アラフィフの俺がダンジョン転生!?~最強の弟子を添えて~

ちゃむ

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第二話~目覚めるアラフィフ~

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 運がないってこういうことなんだな、と痛感する。激痛と共に痛感する、なんて、サムいギャグともつかない言葉が浮かんだ。

 これならまだ、会社にも妻子にも見放される方がマシだった。周囲から心配する声が聞こえる気がするが、もう意識もおぼつかない。

 嗚呼、せめて、妻と娘に会いたいな。それがダメなら、昔の友人に会いたい。青春時代を駆けた、親友達に会いたい。走馬灯らしきものさえ流れ始めた。

「まだ、生きて、いたい……」

 最期の力を振り絞り、声を発した。せめて来世は、豪運に恵まれますように、なんて馬鹿げたことを考えながら。




 頬に暖かい感触を感じる。湿り気があって、獣臭い。実家の大型犬に舐め回された時は、こんな感じだったな。

 待てよ、感触だって?つまり、まだ死んでないということか?奇跡だ!きっと誰かが救急車を呼んで、助けてくれたに違いない!

 胸を喜びでいっぱいにして、溢れる力を使ってまぶたを開く。誰か傍にいるだろうか?この感触の正体は何か?そんな疑問をいだく。

 目を開けると共に流れ込んでくる光。その眩しさに耐えながら、視界を確保。そこには──

 ドラゴンがいた。

 RPGとかでよく見る感じのドラゴンがいた。バッチリ目が合った。迷わず転がって逃げた。慌てすぎたのだろう。思いっきり頭を強打する。

 目の前には岩があった。光る苔がたくさん生えていて、実に幻想的だ。これもRPGで見たことがある気がする。

「……じゃねぇよ! 何ココ!? 犬は? 家族は? 病院はどうした!?」

 混乱のあまり巨大な独り言を発してしまう。だが本当に理解が追いつかない。一体ここはどこだ?

 しかし、本当に気にするべきはそこでは無かった。背後からズシン、と重い音がする。直後かなり強い風を感じた。恐る恐る振り返ると、先程のドラゴン。

 先程の風は鼻息のようだ。大きさはどれくらいだろう、トラックよりは大きい。体は緑色の鱗で覆われていて、これまた大きな口から鋭い牙が除く。

 ねぇドラゴンさん、どうしてそんなに口が大きいの?どうしてそんなに牙が鋭いの?

「俺を食べるためだろ!ド畜生!!」

 岩の影だ、少しでも時間を稼ごう。誰か来るかもしれないし!久々の運動で、思うように体が動かない。いや、それだけじゃない。何だこの服は!?

 ひらひらとしたローブのような服。所々破れていて、土で薄汚れている。よく見ると、赤黒い染みの様なものも点々とついている気が……

 気づけば、手にも杖が握られている。古びた杖で、先端にいくつかの穴が空いていた。

「とにかく、ここで時間を稼いで……」

 ドゴォン、と鈍い音が背後から聞こえる。一つわかったのは、ドラゴンにとって、岩など豆腐以下の障害物にすぎないと言うことだ。

「ご、ごごごごごめんなさいっ! こんなおじさん食ったって何にもならねぇから! お願い食べないでこっち来ないで!!」

 懇願も虚しく、ドラゴンは目の前まで近づいてくる。嫌だ、嫌だ!ゆっくりとドラゴンの口が開くのが見える。鋭い牙が、じわじわと迫ってきた。

「まだ、生きて、いたい……」

 口にしたことがあるような台詞。それは、無意味では無かったのかもしれない。

「貴方の願い、聞き届けましたよ」

「よく耐えた。少し下がっていろ」

 そんなことを言いながら現れた二人は、きっと前世がヒーローか何かだったに違いない。
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