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在庫一斉処分
美味しい朝食を終え、自室に戻る途中でシルビアが目で「こっちに来い」と言ってきた。
おいおい、もしかして朝から昨日の続きか……?
「シルビア、どうしたの?」
「ケイ……昨日のことだけど」
「あぁ赤ちゃんつくろ、ってやつ?」
「ちがぁぁぁぁぁぁう!!!」
すごい勢いで否定するシルビア。え、違うのか……あれ、すごいぐっときたんだけど。
「違うんだ……あれはその時だけのものだったと」
「い、いや、違うわけじゃないの。その、今話したいのはそういうことじゃないってこと」
顔を赤らめて、言い訳をしている彼女。
「じゃあなんだい?」
「……すぅ、はーっ。
えっとね、ケイ。私は形式的にはあなたの奥さんではないけれど、あなたのことを支えたいと思ってる」
真剣な表情で話を切り出した。ちょっとびっくりしたけど……うん、嬉しいな。
「うん、ありがとう。僕も、シルビアのこと支えたいと思っているよ」
「……ふふ、ありがとう。ただね……一つお願いがあって」
む、お願いか。なんだろう。フレイムベア皮のバッグ買って、とかかな。
「なんだい?」
「私だけとその、えっちするのはやめてほしいの」
????
斜め上のお願いすぎた。え、どゆこと?
「私以外の女の子と関係持つのは、止めないから。ていうか、して。持たないから。身体が。昨日痛感したのよ。
もしあんなのを毎日受け止めてたら、ほんとに死んじゃう。でもケイは性欲強くてえっちだから……。
まあ、今までも奴隷の子たちとえっちしてたけど。改めて伝えておこうと思って。そ、その、短剣貰ったし……」
もにょもにょと話す彼女の唇が震えている。なるほど、シルビアは改めて立場を明らかにしてくれたんだね。
「それで、もし気になる子がいたら、そういう子ができたら、教えて欲しいの。きちんと話し合いたいから」
ぎゅっと手を握られて目を見つめてくる。綺麗な顔だ。真剣な気持ちが伝わってくる。
「シルビア、実はその件について僕も話そうと思ってたんだよ」
「あ、そうなの? ということは……」
「うん。気になる子がいるんだ」
「……どんな子?」
「冒険者ギルドの受付嬢で、シャールちゃんって言うんだよ。彼女と会ったのは……ああ、シルビアとほぼ同時期だね。そっか、君たちはまだ会ったことないんだね」
二人の女性。二人とも自立した女性で、ちゃんと自分というものを持っている。しかし、両者の視線が交わることはなかったのが、なんだか不思議な気分だ。
「……なによ、やっぱりいるじゃん」
あ、シルビアが明らかにぷんすこしている。そりゃそうだよね。これは僕が悪い。
「ごめんよシルビア。今まで伝える機会がなかったんだ。拗ねないでくれ」
「別に拗ねてないですが?」
ツーーーン、とそっぽを向いてしまった。でもすぐに視線だけこっちに向けて苦笑する。
「……ま、大方そんなところだろうと思ってたけどね。むしろ安心したかな」
「え、なんで?」
「さっきも言ったでしょ? 私一人じゃケイの相手は、む、り!」
「ごめんよぉ」
「いいよ別に怒ってないから。で、そのシャールさん? はどんな人なの? ……まさかアルフィンみたいな感じじゃないよね? だとしたらちょっと覚悟が必要っていうか」
引き合いに出されるアルフィンにちょっと同情する……いや、同情はできないな。
どんな人、か。
「うーん。そうだね。まあ間違いなくアルフィン系ではないよ。そうだなあ、どっちかというとカリン系?」
「……もしかしてケイを盲信する感じの子?」
シルビアが不安そうな顔で見てくる。彼女の中でのカリン評が気になるところだ。
