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第一章
第6話
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警官がゆっくりとその場に崩れ落ちる。それによって、背後の人間が見えるようになった。手にはスタンガンを持っている。
「助かりましたよ、フレッド。すみませんね、こういったことは専門外でしょうに」
いきなり襲いかかられたことで乱れた白衣を軽く整え、立ち上がる。久しく会っていなかった友人の前だからだろうか、自分でもわかるほど頬が緩んだ。
彼はフレッド・マゴーニ。自称賭博師のジゴロと言う、どうしようもない男だ。リナウドとは利害関係を結びつつも、信頼し合う関係にある。
警察が来ると聞きつけ、万が一のことを考えた結果、無理を言って病院内に侵入して貰っておいたのだ。警戒し過ぎかとも思ったが、どうやら吉と出たらしい。
「いいってことよ、相棒。それよりも、ほら」
ニヤけた表情とともに右の手のひらが差し出される。わけも分からずその手を見つめていると、とびきり大きなため息が部屋に染み渡った。
「あのなぁ、わかるだろ? 金だよ、金」
左の手を仏の様な、いわゆる『金』の形に変える。その手をゆらゆらと不規則に揺らしながら、手のひらを更に前へ押し出した。
「フレッド、貴方という人は……」
先程のフレッドの物よりも、数段大きいため息を漏らす。しかし、無理を言ったのも事実だ。懐から財布を取り出し、紙幣を数枚投げつける。額は数えない。もとより金銭に執着はないのだから。
ヒラヒラと舞う紙幣を、全て器用にキャッチする姿は、このやり取りがかなりの頻度で行われていることを示していた。
「はい、毎度あり。ところでコイツどうすんだ? このまま放っておく訳にはいかんだろ?」
ソファから転がり落ち、気を失っている男を見る。まだ新米らしさが残るとはいえ警察官。転がしておくのは不味いか。しかし、病院のベットはほとんど埋まってしまっていたはずだ。
「とりあえず、ソファに転がしておいて下さい。私の力では持ち上げられませんので」
フレッドは、ほいよ。と軽く返事をして警官を持ち上げる。こう言った小さなお願いには金銭を要求しないあたり、憎めないところなのだろう。
さらに几帳面なことに、かたわらにあったタオルケットをかける。育ちの良さが出ていると言うか、根が真面目と言うか。
「これでよし、と。じゃあ俺ちょっと急ぎの用があるから。またな、リナウド。今度メシ奢れよ?」
そう言って部屋を出ていこうとするので、思わず引き止めた。時間にルーズな彼が急ぐ程の用事と聞くと、どうしても気になってしまう。彼は振り返ると、心底面倒臭そうな雰囲気を出しつつ、笑って言った。
「教会に行くんだよ。例の神父様に呼ばれてさ」
時計を見るとまだ昼前。こんな時間にあの神父が呼びつけるなど、要件は一つだ。自分が呼ばれなかったことに釈然としない思いを抱く。
どちらにせよ、勤務時間内なので出向くことは出来ないが。しかし、伝言くらいは頼まねば。モタモタして自分だけ彼に会えない何て失態は御免だ。
「彼に、今夜教会に伺うと伝えて下さい」
報告しなければ、この警官のことを。
「助かりましたよ、フレッド。すみませんね、こういったことは専門外でしょうに」
いきなり襲いかかられたことで乱れた白衣を軽く整え、立ち上がる。久しく会っていなかった友人の前だからだろうか、自分でもわかるほど頬が緩んだ。
彼はフレッド・マゴーニ。自称賭博師のジゴロと言う、どうしようもない男だ。リナウドとは利害関係を結びつつも、信頼し合う関係にある。
警察が来ると聞きつけ、万が一のことを考えた結果、無理を言って病院内に侵入して貰っておいたのだ。警戒し過ぎかとも思ったが、どうやら吉と出たらしい。
「いいってことよ、相棒。それよりも、ほら」
ニヤけた表情とともに右の手のひらが差し出される。わけも分からずその手を見つめていると、とびきり大きなため息が部屋に染み渡った。
「あのなぁ、わかるだろ? 金だよ、金」
左の手を仏の様な、いわゆる『金』の形に変える。その手をゆらゆらと不規則に揺らしながら、手のひらを更に前へ押し出した。
「フレッド、貴方という人は……」
先程のフレッドの物よりも、数段大きいため息を漏らす。しかし、無理を言ったのも事実だ。懐から財布を取り出し、紙幣を数枚投げつける。額は数えない。もとより金銭に執着はないのだから。
ヒラヒラと舞う紙幣を、全て器用にキャッチする姿は、このやり取りがかなりの頻度で行われていることを示していた。
「はい、毎度あり。ところでコイツどうすんだ? このまま放っておく訳にはいかんだろ?」
ソファから転がり落ち、気を失っている男を見る。まだ新米らしさが残るとはいえ警察官。転がしておくのは不味いか。しかし、病院のベットはほとんど埋まってしまっていたはずだ。
「とりあえず、ソファに転がしておいて下さい。私の力では持ち上げられませんので」
フレッドは、ほいよ。と軽く返事をして警官を持ち上げる。こう言った小さなお願いには金銭を要求しないあたり、憎めないところなのだろう。
さらに几帳面なことに、かたわらにあったタオルケットをかける。育ちの良さが出ていると言うか、根が真面目と言うか。
「これでよし、と。じゃあ俺ちょっと急ぎの用があるから。またな、リナウド。今度メシ奢れよ?」
そう言って部屋を出ていこうとするので、思わず引き止めた。時間にルーズな彼が急ぐ程の用事と聞くと、どうしても気になってしまう。彼は振り返ると、心底面倒臭そうな雰囲気を出しつつ、笑って言った。
「教会に行くんだよ。例の神父様に呼ばれてさ」
時計を見るとまだ昼前。こんな時間にあの神父が呼びつけるなど、要件は一つだ。自分が呼ばれなかったことに釈然としない思いを抱く。
どちらにせよ、勤務時間内なので出向くことは出来ないが。しかし、伝言くらいは頼まねば。モタモタして自分だけ彼に会えない何て失態は御免だ。
「彼に、今夜教会に伺うと伝えて下さい」
報告しなければ、この警官のことを。
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