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第一話~叫ぶアラフィフ~
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俺の名前は相羽 祐。T都で働くしがない営業マンだ。御歳47歳、鬼嫁と名高い妻と、今年大学受験生の娘を持つ、普通のアラフィフ。
仕事はまあまあ出来て、慕ってくれる部下も多い。そんな部下を引き連れて、飲み屋で上司の愚痴をこぼすのがたまの楽しみだ。
なんの支障もない、平凡な人生。歳のせいもあってか、いつしかこれ以上の幸せを望むことも無くなっていた。
それが、駄目だったのかもしれない。
あるいは、いけ好かない上司の悪口を言いすぎたのかもしれない。
あるいは、社長のカツラ疑惑を広めたのが俺だとバレたのかもしれない。
あるいは、単なる不景気なのかもしれない。
あるいは……いや、もうやめよう。いくら理由を探したところで、どうにもならないだろうから。
今朝会社に入った時、嫌な予感はしたのだ。やけに寂しげな表情を見せる部下。したり顔の上司。張り紙の周りに集まる人々。
そして、『辞令』の文字の下に並ぶ名前の数々。大して多くない名前の中から、自分の名前を見つけるのに、時間はかからなかった。
嗚呼、上に上がることを望まなければ、生きていけない社会なのだろうか。得意先で、同じアラフィフと仲良くなったのは、間違いだったのか。あの楽しい時間は、間違いだったのか。
いや、そんなわけがあるか。そんなことがあってたまるか。そんな憤りを覚えつつ、上司に抗議。呆気なく撃沈した。それどころか、
「もう良いよちくしょう!こんな会社、こっちから願い下げだよ!」
なんてお決まりのセリフを叫んでしまった。もう後戻りも出来なくなったという訳だ。
なにより、妻にはなんて言おうか。ある程度の貯蓄があるとは言え、やはり不安だ。まぁでも、こういう危機を共に乗り越えるのが、夫婦ってもんだよな!
「ちょうど良かった、離婚しましょ。親権は私がいる貰うからね、お金の心配はしなくていいから」
ちくしょーーー!!!!
と、言うわけでやけ酒です。やってられっかこんちくしょうめ。世界は俺の敵になったんだ。運は俺を捨てたんだ。神は俺を見放したんだ!
「やってられっかよ、ほんとによぉ。何なんだよ! 俺が何したってんだよ!」
周囲に当たり散らしながら、コンビニ近くの人気の無い公園で叫ぶ。夜も深まってきたが、そんなことはどうでもいい。飲む、飲む、飲むんだ!
「んぁ? なんだもう無くなったのかよ」
空の缶ビールを蹴飛ばす。また買ってこなければだ。何度も行き来するのは面倒だが、飲みたいという欲の方が勝った。
ふらふらとした足取りでコンビニへ向かう。人の叫び声がするが気にしない。
千鳥足でコンビニへ向かう。誰かが自分を呼び止めた気がするが気にしない。
不意に横から照らされた。文句の一つでもつけようと思い、そちらを向く。
トラックがいるとは、思わないじゃんねぇ?
仕事はまあまあ出来て、慕ってくれる部下も多い。そんな部下を引き連れて、飲み屋で上司の愚痴をこぼすのがたまの楽しみだ。
なんの支障もない、平凡な人生。歳のせいもあってか、いつしかこれ以上の幸せを望むことも無くなっていた。
それが、駄目だったのかもしれない。
あるいは、いけ好かない上司の悪口を言いすぎたのかもしれない。
あるいは、社長のカツラ疑惑を広めたのが俺だとバレたのかもしれない。
あるいは、単なる不景気なのかもしれない。
あるいは……いや、もうやめよう。いくら理由を探したところで、どうにもならないだろうから。
今朝会社に入った時、嫌な予感はしたのだ。やけに寂しげな表情を見せる部下。したり顔の上司。張り紙の周りに集まる人々。
そして、『辞令』の文字の下に並ぶ名前の数々。大して多くない名前の中から、自分の名前を見つけるのに、時間はかからなかった。
嗚呼、上に上がることを望まなければ、生きていけない社会なのだろうか。得意先で、同じアラフィフと仲良くなったのは、間違いだったのか。あの楽しい時間は、間違いだったのか。
いや、そんなわけがあるか。そんなことがあってたまるか。そんな憤りを覚えつつ、上司に抗議。呆気なく撃沈した。それどころか、
「もう良いよちくしょう!こんな会社、こっちから願い下げだよ!」
なんてお決まりのセリフを叫んでしまった。もう後戻りも出来なくなったという訳だ。
なにより、妻にはなんて言おうか。ある程度の貯蓄があるとは言え、やはり不安だ。まぁでも、こういう危機を共に乗り越えるのが、夫婦ってもんだよな!
「ちょうど良かった、離婚しましょ。親権は私がいる貰うからね、お金の心配はしなくていいから」
ちくしょーーー!!!!
と、言うわけでやけ酒です。やってられっかこんちくしょうめ。世界は俺の敵になったんだ。運は俺を捨てたんだ。神は俺を見放したんだ!
「やってられっかよ、ほんとによぉ。何なんだよ! 俺が何したってんだよ!」
周囲に当たり散らしながら、コンビニ近くの人気の無い公園で叫ぶ。夜も深まってきたが、そんなことはどうでもいい。飲む、飲む、飲むんだ!
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