15 / 54
第12話
しおりを挟むはじめ先生改め、はじめさんとお付き合いをすることになった翌日。
早速私たちは両家の家族に挨拶をする事にした。本日は我が本郷家だ。
昨晩私から両親に簡単な報告はしていたが、改めて2人で挨拶をする事に若干緊張していた。
なのではじめさんが来るまで家の外で待つことにした。
約束の時間5分前にスーツ姿のはじめさんがやってきた。顔には緊張と何故か殴られたような痕がある。
慌てて駆け寄り腫れている口元を見る。
「はじめさん、どうしたんですか?こんなに腫れちゃって。」
そっと腫れに触れると
「大丈夫だ。姉さんに本郷のこと話したら相手のご両親に挨拶する前にキスしようとするなと叱られただけだ。全面的に俺が悪いから気にするな。」
そう言って頭を撫でられた。
あれは私が押し倒して襲った所為なのにと申し訳なくなった。
「私がはじめさんを押し倒してしまったからなんだからはじめさんの所為じゃ無いです。お姉さんには私が謝りますから。ーーーはじめさんも、ごめんなさい。」
そう謝りはじめさんを抱きしめた。はじめさんが抱きしめ返してくれたところで
「コホンッ」と咳払いが聞こえた。
そちらに顔を向けると私の両親が玄関先に立っていた。
「あらあら、熱いわね~。」
と母。
「玄関先で抱き合うとは。しかも『手を出す』『押し倒す』ですか。いや~詳しく聞きたいなぁ。ゆづ葉、山田さん。」
と父。
これは、、、初っ端からやってしまったかもしれない。
はじめさんを見ると真っ青な顔で滝の様な汗をかいていた。
はっと我に帰り頭を下げるはじめさん。
私も倣って頭を下げる。
「申し訳ありません。ご息女にこの様な真似を致しまして。ご挨拶が遅れてしまい重ね重ねすみません。私、山田はじ「ここでは何ですからお入り下さい。山田先生。」」
はじめさんの言葉を遮り家に入る様に促す父。いつも穏やかな父が静かに厳かなオーラを纏っていることに驚いた。
昨日はこんな反応じゃなかったのに。。これは許しを貰えないかもしれない、と不安になりはじめさんの腕の袖を握る。
そんな私にはじめさんは微笑み手を握ってくれた。少し不安が和らいだ。
「ふふっ」
と母の声が聞こえた気がする。
そして改めてリビングにて挨拶をする。
「私、山田一と申します。ご存知かと思いますがゆづ葉さんのクラスの担任をしております。
教師でありながら、そしていい年をした大人でありながら未成年のゆづ葉さんに好意を持ってしまい申し訳ありません。1ミリたりとも弁解の余地は御座いません。
ですが、ゆづ葉さんへの気持ちは嘘偽り無く本気ですのでどうか結婚を前提としたお付き合いをしますことをお許し願いたいです。」
深く頭を下げながら言うはじめさんに更に惚れ直した。そして私も同様に頭を下げ両親に告げる。
「お父さん、お母さん、はじめさんが悪いんじゃないんだ。私がはじめさんを好きになって強引に頷かせただけで、はじめさんは教師としての立場を忘れて居なかった。だからはじめさんを責めないで。私が全て悪いし、責任を取ります。」
すると母が笑いだした。
「あっはっはっ、あなたもう抵抗やめなさいよ。ゆづ葉が口説き落としたみたいだから何言っても無駄よ。ゆづ葉の事だからもし反対でもしたら縁切って出て行くわよ。」
確かにとことん反対でもされたら縁を切る覚悟は出来ていたが、、笑い事では無いよ母さん。
そう心の中でツッコミを入れていると
「はぁ、分かってはいたさ。ゆづ葉は一葉さんの血が色濃く受け継いでいるからね。これだと決めたら命懸けで欲しいものを手に入れる。どんなものでもね。
で今回偶々その存在が担任の教師だった、山田さんだっただけの事。反対はしないさ。
ただ山田さんの誠意は見たいじゃないか。ゆづ葉が惚れた相手なら心配は要らないが1人の男としてのケジメは大事だろ?
うん、良い覚悟、誠意だった。いや~いい子捕まえたねー。」
さっきの厳かなオーラは無くなりいつもの父さんの雰囲気に戻った。
突然の豹変ぶりに訳が分からずはじめさんと顔を見合わせる。
すると母さんが口を開く。
「つまりもう貴方達の事は認めてるってことよ。教師だから何?愛し合っているなら関係無いわよ。ただ私たちは良いけど世間はどうか分からない。だから引き裂かれるなんてことにならない様に卒業までは隠し通しなさい。
これが私たちからのお付き合いの条件かしら。」
両親が頷き合っている。
そう言われ力が抜ける。隣を見るとはじめさんも同じらしく「はぁー」と大きく息を吐いている。
「ふふっ、サプライズ成功ね。
でも本当に良かったわ。はじめさんと呼んでいいかしら?
