【絶対幼女伝説】 〜『主人公は魔王なのに』を添えて〜

是呈 霊長(ぜてい たまなが)

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幼女+紳士さん

25話 〜恐るべきシロ〜①

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 ラブラドリーテの平原。
 オルランドは今日もそこでプルプルと戦い、ステラは遠くから眺めつつ魔力を測定していた。
『プルルプルー!』
 プルプルがオルランドの頭を狙って突撃する。
「ふっ!」
 オルランドは咄嗟に体を低くして回避。
「はぁ!」
 そして流れるように回し蹴りを当てる。
 攻撃を受けたプルプルは吹き飛び、オルランドがそれを追いかける。
『プルルップ!』
 プルプルは体を地面に打ち付けながら態勢を整えるが、オルランドは既に攻撃に移っている。
「せいっ!」
 オルランドは杖の先で突き、プルプルに止めを刺した。
「やったー!」
 戦闘が終わったのを確認して、ステラがオルランドの元へやって来た。
「ふー……。戦闘にも少し慣れてきたか」
 初めてプルプルを倒してから今日で3日。少し動きが良くなり、現在昼過ぎで成果はプルプル5体にまで達していた。初日は朝と昼で2体、2日目は4体なのだから、悪くないと言えよう。
「えとね、まえのより、まりょくがすこし、たかいみたい!」
 ステラが魔力測定装置を見て、オルランドに教える。
「そうか。だが、強さや生態は変わっていないらしいからな、ラードロ盗むモノの影響かどうか判断できぬな」
 。魔王国や白雷の街、ヒトやモンスター、そして魔法や生命の根幹である元素、それを統べるをも襲うという未だ正体不明の怪物たち。
 そのラードロが近頃モンスターに影響を与えているという情報が各地で上がっているため、そしてこの町で立ち往生してしまっているゼティフォールオルランドの暇つぶしも兼ねてこうしてプルプルの魔力を調べているのだ。
 内実、ラードロとの戦いによってを失ってしまったオルランドにとってはリハビリも兼ねているので、最弱モンスターであるプルプルの相手でも文句は無い。
 そして身分証明書とパルトネルを持ってくると言っていたダンテだが、まだ到着の気配が無いので、オルランド達はまだラブラドリーテで過ごす事になりそうであった。
「まだたたかう?」
 ステラは魔力測定装置をポケットに入れつつオルランドに訊いた。
「ああ、もう少し戦いたい。ここ3日の昼食に金を使い過ぎて、国から持ってきた金も少なくなってしまったからな。それに、トニーには寝る場所と朝食に夕飯と面倒をかけて貰っている故、小遣いくらいは自身で稼がねばならぬ」
 オルランドはひとまず杖を腰に提げた。
 今使っているこの杖を提げるためのホルダーは、トニーが使わなくなったからとくれたもので、魔王国から支援を貰えるとは言っても、トニーの気遣いが無ければこうも不自由なく暮らせる事はなかったであろう。
「あしたのおひる、なくなっちゃうの?」
 かなしそうな声でステラが訊いた。
「まあ、ここで怠惰を尽くしてしまえばそうなるな。だが、
「わかった。あ、そだ! おるにゃん、これどうぞ」
 ステラがポケットから何やら紙を取り出してオルランドに渡した。
「これは?」
 オルランドが畳まれていた紙を広げる。
「えとね、トニーがわたしてくださいって、いってたの。でも、よくわかんない」
「ふむ。ステラ、トニーさんと言いなさい。年上のヒトだし、お世話にもなっているであろう?」
 オルランドが注意する。
「ん? はーい」
 ステラは軽く返事をした。
「……まあ、いいか。ええっと……」
 オルランドは紙に書かれてある事を読んだ。
「なんてかいてあるの?」
 ステラが覗き込みながら訊く。
「ああ、価格書? のようなものであるな」
「かかくしょ?」
