人生をループしているという婚約者の第三王子が全力で謝ってくるのですが、私にはなんのことだかさっぱりわかりません!!

mizutama2

文字の大きさ
4 / 4

第4話 王子様のことが心配です!

しおりを挟む
 ーーはいぃ?? 今、なんとおっしゃいまして!?


 私は混乱した。

 もちろんアルフレッドが話した内容が一ミリも理解できなかったからである。

 キラキラの第3王子であるアルフレッドは、困惑する私など気にするでもなく、続けた。

「今までの君に対する数々の非礼は、謝罪したところで到底許されるものではないことはわかっている。
勝手なことだとはわかっているが、君だけには理解してもらいたいんだ。
これまでの経緯については、ちゃんと説明する。だから、シルヴィ、私と結婚しよう!」

「えーっと、アルフレッド様……」

 私はアルフレッドに抱えられたまま、こめかみに人差し指を当てた。


「シルヴィ、わかってくれるだろうか?」

 不安そうに揺れる瞳に、私はとりあえず微笑んだ。


「だいたいのところはわかりましたわ。……アンナ!」

 私は首だけ後ろを振り返ると、驚いたまま固まっているアンナを呼んだ。


「すぐにお医者様を呼んで! アルフレッド様は頭を強く打たれたようだわ!」


「ち・が・うっ!」

「ヒッ!」


 アルフレッドに両肩を掴まれ、私は小さく悲鳴を上げた。


「私は頭がおかしくなったわけじゃない! これは真面目な話なんだ!」

「あ、アルフレッド様、とりあえず、離してくださいませ。とても……、痛いですわ」

 私の言葉に、アルフレッドははっと手を離した。

「すまない。つい興奮してしまった」

「とにかく、お掛けにになってくださいませ」

 ソファにアルフレッドを促し、私はアンナにお茶を準備させることにする。


 ーーそれにしても、すごく困ったことになったわ。アルフレッド様の頭のネジがぶっ飛んでしまうだなんて!
 顔と頭だけはとても良い方だったのに……、残念だわ。


「その様子だと、全然信じてくれていないみたいだね」

 正面に座った私に、アルフレッドはにっこりと微笑んだ。


「ええ……、いえっ、アルフレッド様を信じていないわけではありません。ですが、少しびっくりしてしまって」

 ーーここは穏便にすまさなければ……。アルフレッド様は自分自身に起きたことをまだ理解されていないのだわ。


「私も驚いているんだ。あの舟遊びで溺れた時、全て思い出した」

「アルフレッド様、きっとアルフレッドは溺れたときのショックでまだ混乱されているのですわ。その時見た悪夢を、現実と混同されてしまって……」

「悪夢などではない!」

 ーーまあ普通そう言うわよね。当人が信じ切っちゃってるんだから。


「でもアルフレッド様、私としても急にこんなお話を聞かされても戸惑うことばかりですわ。だいたい……、アルフレッド様はジュリエンヌさんととても親しくされていらっしゃいましたよね!?」

 チクリと嫌味を言ってやる。私は絶対に忘れるつもりはない。婚約者である私をほったらかして、ジュリエンヌ嬢に夢中になっていたあの屈辱の日々を!
 
「それには理由があるんだ! きっと信じてくれないと思ったから証人を連れてきた。あの者をここに!」

 アルフレッドが控えていた侍従に命じると、しばらくして扉を開けて部屋にはいってきたのは……。

「ジュリエンヌさん!?」

 肩を落とし、泣きはらした目のジュリエンヌが、侍従に連れられてきた。


「アルフレッド様……、一体何を……」

「シルヴィ、この者は魔道具を使って、私に魅了の術をかけていたのだ!」

「魅了ですって!?」



 ーーああ、また話がややこしくなってしまった!!

しおりを挟む
感想 1

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(1件)

胡麻豆腐
2024.12.30 胡麻豆腐

はじまりから怒涛の展開で楽しみです。突拍子もないところがシルヴィもアルフレッドも似ていてなんとなく波長が合いそうです。主人公よりアルフレッドのほうが訳ありそうな設定で期待しています!

解除

あなたにおすすめの小説

側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!

花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」 婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。 追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。 しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。 夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。 けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。 「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」 フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。 しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!? 「離縁する気か?  許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」 凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。 孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス! ※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。 【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】

【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた

22時完結
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

「いらない」と捨てられた令嬢、実は全属性持ちの聖女でした

ゆっこ
恋愛
「リリアーナ・エヴァンス。お前との婚約は破棄する。もう用済み そう言い放ったのは、五年間想い続けた婚約者――王太子アレクシスさま。 広間に響く冷たい声。貴族たちの視線が一斉に私へ突き刺さる。 「アレクシスさま……どういう、ことでしょうか……?」 震える声で問い返すと、彼は心底嫌そうに眉を顰めた。 「言葉の意味が理解できないのか? ――お前は“無属性”だ。魔法の才能もなければ、聖女の資質もない。王太子妃として役不足だ」 「無……属性?」

