決するもんだ。
「……ああん? なんだい兄ちゃん。商会の使いか? この時間は……特に予約は入っちゃいねえが」
「はい、神の使いです。お酒を買いに来ました」
「はあ?」
入ったら酒問屋のおっちゃんがバチバチにメンチ切ってきたので、僕も負けじと使徒アピールをしておく。
「そ、そのこの方はブラタネリ商会という今をときめく商会の偉い人なんです。大量のお酒が必要になったので、購入に来られました」
セラミナがややビクつきながらも堂々と用件を言った。僕が言うべき言葉だが先に言われてしまったようだ。うーん、情けない。
「ブラタネリ? 妙な名前だな。それに聞いたこともねえ。おい、うちはデイライトじゃあ名の知れた老舗なんだ。ぽっと出の新興商会になんて卸さねーぞ。紹介状はあるのか?」
「ご、ご主人さま」
「紹介状なら……ありまぁす!」
僕は鞄からオルスフィン印の魔法のペンを取り出して、おっちゃんに見せる。
「はぁ? んだよコレは……っておい!
こりゃあオルスフィン家が認めた奴にしか渡さねえ魔法のペンじゃねえか! どこで拾った!? 早く騎士団に届けてこい、オルスフィン家を敵に回すと全財産むしり取られたうえで内臓まで量り売りされるぞ!」
おっちゃんがめちゃくちゃ慌てて忠告してくれた。
アーサーさん、そんなマフィアみたいなことしてんの?
内臓量り売りって……デパ地下の惣菜コーナーじゃないんだから。
「ちげーよ、おっちゃん。ほらここ見てよ。『ブラタネリ商会オーナー、タネズ・ケイ様へ贈る』って書いてあるでしょ。これは僕に個人的に贈られたものだよ」
「……本当だ。まじかよ、あんちゃん、実は偉い人なのか?」
「そんなことないよ。ちょっとアーサーさんと知り合いなだけ。これでお酒売ってくれる?」
「そんなもん出されちゃあな。いいぜ、好きなもん選んでいきな」
「よっしゃ!」
そんなこんなで、なんとか酒問屋に飛び込みでお酒を十樽売ってもらえたよ。オルスフィンの紋所さまさまだ。水戸アーサーだね。
まあ肝心のお酒自体は、良し悪しが分からないのでほとんどおっちゃんに選んでもらったよ。ぜんぶで八樽ほどね。残りの二樽は僕とセラミナで選んでみた。喜んでくれるかなあ?
で、ドルガンさんの事務所にやってきた。受付のお姉さんはこの前と同じ、興奮したドルガンさんの頭を工具でぶん殴った人だった。ちなみにセラミナは近所の喫茶店っぽいとこで待ってもらっている。買ってあげた本を夢中で読んでいるので、暇つぶしには事欠かなそうだ。
「どうも~タネズです~。ドルガンいます?」
「あっ、タネズ様。ドルガンは今、作業中です。お呼びしますか?」
「別に呼ばなくても現場に直接行ってもいいっすよ」
「うーん……あんまり現場にお客様は入らなほうがいいですね。みなさん納期が近くて気が立ってるので」
「えっ、じゃあドルガンさんも呼ばないほうがいい……?」
「ドルガンは親方なのでそんなことで怒りませんよ」
お姉さんは苦笑して、ドルガンさんを呼びに行ってくれた。
その土地の安全管理に関することだからさすがのアーサーさんでも断言はできないらしい。
「五日後の面会で、直接伯爵に訊いてみてはどうでしょうか」
と提案された。
それが一番良さそうだ。伯爵はデイライトで一番偉いんだもん。伯爵が良いって言えばぜんぶよかろうなのダァー。
あと帰り際にロイさんからでっかいアタッシュケースみたいな箱を渡された。
「これなんです?」
「7億8千万ソルン分の金貨っすよ」
おぅふ……。そんなお土産渡すみたいに持ってくんなよ。
あれか? 商業ギルドの上役にもなってくると、動かす額が大きすぎて感覚麻痺してくんのか?
