アネモネを君に

背けては居られない

5

その後は、襲い来る眠気に耐えながら古典、数学、日本史と次々に授業を受けた。
今は昼休み。
うーんと唸りながら伸びをして、だばっと机に突っ伏した。
しばらくそのまま足をパタパタしていると、おもむろに立ち上がったスイちゃんが、
「購買行くけど、来る？」
と言うので、返事をしながらゴソゴソと鞄を漁って財布を取り出すと、さよちゃんも立ち上がって一緒にスイちゃんについて行く。
購買は昼休みというのも相まって昼食を求める人でごった返している。
人混みにげっそりとしながらもとりあえず列に並ぶ。

目的の東京らぶすとおりぃcaramelなんて痛い名前の、でも美味しい甘い飲み物を購入できてほくほくした気分でスイちゃんとさよちゃんを見ると、スイちゃんは昼食のパンを、さよちゃんはシュークリームを買っていた。

教室に戻る途中で、買った飲み物を両手で大事に持って歩いていると、階段の滑り止めに足を引っ掛けてベチャッと転んだ。

膝を強打して、足首も捻って、でも飲み物のカップが無事だったのを確認してほっと息をついて立ち上がった。
捻った足もそのうちなんとかなるだろう。

「大丈夫？すごい音したけど……。」
「はつみんだいじょうぶ？」

スイちゃんとさよちゃんが心配そうに声をかけてきたので、大丈夫大丈夫！と返して、でも足がズキっといたんで、思わず顔を顰めた。

ぶつけた膝を確認すると、結構酷いあおたんができていた。
思わず「うわ、ぶんずいろだ……。」と呟くと、私の膝を覗き込んでいたスイちゃんとさよちゃんが不思議そうに首を傾げた。