「神に見捨てられた無能の職業は追放!」隣国で“優秀な女性”だと溺愛される

佐藤 美奈
恋愛
公爵令嬢アンナ・ローレンスはグランベル王国第一王子ダニエル・クロムハートに突然の婚約破棄を言い渡された。 その理由はアンナの職業にあった。職業至上主義の世界でアンナは無能と言われる職業を成人の儀で神に与えられた。その日からアンナは転落人生を歩むことになった。公爵家の家族に使用人はアンナに冷たい態度を取り始める。 アンナにはレイチェルという妹がいた。そのレイチェルの職業は神に選ばれた人しかなれない特別な職業と言われる聖女。アンナとレイチェルは才能を比較された。姉のアンナは能力が劣っていると言われて苦しい日常を送る。 そして幼馴染でもある婚約者のダニエルをレイチェルに取られて最終的には公爵家当主の父ジョセフによって公爵家を追放されてしまった。 貴族から平民に落とされたアンナは旅に出て違う国で新しい生活をスタートする。一方アンナが出て行った公爵家では様々な問題が発生する。実はアンナは一人で公爵家のあらゆる仕事をこなしていた。使用人たちはアンナに無能だからとぞんざいに扱って仕事を押し付けていた。

王子の寝た子を起こしたら、夢見る少女では居られなくなりました!

こさか りね
恋愛
私、フェアリエル・クリーヴランドは、ひょんな事から前世を思い出した。 そして、気付いたのだ。婚約者が私の事を良く思っていないという事に・・・。 婚約者の態度は前世を思い出した私には、とても耐え難いものだった。 ・・・だったら、婚約解消すれば良くない? それに、前世の私の夢は『のんびりと田舎暮らしがしたい!』と常々思っていたのだ。 結婚しないで済むのなら、それに越したことはない。 「ウィルフォード様、覚悟する事ね!婚約やめます。って言わせてみせるわ!!」 これは、婚約解消をする為に奮闘する少女と、本当は好きなのに、好きと気付いていない王子との攻防戦だ。 そして、覚醒した王子によって、嫌でも成長しなくてはいけなくなるヒロインのコメディ要素強めな恋愛サクセスストーリーが始まる。 ※序盤は恋愛要素が少なめです。王子が覚醒してからになりますので、気長にお読みいただければ嬉しいです。

辺境に追放されたガリガリ令嬢ですが、助けた男が第三王子だったので人生逆転しました。~実家は危機ですが、助ける義理もありません~

香木陽灯
恋愛
 「そんなに気に食わないなら、お前がこの家を出ていけ!」  実の父と妹に虐げられ、着の身着のままで辺境のボロ家に追放された伯爵令嬢カタリーナ。食べるものもなく、泥水のようなスープですすり、ガリガリに痩せ細った彼女が庭で拾ったのは、金色の瞳を持つ美しい男・ギルだった。  「……見知らぬ人間を招き入れるなんて、馬鹿なのか?」  「一人で食べるのは味気ないわ。手当てのお礼に一緒に食べてくれると嬉しいんだけど」  二人の奇妙な共同生活が始まる。ギルが獲ってくる肉を食べ、共に笑い、カタリーナは本来の瑞々しい美しさを取り戻していく。しかしカタリーナは知らなかった。彼が王位継承争いから身を隠していた最強の第三王子であることを――。 ※ふんわり設定です。 ※他サイトにも掲載中です。

婚約破棄された氷の令嬢 ~偽りの聖女を暴き、炎の公爵エクウスに溺愛される~

ふわふわ
恋愛
侯爵令嬢アイシス・ヴァレンティンは、王太子レグナムの婚約者として厳しい妃教育に耐えてきた。しかし、王宮パーティーで突然婚約破棄を宣告される。理由は、レグナムの幼馴染で「聖女」と称されるエマが「アイシスにいじめられた」という濡れ衣。実際はすべてエマの策略だった。 絶望の底で、アイシスは前世の記憶を思い出す――この世界は乙女ゲームで、自分は「悪役令嬢」として破滅する運命だった。覚醒した氷魔法の力と前世知識を武器に、辺境のフロスト領へ追放されたアイシスは、自立の道を選ぶ。そこで出会ったのは、冷徹で「炎の公爵」と恐れられるエクウス・ドラゴン。彼はアイシスの魔法に興味を持ち、政略結婚を提案するが、実は一目惚れで彼女を溺愛し始める。 アイシスは氷魔法で領地を繁栄させ、騎士ルークスと魔導師セナの忠誠を得ながら、逆ハーレム的な甘い日常を過ごす。一方、王都ではエマの偽聖女の力が暴かれ、レグナムは後悔の涙を流す。最終決戦で、アイシスとエクウスの「氷炎魔法」が王国軍を撃破。偽りの聖女は転落し、王国は変わる。 **氷の令嬢は、炎の公爵に溺愛され、運命を逆転させる**。 婚約破棄の屈辱から始まる、爽快ザマアと胸キュン溺愛の物語。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。