絶死の森で絶滅寸前の人外お姉さんと自由な異世界繁殖生活 転移後は自分のために生きるよ~【R18版】

萩原繁殖

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やってみな小娘

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 惨劇の呑み会の翌日。

「おはようございます、ご主人様! 昨日はありがとうございました!」

 朝からマイアが元気いっぱいに挨拶してきた。

「マイア……その、大丈夫?」

「? 大丈夫ですよ? 途中から記憶が無いんですが、身体と頭がすっきりしています! これなら今日はもっと働けそうです!」

 お仕事頑張ってごはんたくさん食べるぞー! と気合を入れるマイア。まあ、記憶がないならいいの、か? あったとしても彼女はあんまり気にしなさそうだし。ていうか妙にすっきりしているのが気になる。サンドリアの体液にそんな効果でもあるのだろうか。

「あ、シルビア様。おはようございます!」

「うん……おはようー……」

 怠そうな身体を引きずってきたシルビア。

「はぁ……」

 めっちゃ溜息ついてる。そして僕を見るなり、あからさまに顔を背けた。めっちゃ気まずい。この前いい雰囲気で「お互い友達でいよう」的な話になったのに、これだからね。ていうか、こっちは完全に記憶がありそうだな。言っておくけど僕のせいじゃないからな。むしろ君らを助けた側だからね?

 微妙な雰囲気の中、皆で朝食を食べた。もちろんシルビア以外は和気あいあいとしていたけどね。ルーナは昨日の一件でプテュエラに気に入られたようで、時折はむられたり、もふられたりしている。ベステルタは既にいない。もうフェイさんに拳法を習いに出かけたようだ。サンドリアは僕の隣で美味しそうに食べていたけど、彼女が身じろぎするたびにシルビアがビクッ、と身体を揺らすのが面白かった。

 まあ平和ってことだね。

「……午後になったらでかけるから、準備しておいてね」

「はーい」

 朝食を食べ終わった後、シルビアはそう言ってそそくさと自室に戻っていった。とりあえず、問題無さげに返事しておいたけど大丈夫だったかな? 申し訳ないが、今は忘れてコスモディアのことに集中してもらおう。

 それにしても久しぶりに午後まで時間が空いたな。何するか。

「サンドリア、部屋でいちゃいちゃしない?」

「う、うん。いいよ」

 快諾するサンドリア。ありがてえありがてえ。

「プテュエラはどう?」

「構わないが、翼の手入れしてからでもいいか? 終わったら行こう」

 プテュエラは身だしなみを整えるらしい。彼女、最近そういうの気にするようになった。なんだか可愛い。

 自室に戻ることをカリンに伝え、しばらくサンドリアといちゃいちゃしたり、ちょっと魔法の練習をしたりした。洗礼を手伝ったり、ルーナと一緒に護衛することも考えたけどね。怠け者な僕を許してくれ。

 それに千霧魔法、うまくなったと思ったんだけどサンドリアとは雲泥の差だったからね。彼女みたいに、戦闘中にぱっと気配を絶てたらそれだけで凶悪な技なので頑張りたい。霧迅掌とかいう馬鹿げた攻撃魔法? も気になる。あと、今回頭の中で唱えるだけでも亜人魔法を使えることが分かったので、そっちもある程度仕上げたい。正直、時間が許す限り亜人魔法の研究をしたいんだけどそうもいかないのが悩ましいよね。

 そんなこんなで、サンドリアに真面目に魔法を教えてもらいつつ、たまにいちゃつきながら時間は過ぎていった。千霧魔法の上達ぶりを見せると、彼女はとても喜んでくれて、積極的にボディタッチしてくるようになった。僕もむらむらしてしまったので、一回軽く繁った。

……

「ししょー、お客さんきましたー、ひん」

「なんかすっごい強そうだぞ! おっさんもいる!」

「御姉様たち程ではないですけど……こちらもなかなか……」

 しばらくすると、ザルドたちが僕を呼びに来た。何事か、と思ったけどたぶん彼らだ。

『ケイ、人族の男と、獣人の女が来たぞ。女の方は、もしかしてサンドリアの言っていたやつか?』

 脳内チャンネルでプテュエラが訊いてきた。昨日、呑み会の前にサンドリアがベステルタとプテュエラにジャンゴさんの奴隷商会であったことを共有していたみたいだし、ある程度知っているんだろう。

『そうだよ。ニステルって言う新しい奴隷。僕よりずっと強いんだ。ぼこぼこにされちゃった』

 ぼこぼこっていうかほとんど殺されかけたけど。

『ふむ……そうか。確かにただの獣人にしては少し強い気配を感じるな』

 少しなのかい。

 まあ、絶対強者の亜人にしてみれば僕とかニステルくらいの強さは五十歩百歩なのかもしれないけどさ。あ、でもベステルタはルーナの実力を詳しく分析していたし、プテュエラが大雑把なだけかもしれないな。

『そしてやや好戦的そうだ。私は姿を消しておこう。まあ、ケンカを売られたら買うがな』

 プテュエラはそう言って風のオーラを纏い、姿を消した。一応空気を読んでくれたのかな? 確かに挨拶もそこそこに戦い始めたら面倒だし。ここはプテュエラの心遣いに感謝しよう。

