実姉をこんなにも好きになる筈がない~危うい僕の変愛ログ~

ちゃかぽこねお

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ep5:姉とキスがしたい

 僕は、自分の人差し指の指先を、じっと見つめた―――。

 数秒前に柔らかな姉の唇に触れた指先だ。気づけば、僕は指の第一関節まで自分の口の中に入れていた。口内に入れた指を舌先で弄んだ。凄くいけないことをしている気がして興奮し、唾液が異常に分泌してくるのを感じた。口元をスマートフォンで隠しながらぺろぺろと自分の指を舐めた。

 舐めまわした自分の指を口から出すと、唾液で濡れた指先が、薄暗いバスの車内でヌラヌラと怪しく光っていた。この指で姉の唇にもう一度触れたい。僕の欲望は暴走し始めていた。気づけば僕の人差し指は、姉の上唇から下唇の順番に唇をゆっくりとなぞっていた。すっかり熟睡しているらしく、そんな事をされても姉に起きる気配は全くない。周りを気にしながら、再びスマートフォンで口元を隠し、もう一度その指を舐めた。さっきよりも甘い気がした。そして、凄くもどかしい気持ちになった。

 キスがしたい――。

 僕は、自分の唇を姉の紗耶香の唇に近づけていった。
 ゆっくり、ゆっくりと。
 あと数ミリまで唇と唇が接近したとき、車内のアナウンスが流れた。
『次は、サクラ公園前、サクラ公園前・・・お降りの方は、降車ボタンでお知らせください・・・・・・』
 僕たちの降りるバス停が近づいてしまった。僕は、姉に近づけていた顔を戻し、窓際の降車ボタンを押した。濡れていない中指で押した。

 寝ている姉を起こし、バス停に到着する直前、僕は姉に提案した。
「お姉ちゃん、・・・相合傘しようよ。あっ・・・僕の傘をカバンから出すの面倒だし、あと、・・・家まで近いし・・・」
「うん、いいよ」
 姉は僕の提案に笑顔で同意してくれた。

「流石に今日は、居ないかぁ・・・」
 バスを降りた姉が公園を見つめて呟く。
「いつもは、誰か居るの?」
「優斗は、『セキジイ』って覚えてる?」
「ああ、あの近所をフラフラしてたおじいさんだよね」
「そう、あのおじいさんが、この公園のベンチに座ってるんだよ」
「えっ!?『セキジイ』まだ生きてるの?」

 『セキジイ』というのは、僕らが小学生くらいの頃、近所を徘徊していた名物爺さんだ。いつもニコニコしながら子供たちを見守っていた印象だ。

「ブランコを漕いでいると、いつの間にかベンチに座っていて、こっちを見てるの。ニコニコして・・・」
「ちょっとまって。お姉ちゃんこの時間にブランコ乗ってるの?」
「たまによ・・・。仕事でイヤな事があったりして、ここで気分転換してから帰るの・・・」
「へぇ~・・・」

 社会に出ると色々と大変なんだなぁ。僕らはそんな話をしながら、一つの傘に姉弟身を寄せて、雨の中家への道を歩いた。





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