「ああ。この店に持っていけば、この紙に書かれている値段でアイテムを買い取ってくれるらしいのだ」
「ディアくれるの?」
 は、ここ中央国ディアマンテで主に使われているお金の単位である。
「そうだ。例えば、プルプルを倒して手に入る“グミボール”が50ディア、“結晶”が300ディア、自生している“薬草”が品質次第で50~150ディアだな。……ほう、今利用している店より基本的に倍ほどの値段で買い取ってくれるようだ。他にも、シロプルというモンスターからとれる“グミボール”は250ディア、“結晶”が1500ディアと、これは倒すしかあるまいな……!」
「シロプル?」
「ああ。白いプルプルのことらしいな。少し東に行った所にある草原にいるとか」
「あそこの、みどりいろしてるとこ?」
 ステラが遠くにある草原を指さす。
「……ふむ、そのようだな」
 オルランドは地図を広げて確認する。
「その、シロプル? は、まりょくそくてい、するの?」
 ステラが測定装置を取り出して言った。
「どうであろうな……? 厳密にいえばではないが、プルプル種であるのは間違いないからな。無いより有った方が良いし、一応測定しておくか。必要かどうかは帰って聞けば良かろう」
「わかった」
「よし、そうと決まれば少し力試しも兼ねて行ってみようか。上手くいけば小遣いに困る事もあるまい」
 オルランドは得意げに言った。
「うん!」
 ステラは明日も美味しいごはんが食べられるという事でゴキゲンだった。
「ふむ。ステラ、パルトさんをもっているのであろう?」
 オルランドは歩きながら訊いた。
「うん。どうして?」
 ステラは競走せず、横で歩きながら応えた。
「現金での交換でなく、電子マネーとやらにしてみようかと思ってな。そうすれば落とす心配もなかろう」
 パルトネルでアカウントの紐づけしておけば、最悪パルトネルを落としても新しいものを買う事で入れていたお金をそのまま使う事ができるのだ。
 魔法で拡張した財布やカバンも殆ど無制限にお金を入れられる。だがこちらはそのモノを落としてしまえば、運よくすぐに見つけられない限りお金は戻ってこないと見ていい。
「そか。でも、おるにゃんもパルトもらうんでしょ?」
「だからそれまで、一時的に預かってほしいのだ。まあ、私がまだまだ弱く、いつ倒されて財布を落としてしまうかわからぬのもあるが、ステラは基本的に安全な所で避難しているであろう?」
「うん」
「だから、ステラが預かってくれれば落とす心配は格段に減り、安定してお金が入るようになる。そうなれば美味い食べ物だって食べられるし、欲しいものも買えるからな」
「それはだいじだね!」
 ステラは、『うん、うん』と頷いた。
「今はまだそのような余裕はないが、その内ステラにお小遣いをやるつもりだ」
「なんで?」
「好きな時に欲しいものを買えるであろう。それに、お金の使い方も学べるしな。ああ、それとは別であるが、今回お金をあずかってくれたなら、小遣いとは別に報酬を渡す」
「おぉ~! おやつかっていいの!?」
 ステラは目を輝かせる。
「勿論だ。報酬は何に使っても私は一切文句を言わぬ。ステラが仕事をこなして手に入れるお金だからな。だが、お小遣いは考えて使うのだぞ? 使い過ぎて無くなってしまえば、次に貰える時までおやつは無しになってしまうからな」
 オルランドは指を立ててステラに言った。
「う、うん……。うまくつかえるかな?」
 ステラの顔がこわばる。
「まあ、少しずつ慣れていけばいいさ。正直私もお金の使い方が上手い方ではない故、どうしてもという時は大目に見るつもりぞ。そうでなければ、私自身、お金が無くなった時に困ってしまうからな」
 オルランドは『ふふっ』と笑いつつ肩をすくめた。
「わかった。いっしょにがんばろうね!」
 ステラもオルランドが笑ったのにつられて笑った。
「ああ、そうだな」
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