「盲信って感じではないよ。そうだな、とても優しい子だよ。自己評価が低いんだけど、適切に仕事を振って辛抱強く待てばちゃんと結果出してくれる子なんだ。たくさん苦労してるから、人の痛みを理解できるいい子だよ」
「……ケイ、その子なるべく早く連れてきてほしいな……」
シルビアの声に切実さが灯っててちょっと笑ってしまった。
「分かった。なるはやで話振ってみるよ。説明するのが大変そうだけど……」
「そこは男を見せなさい。可愛い女の子囲おうっていうんだから、誠実に一つ一つ対応しなきゃだめだよ」
うっ、正論ティーだ。シルビアが可愛いのは……事実だからな。
「はい」
「よろしい。きちんと相手の目を見て話すこと。キョドらずに堂々とすること。でも横柄になっちゃだめだよ? 分かった?」
「は、はい」
なんかシルビアに有無を言わせない迫力があるぞ。これが尻に敷かれるってやつか。ふむ、最高だな。いや蒼色の覇気か? タネタネのピストルがバスターコールしそうだぜ。
ーー
スラム民の受け入れまで時間があるので、商業ギルドに向かう。
鞄いっぱいに詰め込んだ在庫(ダイオーク、マスキュラス、ダークエイプ)の素材たちを、まとめて処分するためだ。
そう言えばアルフィンが先に商業ギルドに向かったらしいから、向こうで鉢合わせするかもな。
デイライトの中央通りを進み、一等地に建てられている白亜の石材で築かれた堂々たる建物、商業ギルドが視界に入る。
光を受けてまばゆいほどに輝く壁面は、デイライトの栄華と誇りを象徴しているように見える。
(相変わらず立派な建物だよなあ)
扉を押して中に入ると、冷気を帯びた涼しげな空気が肌を撫でた。
すると静かだったフロアが一瞬でざわついた。主に職員たちが。
「……あれ、あの人……?」
「た、タネズ様だ……!!!」
「ギルマスを顎で使ってるっていう……」
「おい、下手に目を合わせるな、殺されるぞ……」
「誰か! 早くロイ呼んでこい! あいつに任せろ!」
そんなことしねーよ。
職員たちがざわめき合い、緊張と興奮の混じった視線がこちらに集まる。
中の一人が目を見開き、書類を放り出して慌てて奥へと駆けていった。
「ちょ、ちょっと、ロイさーん! ロイさああああん!! タネズさん来ました! 来られました!」
新人っぽい子だ。そんなに叫んだら他の人に迷惑じゃ……あ、先輩に殴られた。
(……なんか日に日に対応が大げさになっていってる気がする)
そんな心の声を抱えながら受付に歩を進めると、入れ替わるように奥から若い職員が駆けてきた。
痩身で端整な顔立ち、意志の強そうな瞳は如何にも叩き上げって感じがする。
貫禄が出てきたような気がするな。
「タネズ様っ!」
彼は若干息を荒げながら登場し、足を止めると同時に軽く礼をした。
「本日はいかがされましたか? ポーションのことでしたら申し訳ありません。もう少しお時間を頂きたく……」
「あー違う違う。別件だから落ち着いて。急でごめんね。ちょっとまとめて処分したい素材があってね。大丈夫かな?」
すると彼は見るからにほっとした様子を見せた。ポーション案件、いろんなところからせっつかれてんのかな?
「もちろんです。応接室は既に手配させてあります。すぐにご案内します」
彼はすぐに切り替えてハキハキと対応してれた。誠実で有能、しかもおそらく若干二十代前半にしてこれだからね。日本ではド無能陰キャを地で行っていた僕とは比べるべくも無い。
受付周辺の職員たちがこっそり見守る中、僕はロイに案内されながら奥の応接室へと向かっていった。
ーー
白と銀を基調とした内装の応接質で、ロイさんが手早く茶を淹れながら僕を案内する。応接室には彼と、後ろにキリッとした顔の女性事務員がいる。いかにも仕事できそうな感じだ。ていうか、ちょっと前まではロイさんがあのポジションだったと思うんだけど、出世したってことなのかね?