はじめさんのお陰で孫の誕生に希望の光が差したわ!本当にありがとう。
ゆづ葉ったら女の子にしか興味無いから半ば諦めてたのよね。
だから悠二さんと改めて家族計画始めようとしてたのよ。ねっ、悠二さん?」
ウィンクしながら父に同意を求める母。
なんでだろう、私の事を理由にしていたけど近い将来弟が妹が出来きそうな気がする。
まぁとにかく両親のあれこれは聞きたくないな。
「一葉さん、子供達の前でそんな話しないの。また二人の時にね。
まあそう言う事だから孫は大歓迎だよ。安心して『手を出す』『押し倒す』をしてもいいからね。ただ出来れば卒業は無事迎えて欲しいから避妊はするんだよ。」
父よ。あなたも明け透けなく言わないで欲しい。はじめさんは真っ赤になって可愛い事に。
「父さん、母さんお願いだからオブラートに包んで。はじめさんが真っ赤だから。こんなはじめさんを見るのは私だけにしたいのに。はぁ、、抱き締めたくなっちゃうからやめてよね。本当に卒業を迎えられなくなっちゃうよ?」
そう両親に伝えると
「本郷!お前もやめてくれ!!無理だ!もう許容範囲超えてる。。孫とかひっ、ひっひにんとかもう、、、。常識はどこに?!俺がオカシイのか?
せめて卒業まで健全に!!と!」
「「「えっ?無理でしょ?」」」
家族みんな声が揃った。
「この家みんなこれか!!!」
はじめさんは吠えていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
はじめさんが(なぜか疲労困憊)帰宅した後の事。
「夕子ちゃんにはもう伝えてあるの?」
と母が聞いてきた。
一応告白後の現場を押さえられたので粗方報告していると言うと
「改めてきちんと話した方がいいわよ~。あの子あんたを大好きだから、しっかり話さないと後ろから刺されちゃうわよ、はじめさんが。」
と言われたが刺される?はじめさんが?
背中を押してくれた夕子がそんなことするとは思えなかったが、大親友には全てを伝えたいので頷いた。
「本当、ゆづ葉は分かってるのかしら。夕子ちゃんならやるわよ。」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
還暦妻と若い彼 継承される情熱
MisakiNonagase
恋愛
61歳の睦美と、20歳の悠人。ライブ会場で出会った二人の「推し活」は、いつしか世代を超えた秘め事へと変わっていった。合鍵を使い、悠人の部屋で彼を待つ睦美の幸福。
しかし、その幸せの裏側で、娘の愛美もまた、同じ男の体温に触れ始めていた。
母譲りの仕草を見せる娘に、母の面影を重ねる青年。
同じ男を共有しているとは知らぬまま、母娘は「女」としての業(さが)を露呈していく。甘いお土産が繋ぐ、美しくも醜い三角関係の幕が上がる。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
辺境伯夫人は領地を紡ぐ
やまだごんた
恋愛
王命によりヴァルデン辺境伯に嫁ぐことになった、前ベルンシュタイン公爵令嬢のマルグリット。
しかし、彼女を待っていたのは60年にも及ぶ戦争で荒廃し、冬を越す薪すら足りない現実だった。
物資も人手も足りない中、マルグリットは領地の立て直しに乗り出す。
戦しか知らなかったと自省する夫と向き合いながら、少しずつ築かれていく夫婦の距離。
これは、1人の女性が領地を紡ぎ、夫と共に未来を作る「内政×溺愛」の物語です。
全50話の予定です
※表紙はイメージです
※アルファポリス先行公開(なろうにも転載予定です)
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
悪女と呼ばれた王妃
アズやっこ
恋愛
私はこの国の王妃だった。悪女と呼ばれ処刑される。
処刑台へ向かうと先に処刑された私の幼馴染み、私の護衛騎士、私の従者達、胴体と頭が離れた状態で捨て置かれている。
まるで屑物のように足で蹴られぞんざいな扱いをされている。
私一人処刑すれば済む話なのに。
それでも仕方がないわね。私は心がない悪女、今までの行いの結果よね。
目の前には私の夫、この国の国王陛下が座っている。
私はただ、
貴方を愛して、貴方を護りたかっただけだったの。
貴方のこの国を、貴方の地位を、貴方の政務を…、
ただ護りたかっただけ…。
だから私は泣かない。悪女らしく最後は笑ってこの世を去るわ。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ ゆるい設定です。
❈ 処刑エンドなのでバットエンドです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる