人生をループしているという婚約者の第三王子が全力で謝ってくるのですが、私にはなんのことだかさっぱりわかりません!!

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第1話 そうだ、婚約破棄、しよう!

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 そうだ、婚約破棄、しよう!

 意地悪王子たちに荷物番を命じられ、湖のほとりで一人膝を抱えていた私、シルヴィ・リオンヌは不意に思い立った。


 湖の方に目をやると、第1王子であるフェランは相変わらずのにやけた笑みを浮かべ、婚約者の令嬢とボートの上で密着している。

 ――まったくボートが進んでいないじゃない。イチャイチャしたいだけなら、岸に上がってやればいいものを!


 別のボートに乗った第2王子のグレゴリーは、力任せに漕ぎまくって同乗している婚約者の令嬢を怯えさせている。

 ――あーあ、力があればいいってもんじゃないのよ! 左右均等に力を入れてないからさっきから同じところをぐるぐる回っているだけじゃない!

 
 そして……、私は第3王子・アルフレットが乗った小舟に目を向けた私は、ぎゅっと唇をかみしめた。

 ――アルフレッド様……。


 アルフレッドの金髪は陽の光を受けて神々しいほどに輝き、吸い込まれそうなほど美しい空色の瞳は、目の前にいる少女を優しく見つめていた。

 ボートをこぐフォームも正確で、白く装飾が施されたその小舟は、アルフレッドと令嬢を乗せどんどん湖の中心部へと向かっている。


 本来なら、あのボートにはアルフレッドと私が乗っているはずだ。

 それなのに……。

 婚約者であるはずの私は、一人岸に取り残され、アルフレッドの目の前にいるのは、本来ここにいるはずのない子爵令嬢・ジュリエンヌ・コリニー……。



 私は13歳の時、第3王子のアルフレッドと婚約した。

 それまで幼馴染として仲良くしていたはずのアルフレッドだったが、婚約が決まった途端私に対して急に冷たくなった。おそらく……、幼馴染として一緒に遊ぶ分には良かったが、将来の結婚相手としては、私では役不足だったのだろう。
 そして15歳の時に、貴族の子女が通う王立学園で、アルフレッドは運命の相手に出会ってしまった。

 それが、子爵令嬢のジュリエンヌ・コリニー。ジュリエンヌは桃色の髪と若葉色の瞳を持つ、誰もが目を奪われるようなとても美しい少女だった。
 気づくと、アルフレッドの側には、いつもジュリエンヌがいるようになり、私はアルフレッドから遠ざけられることが多くなっていた。


 だが、この婚約は王家が決めたこと。アルフレッドはいつも公の場では、私を婚約者として立ててくれていた。だが、今日のように王子たちとその婚約者があつまる私的なイベントでは、私は露骨にアルフレットから無視されることになる。
 
 ――こんなふうに。

 荷物番なら、護衛の騎士やお付きの女官にさせればいいことだ。それをさも重要任務のように言いつけられている私。そして、なによりも腹立たしいのは、文句も言わずにそれに従っている自分自身だった。
 少し離れたところに控えている騎士や女官たちも、王子たちの私に対するこんな扱いはもう慣れっこで、今では気遣うような視線すら向けられることはない。



 私はぎゅっと拳を握り締めた。

 ――もう、いいじゃない。だって、十分我慢したわ!!

 先日16歳になった。もう、子供じゃない。自分でなんでも決めてもいい年齢だ。


 すっくと立ちあがった私は、大きく息を吸い込んだ。

「アルフレッド様っ!!」

 私が声を張り上げると、少し離れた場所だったが、アルフレッドは驚いたように私を振り返った。

 アルフレッドが何か言うより先に、私は一方的に宣言した。


「私は、今日ここで、アルフレッド様との婚約を破棄させていただきますっ! 短い間でしたが、どうもありがとうございましたっ!
これからはどうぞ、ジュリエンヌさんとお幸せにっ!!」

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