アネモネを君に

目を背けて

4

ガチャリという少しだけ重そうな音とともにドアが開かれた。
顔を出した彼女に、
「おはよう。ごめんね楽しみすぎて早く着きすぎちゃった～。」
と声を掛けた。
「おはよ～！大丈夫だよ。うちも楽しみにしてたから！」
彼女は少し低い、けれど可愛らしい声でそう言ってふわっと笑った。

あ、花が咲いた。

ぼんやりとそんなことを考えた。

取り留めのない話をしながらのんびりと歩いていく。彼女とはずっと話していられるような気がする。

……

ショッピングモールで、彼女と色々な店を見て回った。それは、服屋だったり、鞄屋だったり、靴屋だったり本当にたくさんの店を回った。

「少し疲れたね。」

どちらともなしにそう言うと私たちは喫茶店に入った。ショッピングモールの中にある有名なチェーン店だ。
期間限定の甘い甘い飲み物をそれぞれ注文して、飲みながら話した。





「……それでね、なんと！彼氏が出来ました！！」
「え！おめでとう～。だれ？どんな人？」
「あのねぇ、……実は真くんなんだよ。小学校一緒だったでしょ？」

そっかぁ～なんてのほほんと笑う彼女に、できるだけ悪戯っぽく見えるように気をつけながらにやっとして口を開く、

「それはそうとさ、もう高校生じゃない？……彼氏、できた？」



彼女はくすりと小さく笑って言った。