《完結》私好みのあなた。もう離しませんよ。

ポカポカ妖気

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第18話

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こうして私の夏休みは進んでいく。


朝は山田家で朝食をはじめさんと一緒に作り(結局そこに落ち着いた)、出勤組のお見送り。
昼は夕子か結城ちゃんと勉強会。
夜は夕飯を私が作り食卓で一家団欒を楽しむ。
そして帰りははじめさんが車で送ってくれる。
そんなルーティン。


それが当たり前のように馴染んできた頃。
いつものように自宅へ送ってもらう為車の助手席に乗り込む。
運転席を見るとはじめさんが何故か緊張した面持ちで座っている。
何かあったのだろうかと様子を窺っていると



「毎日美味い食事ありがとな。飯とゆづ葉の笑顔を見られるだけで毎日幸せだ。
だが土日も忙しくてあまり時間を作れなくて悪かったと思っている。
だからと言う訳じゃないが、今度の日曜日は、で、で、デートしないか?」



隣をマジマジ見る。
まだ車が発進もしていないのに真っ直ぐ前を見てハンドルを握り締めているはじめさんがいる。
その顔は危機迫るような表情でーーーほんのり朱が差している。

《毎日家に通ってるの仲なのにデートのお誘いでこんな風に緊張してしまうとは、やはり私のツボをついてくるのが上手いな。》


そんなことを思いニヤける私。



「私も毎日はじめさんの顔が見られて幸せだよ。ただ初日みたいな積極的なのもあると嬉しいんだけど。
デートでは期待していいかな?」


ハンドルを握り締めている手にそっと自分の手を添え、身を乗り出してはじめさんの視界に入り込む。
鼻先10センチ、やっと目が合った。嬉しくなり途端に顔がほころぶ。
すると突然私の口を手で隠すはじめさん。
何だ?と思えば茹で蛸さんが口をパクパクさせている。
可笑しくてペロッとその手を舐めると「わっ?!」と声と共に勢いよく手が離れていった。


「やっと目があったかと思えば口押さえられるんだもん、ビックリした。
ふふっ、キスされると思ったとか?
確かにしたいけど、、流石に自重するよ。ここは人目が無いけど車内とはいえ家の外だからね。」



そう言って元の席に座り直す。



「紛らわしいことするな!
手、手も舐めるな!口で言え!口で!」



「だって~目が合わないの寂しいじゃない。それに緊張してる様子だし解そうかと。」



「効果は真逆だ!更に心臓が痛い!」



そう言いながらもさっきとは違い、ちゃんと目を合わせながら会話ができている。



「いや効果アリだね。こっちを見てくれるしさっきより饒舌だよ。いや~解れた解れた。
で初デートどこに行くの?」


そんな所でデートの話に戻した。



「はぁ、ずるいやつだな。。
とりあえず車出すぞ。道すがら話す。」



そして車を発進させたはじめさん。
このままじゃ帰りが遅くなってしまうからの配慮だろう。



「目的地は隣県の動物園だ。規模は大きく無いが動物達と触れ合いが出来るらしい。どうだ?」



動物たちとふれあい!!
それは楽しみだ!
昔から遊園地とかに行くより動物園や水族館で生き物を観察することの方が好きだった。



「うん!動物大好きだから嬉しい!!
はじめさん良く私の好み分かったね。
あっ、もしかしてはじめさんも好きだったりする?」



「俺も動物全般好きだがーーー前動物キャラのマグカップ持ってきてたからゆづ葉も好きなのかと思って、、。」



「愛だね!私の事考えてチョイスしてくれただけでも、もう既に幸せだよ。」



ちゃんと覚えてくれていたんだ、考えてくれたんだ、と心が暖かくなる。
ちょっとした事でこんなにも一喜一憂するのだとはじめさんを好きになり知ることとなった。


あれ?でもはじめさんに渡したマグカップ家で見た事ないような、、。



「はじめさん、そのマグカップ使ってくれてないよね?」



「ーーー預かり物だ。、、大事に仕舞ってある。」




「いやいや、是非使って欲しいな。もう恋人同士なんだし良いでしょ?
あっ、じゃあ私もお揃いのマグカップ持ってくるから一緒に使おう?、、駄目かな?」



預かり物というのもあるだろうけど、未だに『自身の可愛い物好きは変』という気持ちがまだあるんだろうと思う。
だから一緒に使う事を提案してみた。



「駄目じゃない!ーーゆづ葉にはお見通しということか。
あぁそうだな、一緒に使おう。」



そう言いながらここ一番の笑顔を見せて来るんだからはじめさんはタチが悪い。



「はぁ、ずるいのははじめさんだよ。。」



ここは車内と言っても外だ。
しかも現在運転中。
キスもハグも出来ない状態じゃ生殺しだ。

私の言葉に対して不思議そうな顔のはじめさん。
何が言いたいか分からないらしい。



「あのね、はじめさんのその笑顔見てたら愛おしくて、、、思いっきり抱きしめたくて仕方がないの。
運転中だからムリなんだろうけどーーーせめて手を繋ぎたいなって。」



するとはじめさんが私の手を握り引き寄せる。口元に持っていかれたかと思ったらチュッと手の甲に暖かく柔らかい感触がした。



「俺だっていつも我慢しているんだ。
これぐらいはおおめに見てくれ。」



そう言って再び手の甲にキスをした。

くすぐったい気持ちと嬉しいという気持ちが交互に訪れ気恥ずかしかったが、こんな時間を送れることに幸せを感じていた。


ーーーさぁ今週末は初デートだ!ーーー





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



家に着くまで手を繋いでいた私達。
離れがたくなった私ははじめさんを無理矢理玄関先まで招き入れた。

再び手を繋ぎ向かい合う。
するとガチャッとドアが開き帰宅する両親。
その両親二人は同じく仲良く手を繋いでいる。



「「「「あっ、、、。」」」」



お互いの手元を見つつみんなで苦笑いする。


みんな愛しい人には触れ合わずにはいられないってことかな?


はじめさんとまた見つめ合って幸せを噛み締めた。


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