「それで、本日はどういったご用件で……?」
彼は真面目な顔で尋ねてきた。
僕は軽く息をついて、鞄に視線を落とす。
「うん、さっきと言った通り素材をまとめて処理しちゃいたいんだ。けっこう量があってね。商業ギルドは大きい組織だし、大丈夫だろうと思って頼らせてもらったんだ」
「……お褒めに預かり光栄でございます。商業ギルドは、専用の解体場を複数有しておりますし、規模も王国有数だと自負しています。作業員のレベルも高く、タネズ様のご判断は誠に正しいものと存じます」
おお、ロイさんなんか嬉しそうだな。やっぱ自分の所属している組織が褒められると嬉しいよね。
やっぱり商業ギルドに任せて正解だったみたいだ。
「そっかそっか。ならよかった。安心したよ」
「タネズ様がご安心されたようで、当方としてもほっとしております。それで、いったいどのような素材でしょうか?」
「うん。ダイオーク、マスキュラス、ダークエイプの素材なんだ。まるっと手つかずで残っててさ。ぜんぶ肉とそれ以外に分けて欲しいんだよね。各百頭くらいなんだけど」
僕がそう言うと明らかに空気が凍った。
「……そ、それは……すべて……未解体で、ですか?」
「うん。たくさんあるから、どうしようかと思っててさ。いやー、さすか商業ギルド。頼りになるね」
「……は、はは……おまかせ、ください」
ロイさんが引きつった笑みを浮かべ、手元のペンを持ち直す。
平静を装っているが、額にはうっすらと汗が滲んでいた。
後ろにいるキリッとした職員ちゃんが、目つきをへにょっとさせて慌てている。
「ロ、ロイさん……その量は」
「黙っていろ」
即座に彼女の言葉を制する。上司オーラがすごい。
「えーと、じゃあお願いしても大丈夫?」
「……もちろんです。専属の解体場をフル稼働させます」
それを聞いて僕はうなずいた。
「ダイオークの肉は全部こっちで引き取らせてもらうけど、それ以外の部位は九割そっちに渡すね。で、マスキュラスとダークエイプの肉ってどうなの? おいしいの?」
「え……ぜ、全部……で、ですか?」
ロイさんの顔が再び引きつる。
「タネズ様。ダイオークの肉は、そもそも市場にはまず出回らない希少品。流通例も稀で、価格査定すら曖昧なほどの逸品です。……正直申し上げて、ギルドとしても喉から手が出る代物です」
へー、そうなんだ。オークに二文字ついただけなのにね。まあでもたしかに美味しいから気持ちは分かる。
「もちろん、タネズ様のご意志は最大限尊重します。そちらで消費されるとのこと、何か特別な用途でしょうか?」
「特別ってほどでもないかな。単純に食材として消費したいんだ。最近スラムから人をたくさん雇うことになったからね」
スラムの人たちはきっとお腹をすかせているだろうし、栄養状態もそこまでよくはないだろうから、しっかり精をつけてもらわないと。
「だ、ダイオークの肉をスラムの人間に……? ゴブリン肉で十分なのでは……」
キリッと職員ちゃんは信じられないという表情で言った。
なんか失礼なこと言われた気がしないでもない。
あー、でもロイさんが真っ青になってるから失言くさいな。
「ゴブリン肉って食べられるの?」
「……は。少々お待ちを」
そう言って彼は立ち上がり、ツカツカとキリッと職員ちゃんに近寄ると、えぐりこむようなボディブローを左レバーに突き刺した。彼女は悶絶しうずくまって、内容物を吐き出そうとする前に、彼によって部屋の外に蹴り出された。
彼が怒声を上げて何かを外に指示すると、慌ただしく人が動く音がして、別の職員さんが入ってきた。今度はおっとり顔の職員ちゃんだ。
前から思ってたけど商業ギルドって失言する人多いよな……。優秀だけど思ったこと言っちゃうんだろうね。でも、上の人がそれを戒めてる(物理)から何とか回ってるのだろうか。
逆に冒険者ギルドは組織としてちょっとやばい気がする。シャールちゃんをフォローしてなかったし、あとあのケバいお局みたいな受付嬢が幅利かせてそうだし。
ロイさんは深く頭を下げ、また席に着く。
「大変失礼いたしました。ゴブリン肉ですが、もちろん食用は可能です。しかし味は悪く、最低品質です」
「なるほどね。まあ僕は従業員に美味しいもの食べて長く働いてほしいからゴブリン肉を与えるつもりは無いんだ。そこら辺、彼女にも伝えておいてほしいな」
「はい。必ず伝えます。部下が大変申し訳ありませんでした!」
土下座をしようとするロイさんをなだめ、話の続きを促す。
「で、ダイオーク肉はこっちで確保したいんだけど……」
「かしこまりました。では、ダイオークの肉に関しては、全量をタネズ様に引き渡すよう手配いたします。……内臓はいかがいたしましょうか? 食用は可能と情報はありますが、詳細はわかりません」
「うーん、そうだな。じゃあ内臓は半分そちらに譲るよ。あと、それ以外の素材の九割も商業ギルドに渡すね」
ホルモンやレバーは安定して美味しいだろうからいくらか貰っておきたい。ホルモン炒め、レバニラ炒めを肴に亜人たちや、シルビア、カリンとかと一緒に一杯やりたい。アルフィンもちゃんとお願いしたら分けてあげなくもない。ああ、バステンたちが無事に帰ってきたら宴会をやってもいいな。
「ありがとうございます! ご厚意に感謝いたします」
ロイさんは慌ただしく筆を走らせ、記録用紙に項目を記入していく。
「残りの《マスキュラス》《ダークエイプ》の肉については……」
要は猿とカラスなんだけど、どうなんだろ? ジビエとしては美味しい肉だと聞いたことはあるけど、異世界だからなあ。
「クセはあるけど美味しいとか?」
「ええ、まさにその通りです。ただ調理法によっては評価が変わる可能性もありますが、いかんせん研究が進んでおらず、一般流通は難しい。しかし、高級嗜好品としてなら十分価値があるかと」
「それなら少しだけこっちでも試すけど、大半はそっちに渡していいよ。そうだな……肉と内臓を二割ほどもらえる? あとはぜんぶそっちに卸すね」
「ありがとうございます。非常に助かります……!」
ロイさんの顔がほくほくしている。
「じゃ、そんな感じでお願いね」
「了解しました。迅速に査定を進め、代金は例の口座へ振り込ませていただきます」
「うん、よろしく頼むね。どのくらいで解体は終わるかな?」
「そうですね。量が量ですので、それなりに五日は頂きたいところですが。しかしタネズ様と商業ギルドの仲です。なんとか三日で終わらせてみせましょう」
み、三日? それはすごいな。ダイオークは牛一頭くらいの重さありそうだけど、そんな短時間でいけるのか?
「助かるよ。でも、職人さん達に無理させないようにね」
「はは。特別手当が出るので、むしろみんな張り切ってやりますよ。それに解体スキルを持っている優秀な者が数多くいますので」
なるほど、そういうスキルもあるのか。なら安心だね。
ロイはその場で立ち上がり、深く頭を下げる。
「ケイさん、いつも本当にありがとうございます。今回の取引もギルドにとって大きな支えとなります」
「いいんだよ。こっちも助かるしね。」
ロイさんの誠意は変わらずだった。ここらへんがギルマスにも認められてるところなんだろうなあ。あとは、ギルド内の素材流通がどう動くか。
ダイオークの肉は生活の要でもある。絶対に、美味しく使い切ってやるんだ。
ミゲルに日本のレシピを再現してもらうのもいいな……。絶死の森でやったのは確か、ミルフィーユ鍋だったかな。あとは、やっぱりトンカツは外せないよね。他は生姜焼きとか、角煮とか……うぅ、懐かしくて涙が出そうだ。
僕がそんなことを考えていると、ロイさんが呼吸を整え、覚悟を決めた顔で話を切り出してきた。
「……ところでタネズ様。誠に不躾ながら、当ギルドよりお願いしたいことがございまして……」
申し訳なさそうに眉を下げ、手を膝の上に揃えて深く頭を下げるロイさん。
ふーむ、なんだろう?
おいおい、もしかして朝から昨日の続きか……?
「シルビア、どうしたの?」
「ケイ……昨日のことだけど」
「あぁ赤ちゃんつくろ、ってやつ?」
「ちがぁぁぁぁぁぁう!!!」
すごい勢いで否定するシルビア。え、違うのか……あれ、すごいぐっときたんだけど。
「違うんだ……あれはその時だけのものだったと」
「い、いや、違うわけじゃないの。その、今話したいのはそういうことじゃないってこと」
顔を赤らめて、言い訳をしている彼女。
「じゃあなんだい?」
「……すぅ、はーっ。
えっとね、ケイ。私は形式的にはあなたの奥さんではないけれど、あなたのことを支えたいと思ってる」
真剣な表情で話を切り出した。ちょっとびっくりしたけど……うん、嬉しいな。
「うん、ありがとう。僕も、シルビアのこと支えたいと思っているよ」
「……ふふ、ありがとう。ただね……一つお願いがあって」
む、お願いか。なんだろう。フレイムベア皮のバッグ買って、とかかな。
「なんだい?」
「私だけとその、えっちするのはやめてほしいの」
????
斜め上のお願いすぎた。え、どゆこと?
「私以外の女の子と関係持つのは、止めないから。ていうか、して。持たないから。身体が。昨日痛感したのよ。
もしあんなのを毎日受け止めてたら、ほんとに死んじゃう。でもケイは性欲強くてえっちだから……。
まあ、今までも奴隷の子たちとえっちしてたけど。改めて伝えておこうと思って。そ、その、短剣貰ったし……」
もにょもにょと話す彼女の唇が震えている。なるほど、シルビアは改めて立場を明らかにしてくれたんだね。
「それで、もし気になる子がいたら、そういう子ができたら、教えて欲しいの。きちんと話し合いたいから」
ぎゅっと手を握られて目を見つめてくる。綺麗な顔だ。真剣な気持ちが伝わってくる。
「シルビア、実はその件について僕も話そうと思ってたんだよ」
「あ、そうなの? ということは……」
「うん。気になる子がいるんだ」
「……どんな子?」
「冒険者ギルドの受付嬢で、シャールちゃんって言うんだよ。彼女と会ったのは……ああ、シルビアとほぼ同時期だね。そっか、君たちはまだ会ったことないんだね」
二人の女性。二人とも自立した女性で、ちゃんと自分というものを持っている。しかし、両者の視線が交わることはなかったのが、なんだか不思議な気分だ。
「……なによ、やっぱりいるじゃん」
あ、シルビアが明らかにぷんすこしている。そりゃそうだよね。これは僕が悪い。
「ごめんよシルビア。今まで伝える機会がなかったんだ。拗ねないでくれ」
「別に拗ねてないですが?」
ツーーーン、とそっぽを向いてしまった。でもすぐに視線だけこっちに向けて苦笑する。
「……ま、大方そんなところだろうと思ってたけどね。むしろ安心したかな」
「え、なんで?」
「さっきも言ったでしょ? 私一人じゃケイの相手は、む、り!」
「ごめんよぉ」
「いいよ別に怒ってないから。で、そのシャールさん? はどんな人なの? ……まさかアルフィンみたいな感じじゃないよね? だとしたらちょっと覚悟が必要っていうか」
引き合いに出されるアルフィンにちょっと同情する……いや、同情はできないな。
どんな人、か。
「うーん。そうだね。まあ間違いなくアルフィン系ではないよ。そうだなあ、どっちかというとカリン系?」
「……もしかしてケイを盲信する感じの子?」
シルビアが不安そうな顔で見てくる。彼女の中でのカリン評が気になるところだ。
「盲信って感じではないよ。そうだな、とても優しい子だよ。自己評価が低いんだけど、適切に仕事を振って辛抱強く待てばちゃんと結果出してくれる子なんだ。たくさん苦労してるから、人の痛みを理解できるいい子だよ」
「……ケイ、その子なるべく早く連れてきてほしいな……」
シルビアの声に切実さが灯っててちょっと笑ってしまった。
「分かった。なるはやで話振ってみるよ。説明するのが大変そうだけど……」
「そこは男を見せなさい。可愛い女の子囲おうっていうんだから、誠実に一つ一つ対応しなきゃだめだよ」
うっ、正論ティーだ。シルビアが可愛いのは……事実だからな。
「はい」
「よろしい。きちんと相手の目を見て話すこと。キョドらずに堂々とすること。でも横柄になっちゃだめだよ? 分かった?」
「は、はい」
なんかシルビアに有無を言わせない迫力があるぞ。これが尻に敷かれるってやつか。ふむ、最高だな。いや蒼色の覇気か? タネタネのピストルがバスターコールしそうだぜ。
ーー
スラム民の受け入れまで時間があるので、商業ギルドに向かう。
鞄いっぱいに詰め込んだ在庫(ダイオーク、マスキュラス、ダークエイプ)の素材たちを、まとめて処分するためだ。
そう言えばアルフィンが先に商業ギルドに向かったらしいから、向こうで鉢合わせするかもな。
デイライトの中央通りを進み、一等地に建てられている白亜の石材で築かれた堂々たる建物、商業ギルドが視界に入る。
光を受けてまばゆいほどに輝く壁面は、デイライトの栄華と誇りを象徴しているように見える。
(相変わらず立派な建物だよなあ)
扉を押して中に入ると、冷気を帯びた涼しげな空気が肌を撫でた。
すると静かだったフロアが一瞬でざわついた。主に職員たちが。
「……あれ、あの人……?」
「た、タネズ様だ……!!!」
「ギルマスを顎で使ってるっていう……」
「おい、下手に目を合わせるな、殺されるぞ……」
「誰か! 早くロイ呼んでこい! あいつに任せろ!」
そんなことしねーよ。
職員たちがざわめき合い、緊張と興奮の混じった視線がこちらに集まる。
中の一人が目を見開き、書類を放り出して慌てて奥へと駆けていった。
「ちょ、ちょっと、ロイさーん! ロイさああああん!! タネズさん来ました! 来られました!」
新人っぽい子だ。そんなに叫んだら他の人に迷惑じゃ……あ、先輩に殴られた。
(……なんか日に日に対応が大げさになっていってる気がする)
そんな心の声を抱えながら受付に歩を進めると、入れ替わるように奥から若い職員が駆けてきた。
痩身で端整な顔立ち、意志の強そうな瞳は如何にも叩き上げって感じがする。
貫禄が出てきたような気がするな。
「タネズ様っ!」
彼は若干息を荒げながら登場し、足を止めると同時に軽く礼をした。
「本日はいかがされましたか? ポーションのことでしたら申し訳ありません。もう少しお時間を頂きたく……」
「あー違う違う。別件だから落ち着いて。急でごめんね。ちょっとまとめて処分したい素材があってね。大丈夫かな?」
すると彼は見るからにほっとした様子を見せた。ポーション案件、いろんなところからせっつかれてんのかな?
「もちろんです。応接室は既に手配させてあります。すぐにご案内します」
彼はすぐに切り替えてハキハキと対応してれた。誠実で有能、しかもおそらく若干二十代前半にしてこれだからね。日本ではド無能陰キャを地で行っていた僕とは比べるべくも無い。
受付周辺の職員たちがこっそり見守る中、僕はロイに案内されながら奥の応接室へと向かっていった。
ーー
白と銀を基調とした内装の応接質で、ロイさんが手早く茶を淹れながら僕を案内する。応接室には彼と、後ろにキリッとした顔の女性事務員がいる。いかにも仕事できそうな感じだ。ていうか、ちょっと前まではロイさんがあのポジションだったと思うんだけど、出世したってことなのかね?
「それで、本日はどういったご用件で……?」
彼は真面目な顔で尋ねてきた。
僕は軽く息をついて、鞄に視線を落とす。
「うん、さっきと言った通り素材をまとめて処理しちゃいたいんだ。けっこう量があってね。商業ギルドは大きい組織だし、大丈夫だろうと思って頼らせてもらったんだ」
「……お褒めに預かり光栄でございます。商業ギルドは、専用の解体場を複数有しておりますし、規模も王国有数だと自負しています。作業員のレベルも高く、タネズ様のご判断は誠に正しいものと存じます」
おお、ロイさんなんか嬉しそうだな。やっぱ自分の所属している組織が褒められると嬉しいよね。
やっぱり商業ギルドに任せて正解だったみたいだ。
「そっかそっか。ならよかった。安心したよ」
「タネズ様がご安心されたようで、当方としてもほっとしております。それで、いったいどのような素材でしょうか?」
「うん。ダイオーク、マスキュラス、ダークエイプの素材なんだ。まるっと手つかずで残っててさ。ぜんぶ肉とそれ以外に分けて欲しいんだよね。各百頭くらいなんだけど」
僕がそう言うと明らかに空気が凍った。
「……そ、それは……すべて……未解体で、ですか?」
「うん。たくさんあるから、どうしようかと思っててさ。いやー、さすか商業ギルド。頼りになるね」
「……は、はは……おまかせ、ください」
ロイさんが引きつった笑みを浮かべ、手元のペンを持ち直す。
平静を装っているが、額にはうっすらと汗が滲んでいた。
後ろにいるキリッとした職員ちゃんが、目つきをへにょっとさせて慌てている。
「ロ、ロイさん……その量は」
「黙っていろ」
即座に彼女の言葉を制する。上司オーラがすごい。
「えーと、じゃあお願いしても大丈夫?」
「……もちろんです。専属の解体場をフル稼働させます」
それを聞いて僕はうなずいた。
「ダイオークの肉は全部こっちで引き取らせてもらうけど、それ以外の部位は九割そっちに渡すね。で、マスキュラスとダークエイプの肉ってどうなの? おいしいの?」
「え……ぜ、全部……で、ですか?」
ロイさんの顔が再び引きつる。
「タネズ様。ダイオークの肉は、そもそも市場にはまず出回らない希少品。流通例も稀で、価格査定すら曖昧なほどの逸品です。……正直申し上げて、ギルドとしても喉から手が出る代物です」
へー、そうなんだ。オークに二文字ついただけなのにね。まあでもたしかに美味しいから気持ちは分かる。
「もちろん、タネズ様のご意志は最大限尊重します。そちらで消費されるとのこと、何か特別な用途でしょうか?」
「特別ってほどでもないかな。単純に食材として消費したいんだ。最近スラムから人をたくさん雇うことになったからね」
スラムの人たちはきっとお腹をすかせているだろうし、栄養状態もそこまでよくはないだろうから、しっかり精をつけてもらわないと。
「だ、ダイオークの肉をスラムの人間に……? ゴブリン肉で十分なのでは……」
キリッと職員ちゃんは信じられないという表情で言った。
なんか失礼なこと言われた気がしないでもない。
あー、でもロイさんが真っ青になってるから失言くさいな。
「ゴブリン肉って食べられるの?」
「……は。少々お待ちを」
そう言って彼は立ち上がり、ツカツカとキリッと職員ちゃんに近寄ると、えぐりこむようなボディブローを左レバーに突き刺した。彼女は悶絶しうずくまって、内容物を吐き出そうとする前に、彼によって部屋の外に蹴り出された。
彼が怒声を上げて何かを外に指示すると、慌ただしく人が動く音がして、別の職員さんが入ってきた。今度はおっとり顔の職員ちゃんだ。
前から思ってたけど商業ギルドって失言する人多いよな……。優秀だけど思ったこと言っちゃうんだろうね。でも、上の人がそれを戒めてる(物理)から何とか回ってるのだろうか。
逆に冒険者ギルドは組織としてちょっとやばい気がする。シャールちゃんをフォローしてなかったし、あとあのケバいお局みたいな受付嬢が幅利かせてそうだし。
ロイさんは深く頭を下げ、また席に着く。
「大変失礼いたしました。ゴブリン肉ですが、もちろん食用は可能です。しかし味は悪く、最低品質です」