「あ、ケイ様。こちらの方は、もしかして新しい奴隷の方々ですか?」

 カリンが玄関で来訪者の応対をしていた。ルーナがぴったり横に控えている。あれ、何かいつもと違って目付きが鋭いような……。

「お、我が主。約束通り来たよ。バステンも一緒さね」

 がはは、と豪快に笑い大剣を背負う王虎族の女。

 ニステルだ。最低限の荷物を持っている。ほとんど着の身着のままって感じ。隣にはバステンもいた。

「旦那。あの時の契約を果たしに来た。まさかニステルの姐さんが同僚になるとは思わなかったが……」

 バステンはニステルがいることをまだ呑み込めていないようだった。まあ正直成り行きだったしね。追々、慣れてもらうほかないだろう。

「ニステル、バステン。よく来てくれた。改めて宜しくね。ここが君たちの新しい職場、リッカリンデン孤児院だ。といってもその実は教会なんだけどね。こっちの女性が責任者のカリン・リッカリンデン。君たちと直接の雇用関係は無いけど、僕がとてもお世話になっている司祭だよ。カリンの言うことは僕の言うことだと思って欲しい。あともう一人シルビア・ブラスっていう商人がいるけど、こっちは失礼にならない程度に接してくれれば問題無いよ。仕事上の協力者だね」

 二人と握手をしてカリンを紹介する。ここら辺が難しいんだよな。奴隷の所有者は僕なんだけど、その僕がほぼリッカリンデンに住んでいるようなものだからね。なるべく僕と同等くらいには接してほしいところだけど……。

「なるほど、了解した。大きな傭兵団なら隊長の他に副隊長が複数いるなんて普通のことだ。カリン様、俺はバステンと申します。宜しくお願い致します」

 即座に反応したのはバステン。こっちの微妙な雰囲気を察してくれたっぽい。ニステルより先にカリンを敬ってくれたから雰囲気が一気によくなった。流石、長年荒くれ者を束ねてきただけあるぜ。空気読む力とコミュ力が凄い。

「うーし、アタシは我が主以外に仕える気は無いんだけど、まあ分かったよ。我が主と嬢ちゃんは番みたいなものさね? それなら理解できる。ま、宜しくね」

 適当なニステル。やっぱりこの人、経歴が極端すぎるな。よく分かっていないっぽい。嬢ちゃん呼ばわりは良くない。後で注意しよう。

「ええ。二人ともよく来てくれました。話は聞いています。私はカリン・リッカリンデン。ケイ様の忠実なる従者です。歓迎いたします」

 カリンはにこやかに二人と挨拶する。

 ……聖女オーラが半端ない。なんていうか、妙な貫禄があるというか。めっちゃ堂々としているし、包み込むような優しさに溢れている。

 もっとあわあわすると思ったんだけど、全然そんなことなかった。そうだよね、カリンはジオス様の最後の司祭だし、これくらい威厳を持たないといけないのか。

「おお……」

「へぇ」

 バステンは驚いたように目を開き、ニステルは少し目を細めた。カリンと仲良くしてくれると良いな。

 ただ、これだけは言っておこう。

「カリンは従者って言ってるけど、僕は身分とか気にしないし召使いみたいに扱うつもりはない。だから、カリンにもちゃんと敬意を払ってね?」

 僕もちょっとだけ威厳を出して言ってみたけど、二人は普通に頷いただけだった。ですよねー。

「じゃあ、中を案内するよ。付いて来て……」

「おっと、我が主。ちょっと待ってくれるかい?」

 ニステルがどさりと荷物を降ろし、中に入ろうとした僕を止める。

「どうかした?」

「どうもねえ、アタシと闘いたいって雰囲気の奴がいるんだが相手してやってもいいかい?」

 ニステルはにやりと笑う。

「相手? 闘うってここで?」

「そうさね。あんたもそれでいいだろ、鬣犬族の嬢ちゃん?」

 ニステルは荷物を横にいるバステンに預け、ルーナを見下ろした。

 無言かつ無表情のルーナ。ただ、いつもと違って不機嫌そうだ。

「……ご主人様。申し訳ございません。この者を躾ける許可を頂けますか? 後で罰は受けますので」

 至極平静に言うルーナ。でも目が据わってすごく怖い。

「ハッ! 言うねえ。アタシを躾ける? やってみな、小娘」

 ニステルも顔は笑っているが目が全く笑っていない。

 バチバチに視線を交錯させる両者。

 あれ? なんでこうなった?

(旦那、姐さんはこうなったらもう止まらない。さっさと発散させた方がいい。あと大丈夫だと思うがポーションの準備を)

 バステンがそっと耳打ちしてくれる。

「場所を移しましょう」

「構わないさね。ふふ、初日から楽しくなってきたねえ」

 そう言うと、二人は裏の空き地に向かって歩き出した。

 ……ルーナってこんな熱血キャラだったっけ? 

 とにかく放っておくわけにもいかない。ぽかん、とするカリンを連れて二人の後を追った。
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