《完結》私好みのあなた。もう離しませんよ。

ポカポカ妖気

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第29話

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はじめさんと会えなくなって一週間たった。

授業は午前のみで各自テストに備え勉強を行う一週間が終わりテスト本番となった。

内容は主要5教科(数学、現代文兼国語、物理、世界史、英語)に加え化学、政治経済、情報処理、保健体育、音楽、美術、各選択科目と全12教科となる。
これを3教科ずつ4日間行うのだ。


夏休みも含め夕子と勉強を重ねてきたので準備は万端だ。


《勉強量的には多くないけどやる気のある夕子に指導するという行為でしっかり落とし込めた気がする。》



そして初日、二日目、三日目と順調に進んで行き本日最終日、最後のテストが始まった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


最後のテストも終了時間に余裕がある状態で終われ、一人一息ついていた。
今回のテストは中々自信がある。


時計を確認する為前を向くと黒板前の席にはテスト監督教師が座っている。
監督教師は学年問わずランダムで決まる。
この時間のこのクラスの担当は金森先生だった。
金森先生が担当だと聞いた女生徒達は浮き足立って居たがテストが始まるとスッと静かになる。
このクラスのみんなは切り替えが早いのが良いところかな。

そんな事を思い出しながらテスト用紙に目を落としボーッとしていると、途端視線を感じる。ここ最近感じている視線だ、と若干体が強張る。

その視線が無くなってから、こっそりそちらを盗み見る。
そうその視線の先には金森先生が居た。


この視線は始業式の翌日から始まった。
移動教室の度、視線を感じるようになったのだ。
最初は気のせいだと思っていた。
だが、寒気を感じる程の絡みつく視線を感じれば嫌でも実感してしまう、、見られているのだと。


その相手が誰なのか、こっそり見回すといつも金森先生の後ろ姿があった。

偶然だと片付けようとしたが、今日この時に確信する。テストを受けている状態で堂々と前から視線を向けることが出来るのは一人しか居ない。
この1週間の視線の正体が金森先生だったのだと。


始業式を思い出す。
私を見た後の目を見開いた表情。
気の所為ではなかったのだ。
何か気になるなら声を掛けてくれればと思うが、あの視線の正体を知るのも怖い気がする。


そんなことを考えているとチャイムが鳴りテストの終わりを告げた。
一番後ろの席だった私は順番に解答用紙を集め金森先生の手元に渡す。
その瞬間、先生の手からするりと用紙がすり抜けていき床に散らばってしまう。
慌てて拾い集め顔を上げるとそこには、見下ろし嘲るような表情の金森先生の顔が、、。
だがそれは一瞬の事ですぐに表情が変わる。


「ごめんごめん、うっかり落としちゃったよ。本郷さんごめんね。」



申し訳ないと苦笑いを表情だった。でも誰もその違和感に気づかない。



「もう、先生っておっちょこちょいなんだねー。」



「えー、そう言うなよー。」



と、さっきの表情が見間違いだったかのように話す先生に恐怖と嫌悪を感じていた。


この後は何も起きず帰りのホームルームの時間になる。
はじめさんの姿を目で捉えながら金森先生の事を相談しようか考える。
だがまだ採点がある為連絡は取り辛い。何より今のところ実害が無く見られているだけだ。こんな事を相談しても良いのかと悩んでしまう。

するとバチッと目線が合う。はじめさんは軽く眉間に皺が寄せると視線を窓に向ける、それを追って行くと校舎裏の花壇の指しているようだ。
再度はじめさんを見ると軽く頷いているので私も返す。
多分これが終わったら花壇に来いと言っているのだろう。


帰りのホームルームが終わる。
夕子はこれから調べ物があるそうだ。
私もはじめさんと会う為お互い用事が終わったら連絡を取り合おうと別れ、校舎裏の花壇へ向かう。
まだきていない様なのでベンチに座り花を眺めているとすぐはじめさんがきた。



「すまん、待たせた。こうして会うのは久しぶりだな。」



はじめさんの声を久しぶりに間近で聞くことができた嬉しさと、先程までの鬱屈とした気持ちが混ざり合い上手く言葉が出てこない。



「会いたかった、はじめさん。」



立ち上がることも忘れ、そう一言だけ言うとはじめさんが心配した声色で聞いてくる。



「ゆづ葉、何があった?教室で見た時、悩んでいるようで心配した。」



ベンチの隣に座りこちらを気遣ってくれた。
心配を掛けたくなかったがこんな姿を見せてしまった手前、この一週間の謎の視線について話すことにした。


私がポツポツ話しだせば、はじめさんの顔色が徐々に曇って行く。


先程のことまで話し終えるとはじめさんが私の両肩に手を置き言い聞かせる様に語る。



「話してくれてありがとう。話を聞く限りゆづ葉は行動を観察されている様に感じる。
だからなるべく一人になる状況は避けて行動してくれ。接触してくる可能性がある。本来なら俺がついていたいんだが、、、すまん。足立と常に一緒に居るんだ。あいつなら対処方法があるはずだ。
俺はヤツについて探ってみる。だからゆづ葉は無茶をせずヤツに近づくな。
何かあればどこであろうと連絡してくれ。」



そう言うと立ち上がりどこかに電話を掛ける。
話が終わるとこちらに向き直り、頭を撫でられた。



「今足立に電話してここに来るよう伝えた。だから足立が来るまでここで待とう。」



そう言われはじめさんの優しさに嬉しいと思いつつもモヤモヤする。そして嫉妬心が頭をもたげる。
いつの間にか二人は番号を交換していたらしい。
なんとか感情を抑えながらどうして夕子の番号を知っているかの理由を聞く。


すると頭を撫でていた手の勢いが増し髪がグチャグチャになってしまった。
不満顔を全面に出すと



「ゆづ葉が思っている様なことは断じて無い。お盆の時に登録させられた。
で、ゆづ葉に何かあれば報告しろ!とさ。本当にあいつに愛されてるな。
ーーー俺の方が嫉妬心にかられる。」



そう言ってソッポを向く姿を見て先程までのモヤモヤが消えて行った。
はじめさんは私の扱い方が上手いようだ。



「ありがとう。」



そうお礼を言えば苦笑いをしてまた優しく頭を撫でてくれた。



そうして過ごしているうちに夕子が現れる。



「さぁ、私にも詳しく教えてもらおうか。」



そう言われ話そうとするとその本人に止められた。



「っとその前に、山田センセイそろそろ職員室へ戻らないといけないんじゃありませんか?」


私達学生が帰宅でも教師はまだまだ仕事がある。こうして渋々と行った形ではじめさんは職員室へ戻る事になった。



「とにかく、俺のやる事はヤツの調査だ。
どこで見ているか分からいから、またしばらくは会えないが毎日連絡を取り合おう。
ーーー絶対にゆづ葉を守るからな。」



そう言って去って行く背中を見送る。
そして道すがら先程の話を話す事になり私達も花壇を後にする。

その時の夕子は何故かピリピリとした空気を纏っていた。
周りを警戒してるような、、?



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



私は気付いて居なかった。
この場にもう一人密かに聞いている人物がいた事を。。。



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