「なるほどね。まあ僕は従業員に美味しいもの食べて長く働いてほしいからゴブリン肉を与えるつもりは無いんだ。そこら辺、彼女にも伝えておいてほしいな」
「はい。必ず伝えます。部下が大変申し訳ありませんでした!」
土下座をしようとするロイさんをなだめ、話の続きを促す。
「で、ダイオーク肉はこっちで確保したいんだけど……」
「かしこまりました。では、ダイオークの肉に関しては、全量をタネズ様に引き渡すよう手配いたします。……内臓はいかがいたしましょうか? 食用は可能と情報はありますが、詳細はわかりません」
「うーん、そうだな。じゃあ内臓は半分そちらに譲るよ。あと、それ以外の素材の九割も商業ギルドに渡すね」
ホルモンやレバーは安定して美味しいだろうからいくらか貰っておきたい。ホルモン炒め、レバニラ炒めを肴に亜人たちや、シルビア、カリンとかと一緒に一杯やりたい。アルフィンもちゃんとお願いしたら分けてあげなくもない。ああ、バステンたちが無事に帰ってきたら宴会をやってもいいな。
「ありがとうございます! ご厚意に感謝いたします」
ロイさんは慌ただしく筆を走らせ、記録用紙に項目を記入していく。
「残りの《マスキュラス》《ダークエイプ》の肉については……」
要は猿とカラスなんだけど、どうなんだろ? ジビエとしては美味しい肉だと聞いたことはあるけど、異世界だからなあ。
「クセはあるけど美味しいとか?」
「ええ、まさにその通りです。ただ調理法によっては評価が変わる可能性もありますが、いかんせん研究が進んでおらず、一般流通は難しい。しかし、高級嗜好品としてなら十分価値があるかと」
「それなら少しだけこっちでも試すけど、大半はそっちに渡していいよ。そうだな……肉と内臓を二割ほどもらえる? あとはぜんぶそっちに卸すね」
「ありがとうございます。非常に助かります……!」
ロイさんの顔がほくほくしている。
「じゃ、そんな感じでお願いね」
「了解しました。迅速に査定を進め、代金は例の口座へ振り込ませていただきます」
「うん、よろしく頼むね。どのくらいで解体は終わるかな?」
「そうですね。量が量ですので、それなりに五日は頂きたいところですが。しかしタネズ様と商業ギルドの仲です。なんとか三日で終わらせてみせましょう」
み、三日? それはすごいな。ダイオークは牛一頭くらいの重さありそうだけど、そんな短時間でいけるのか?
「助かるよ。でも、職人さん達に無理させないようにね」
「はは。特別手当が出るので、むしろみんな張り切ってやりますよ。それに解体スキルを持っている優秀な者が数多くいますので」
なるほど、そういうスキルもあるのか。なら安心だね。
ロイはその場で立ち上がり、深く頭を下げる。
「ケイさん、いつも本当にありがとうございます。今回の取引もギルドにとって大きな支えとなります」
「いいんだよ。こっちも助かるしね。」
ロイさんの誠意は変わらずだった。ここらへんがギルマスにも認められてるところなんだろうなあ。あとは、ギルド内の素材流通がどう動くか。
ダイオークの肉は生活の要でもある。絶対に、美味しく使い切ってやるんだ。
ミゲルに日本のレシピを再現してもらうのもいいな……。絶死の森でやったのは確か、ミルフィーユ鍋だったかな。あとは、やっぱりトンカツは外せないよね。他は生姜焼きとか、角煮とか……うぅ、懐かしくて涙が出そうだ。
僕がそんなことを考えていると、ロイさんが呼吸を整え、覚悟を決めた顔で話を切り出してきた。
「……ところでタネズ様。誠に不躾ながら、当ギルドよりお願いしたいことがございまして……」
申し訳なさそうに眉を下げ、手を膝の上に揃えて深く頭を下げるロイさん。
ふーむ、なんだろう?
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彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。
献身的なエルフのメイド長リリア。
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