中を開けるとピッカピカの朱金貨が何枚も……ひぃぃぃ。
「どうします? 持って帰ります? それともブラタネリ商会の口座に振り込んでおきましょうか?」
あ、そんなもんあるのね。その方がいいやん。
「うん、そうしてくれます? 6億ソルン分だけブラタネリ商会に振り込んで、あとは貰っておくよ」
「承知しました」
というわけで商業ギルドでの用事が済み、本とお茶菓子に没頭しているセラミナを拾って建物を出る。
デイライトの大通りは広いので、五人が横に広がって歩いても特に問題ない。日本なら注意されるか舌打ちされるかチャリンコで強めにチリンチリンされると思う。
「おい、みろよあれ」
「ん?……うおっ、美人が固まって歩いてらぁ」
歩いているとひそひそと噂をする声が聞こえる。
「冒険者か? いや、違うな。ギルド職員か?」
「ギルド職員はこの時間働いてるだろ」
「でもいかにも仕事出来そうな雰囲気だぞ。踏まれてえ」
「ほなギルド職員か?」
「でもギルドの制服着てないな」
「ほなギルド職員ちゃうか……」
「隣の女の子、垢抜けない感じがグッとくるな。なのにケツがでけえ……」
「アセンブラの神官みたいな女、めちゃくちゃタイプだわ。胸でかいし、背筋がスッとしてんのに儚い感じでよぉ」
むさ苦しい男どもがカリンたちを指さして何やらボーイズトークしているようだ。
声もデカいし視線無遠慮で、まったくデリカシーの無い連中だ。でも僕だって美人が固まって歩いていたら「おっぱい揉みてえ」「お尻パフりてえ」とか思ってしまうし、もしかしたら口に出してしまうかもしれない。気持ちは分かるので黙っておいた。
「……でもよ、あの真ん中にいるぱっとしない男はなんなんだ? 奴隷か?」
「奴隷じゃ……ねえだろう。あの美人たちと親しげだし……あぁっ、ボディタッチまでしてやがる」
「そうか……世の中は不公平だな」
「なんであんな男が美女と歩いてんだろ。そこ代われよ」
「神は死んだ!」
「おいっ、滅多なこと言うな!」
「アホ面スケベ顔で美女侍らしやがって……」
「ゴブリンエイプ性欲犯罪者が」
……ライン超えてね?
君たち、言いすぎじゃね?
こめかみが怒りでピクピクしていると、その様子を見ていたシルビアが「ふふっ」と小悪魔的な表情をして、僕の左腕を両手で掴んできた。もちろんお胸がもにゅんと当たる。
むほーっ!
遠くでムサ男どもの悲鳴が聞こえる。
「ケイはこのあとどうするの?」
シルビアがすました顔で訊いて来る。なのにめっちゃお胸が『あててんのよムーブ』をしてきており気が気でない。
「ま、マダムジャンゴの奴隷商会に行って、前から予約していた奴隷を買ってくるよ」
「へー……」
なんかシルビアがジト目で見てくる。そしてきゅっと太ももをつねられた。なんで……。
「ははあ、じゃあまた雌奴隷が増えるんだねえ。ご主人様はほんとに下半身と脳みそが直結してる性欲エイプなんだね。軽蔑するよ」
アルフィンが「よっ」と言って背中に飛び乗ってきた。小柄な身体から伝わる柔らかさと熱い熱が異性であることを意識させてくる。
「別に女だけじゃないが」
「女もいるんでしょ」
「……そりゃあいるよ」
「ほらぁ」
かじかじ、かじかじ。
うなじをずっとかじられている。しかも割と痛い。歯型ついてるんじゃないか。そしてかじったところを丹念に舐めてくるからゾワゾワする。飴と鞭が上手い。
……でも、アーサーパパが言っていたようにこれも彼女なりの愛情表現なのかもしれない。アルフィンは少女時代ちょっと歪んでそうだしな。そう思うとちょっと許せるかも。
「アルフィンおやめなさい。使徒様の御身に傷跡がつくでしょう」
「ハッ。この駄目ゴブリンさんはこうしてあげると興奮するんだよ。ボクは哀れな性奴隷として責務を果たしてあげてるってわけ…………なんだよその目は」
「ぬふふ」
「……ひゃあ~」
倒錯的な光景にセラミナが顔を両手で覆っているが、隙間からチラチラと見ていた。カリンは呆れた様子でアルフィンを注意していたが、いつのまにかスッと寄ってきて、僕の空いている左手を彼女の最近引き締まってきた神官尻に誘導させ、もみしだくように促してきた。
「……カリン?」
「使徒様の御手が空いていらっしゃったので、差し出がましいようですが私の雌尻でお慰めしようかと」
もにゅむにゅり。
手に力を込めると肉感的なヒップが沈み込む。服越しにパン線を感じるこの瞬間がいとおかしなんすわ。
セラミナとはまた違う、色っぽいお尻だ。何度もこのお尻を鷲掴みにして射精したんだと思うと、天界の往来でエア射精したくなるほど興奮してくる。
「そう言えばカリンは、最近大丈夫? 信者も増えてきて管理が大変じゃないかい?」
おそらくジオス教最後の神官の尊い貴重な清らかヒップを撫で揉み潰しながら、世間話に勤しむこの瞬間、プレイスレス。
「ああっ、お優しい使徒様。お気遣いいただきありがとうございます。その件ですが、事後報告になり申し訳ございません。数人ほどスラムより神官の希望者がおりまして、今は見習いシスターとして奉仕活動に従事しております。仕事もある程度分担できるようになったため、ご心配には及びません」
おーっ!
そうなんだ。
シスターって神官になれないんじゃなかったっけ? まあでも、こっちの世界では違うのかもな。言語理解スキルの翻訳がこうなってるから、あんま気にすることはないか。
(よかったね、カリン)
ずっとカリン一人で回してたからね、心配してたんだ。人が増えるならいくらか彼女の負担も軽減されるだろう。
「使徒様? いかがされましたか?」
「ううん。ホッとしたんだよ。カリンはずーっと一人で頑張ってきたからね。最近は充実していたみたいだけれど、大変そうだったから。それに、カリンが守ってきたジオス教に、新しい神官が増えるんだ。すごく……嬉しいことだよね?」
思わず笑みがこぼれる。キモいニチャ顔かもしれないけど、許してくれ。
「……し、使徒様……カリンは……っ」
すると彼女は最初びっくりしたような顔をして、しばらくするとみるみるうちに涙が溢れてきてしまった。尻を揉んでいた手を頭に置いて、優しく髪を撫でる。
「ありがとうカリン。ジオス教徒、亜人のための、君の献身は永く記憶されるべきものだ」
「いいえ、いいえ。すべては使徒様のため、尊くも慈悲深き、私の愛する使徒様のためです……すべては使徒様のおかげで報われたのです。ですからもう、カリンはそれだけで充分なのです」
「あ~あ、またノンデリゴブリンがいたいけな神官泣かせてるよ」
「デリカシーに溢れてるだろうが」
……ノンデリゴブリンってちょっと語呂がええやんけ。
カリン、シルビア、アルフィンは教会に戻って仕事を片付けつつ、ゆっくりするらしい。一緒にセラミナも帰るかそれとなく確認したけど、俯いて袖を掴んできて「よければまだご一緒したいです……」と言った。セラミナがいいならもちろん問題ない。ただ、このあともまた仕事の話になっちゃうから暇なんじゃないかと思ったんだけど、関係ないみたいだ。
あとシルビアに「ブラタネリ商会の口座に6億ソルン振り込んでおいたよ」って言ったら、一瞬真顔になったあとに「……お、お金だぁぁぁぁ!」と叫んで大感激された。めっちゃキスされたし、ハグされた。シルビアはほんとお金好きだね。これは前から変わってないや。そしてアルフィンが「6億ソルンくらいで騒がないでよ。性根は二流の街商人のままだね」って毒づいたせいで、軽いキャットファイトが始まってしまった。
さてお次は奴隷商館……の前に亜人ハウスの追加依頼しておこうかな。急遽トリスが加入したから、そこの見積もりと依頼だけしておこう。
「ご主人さま、今度はどちらへ?」
にぎにぎ、にぎにぎ。
もはや当たり前のように恋人繋ぎのセラミナから無邪気な笑顔が向けられる。みんなの前では恥ずかしがって手を繋がったけど、二人になると積極的だ。少しは信頼を得られたのかな。えっちですね。
「ちょっと亜人ハウスのことで、寄りたいところがあってね」
「あじんはうす? ですか?」
「うん。セラミナが僕の奴隷になる前に、亜人たちのために家を発注してたんだよ。その確認に行きたいんだ」
「そうなんですね! 確かに、今はもう私はご主人さまの奴隷です! えへへぇ」
「え? う、うん」
全然話が噛み合ってないんだけど、なぜか上機嫌になるセラミナ。仲良くなればなるほど、この子って結構天然なんだなと分かってきた。
ドルガンさんの事務所に向かう時にふと思い出した。確か彼はドワーフだったな。あんまりドワーフと接点なくてスルーしてたけど、やっぱりお酒とか好きなのかな。
「ねえ、セラミナ。ドワーフってお酒好きなのかな?」
「土精族の方たちですか? もちろん、大好きですよ。というよりも、彼らが命の次に大切にしているものだと思います」
やっぱそうなのね。
ふむ、そしたら差し入れでも買っていくか。
「分かった、ありがとう。建築を頼んでいるところがドワーフの親方なんだけど、お酒買っていったら喜ばれるかな?」
「すっごく喜ばれると思います!
でもドワーフさんに中途半端な量のお酒を贈るのは『侮辱』にあたるって聞いたことがあるので、もし贈るならたくさん買われたほうがいいかもです」
ほお、それはありがたいこと聞いた。
んじゃ樽ごと差し入れますか。
「ありがとう、セラミナ。いつも助かるよ。酒樽ごと買おうかと思うんだけど、いいお店知らない?」
「た、樽ごと買われるんですか。そしたら酒問屋さんかな……。でも普通の人は酒問屋さんでは買えないはずです。商会の方とかじゃないと」
「いちおう僕ブラタネリ商会っていうとこで、オーナーみたいなのやらせてもらってるんすよ」
お金だけ出してほとんど運営は任せてるけど。優秀な従業員に任せてくれ、僕は粗末でちんけな置物やらせてもらってる。
「……あっ、す、すみませんっ!
私、バカだからうっかり忘れていて……そ、それなら大丈夫だと思います。お酒自体にはあまり詳しくないんですけど、問屋さんなら知ってます。こっちです!」
ふんふんとやる気にあふれるセラミナに案内されしばらく歩いていくと、大通りから少し外れたところで古いけど大きめの建物が見えてきた。
なかなか古めかしい外観だ。老舗の酒問屋ってところか?
……入り方がわかんねえ。このまま入っていいのかな。わからん。
「ええい、ままよ!」
「ママ、ですか?」
「そうだよ。ママよ、飯まだかよ!
どうも、タネズです~」
こういうのはテンションで行けば大体解決するもんだ。
「……ああん? なんだい兄ちゃん。商会の使いか? この時間は……特に予約は入っちゃいねえが」
「はい、神の使いです。お酒を買いに来ました」
「はあ?」
入ったら酒問屋のおっちゃんがバチバチにメンチ切ってきたので、僕も負けじと使徒アピールをしておく。
「そ、そのこの方はブラタネリ商会という今をときめく商会の偉い人なんです。大量のお酒が必要になったので、購入に来られました」
セラミナがややビクつきながらも堂々と用件を言った。僕が言うべき言葉だが先に言われてしまったようだ。うーん、情けない。
「ブラタネリ? 妙な名前だな。それに聞いたこともねえ。おい、うちはデイライトじゃあ名の知れた老舗なんだ。ぽっと出の新興商会になんて卸さねーぞ。紹介状はあるのか?」
「ご、ご主人さま」
「紹介状なら……ありまぁす!」
僕は鞄からオルスフィン印の魔法のペンを取り出して、おっちゃんに見せる。
「はぁ? んだよコレは……っておい!
こりゃあオルスフィン家が認めた奴にしか渡さねえ魔法のペンじゃねえか! どこで拾った!? 早く騎士団に届けてこい、オルスフィン家を敵に回すと全財産むしり取られたうえで内臓まで量り売りされるぞ!」
おっちゃんがめちゃくちゃ慌てて忠告してくれた。
アーサーさん、そんなマフィアみたいなことしてんの?
内臓量り売りって……デパ地下の惣菜コーナーじゃないんだから。
「ちげーよ、おっちゃん。ほらここ見てよ。『ブラタネリ商会オーナー、タネズ・ケイ様へ贈る』って書いてあるでしょ。これは僕に個人的に贈られたものだよ」
「……本当だ。まじかよ、あんちゃん、実は偉い人なのか?」
「そんなことないよ。ちょっとアーサーさんと知り合いなだけ。これでお酒売ってくれる?」
「そんなもん出されちゃあな。いいぜ、好きなもん選んでいきな」
「よっしゃ!」
そんなこんなで、なんとか酒問屋に飛び込みでお酒を十樽売ってもらえたよ。オルスフィンの紋所さまさまだ。水戸アーサーだね。
まあ肝心のお酒自体は、良し悪しが分からないのでほとんどおっちゃんに選んでもらったよ。ぜんぶで八樽ほどね。残りの二樽は僕とセラミナで選んでみた。喜んでくれるかなあ?
で、ドルガンさんの事務所にやってきた。受付のお姉さんはこの前と同じ、興奮したドルガンさんの頭を工具でぶん殴った人だった。ちなみにセラミナは近所の喫茶店っぽいとこで待ってもらっている。買ってあげた本を夢中で読んでいるので、暇つぶしには事欠かなそうだ。
「どうも~タネズです~。ドルガンいます?」
「あっ、タネズ様。ドルガンは今、作業中です。お呼びしますか?」
「別に呼ばなくても現場に直接行ってもいいっすよ」
「うーん……あんまり現場にお客様は入らなほうがいいですね。みなさん納期が近くて気が立ってるので」
「えっ、じゃあドルガンさんも呼ばないほうがいい……?」
「ドルガンは親方なのでそんなことで怒りませんよ」
お姉さんは苦笑して、ドルガンさんを呼びに行ってくれた。
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希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
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( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
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