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Liebe guard
07話 剣術トーナメント一回戦一試合目
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「さあさあ、今日も始まったぜ野郎共! 学園最強を決める時間だ!」
「「うぇぇぇぇえええええい!!」」
試合場を囲むように騒ぐ学士達が、狂ったように歓声を上げる。
「受付に引き続き今回も実況は、ハイデン・メストゥが引き受けるぜぃっ!」
「早速始めたいところだが、初めて参加する野郎もいるから簡単にルール説明をするぜ!」
勿論このルール説明は、初出場のアウルとライカに向けられたもの。
「勝負は3分間の一本勝負! 相手に“参った”と言わせるか、有効な攻撃を一発でも入れた方の勝利だ! わかりやすいだろ!」
「それと、3分間で決着がつかなかった場合は両者敗退とする! まあ、大体決着はつくがな! ちなみに、顔面への意図的な攻撃は、反則負けと見なすぜ! 流石に授業で大怪我になるとシャレにならんからな!」
「以上でルール説明は終わりだ! んじゃ、早速一試合目に移るぜ!!」
「「うおおおおおおおぉぉっ!!」」
怒号のような歓声が大会開始の幕開けとなる。
「第一試合!」
「赤コーナーはこの男!!」
「名門の血が疼いたか!? 永きに渡りベールに包まれた実力が遂に解き放たれる!! 初参戦――!!」
「アウリイイィィスト・ピイイィスキィーパアアァー!!」
名を呼ばれると同時に、ゆっくりとサークルに向かって歩を進めるアウル。
その表情は、強い決意に満ち溢れていた。
「そしてえええ、青コーナーはこの男ぉ!!」
「家業の食堂はどーしたッ!? 剣を握っとる場合かッ! 包丁を握れッ!! こちらも初参戦――!!」
「ライカアァァートオオォ・ハァァァティイィスッ!!」
「ちょっと待てぇ! 俺の紹介おかしいだろ!!」
ハイデンに対し文句を垂れながら、ズカズカと入場するライカ。
「さあさあ、両雄出揃いました!! 一試合目からなんと好カード! 実況の私としては、常に一緒に仲良く過ごしていた両選手がどんな試合をするのか興味が尽きませんっ!」
ここぞとばかりにハイデンが私見を挟む。
しかしこの試合の組み合わせは、トーナメント表が完成した時からギャラリーのほぼ全員が楽しみにしていたカードだったのだ。
――沸き立つ観衆の中、二人の少年が相対をする。
「ライカ……どうして」
「お前を一人で行かせるわけねえだろうが」
戸惑いを隠せないアウルに向かって、強い決意を携え堂々と立つライカ。
「約束しろ、アウル。俺が勝ったら、俺も一緒にクルーイルさんのところに連れてけ!」
「……わかったよ」
梃子でも動きそうにないライカの固い意志。
アウルも説得は無理だと諦め、約束をしてしまう。
そして、お互いに定位置につき剣を構える――。
「それではああぁっ! 試合開始ィッ!!」
ハイデンの声と共にギャラリーの一人が指笛を鳴らし、それがゴング代わりとなった。
「うおおおおおおおっ!!」
先に動いたのはライカ。
バンブレードの柄を両手で持ち、不格好に大きく振りかぶりながらアウルに向かって突進。狙いは右肩である。
「おおおーっと、ライカ選手! 素人丸出し感が半端なあああいっ!」
(あぁそうだよ、素人だよ! 剣術なんて今までまともに学ぼうともしなかったからな!)
ギャラリー達から嘲笑が聞こえてくるが、意に介することなくライカは愚直に突き進む。
しかし、なにも考えが無いという訳でもなかったのだ。
(……けどよ、素人なのはアウルも一緒なはず! 素人同士の対決はビビった方が負ける! だから先に仕掛けたもんの勝ちだっ!)
ライカはそう推測。
勢いを殺さずそのまま真っ直ぐ向かう。
「…………」
対するアウルは試合開始地点から微動だにせず、向かってくるライカをただじっと見据えるだけだった。
(もらったぁ――!)
ライカは勢いそのままに、バンブレードを思い切り振り下ろす。
アウルはまだ動く素振りすら見せていない。
観戦をしている誰もが、早くも決着がついたと思った――が。
「え……?」
と漏らしたのは実況のハイデンだったか。ライカだったか。
確認する余地もなく、その場に居た全員が目の前で起きた現象に目を疑ってしまう。
振り下ろした筈のライカのバンブレードは芝生の上に落ち、アウルが逆手に持つバンブレードの柄頭が、ライカの喉元に突き付けられていたのだ――。
「今の、見えた奴いるか……?」
ギャラリーの一部である学士の一人が、その場にいた全員に問い掛ける。
しかし、答えることの出来る者は一人も居なかった。
実況のハイデンも、余裕の観戦を決め込んでいたパシエンスですらも、当然見えてはいない。
誰かがゴクリと生唾を飲み込む。
(ま、マジかよ……コイツ!)
喉元に柄頭を突き付けられている為、下顎を上に向けた姿勢のまま硬直するライカ。
目の前で相対していた彼には今の攻防が全て見えていた。
(アウルは……)
「へぇーやるじゃん。柄で剣撃を真横から弾いて、最小限の動きで喉元に入り込むなんてなー」
「「!!?」」
ライカの思考を読み取ったかのような、絶妙すぎるタイミングで言葉を紡いだのは、いつの間にか観戦に訪れていたサクリウスであった。
「さ、サクリウス様。いつの間に……というか今のを見えていたんですね……」
「なーに、ちょっっっとだけ面白そーに見えたから見に来ただけだっての」
殺伐としていた空気にあっけらかんとした態度を続けるサクリウス。
声をかけたハイデンが戸惑いを見せる。
(……にしてもアウリスト・ピースキーパーか。クルーイルと違って才能は全くねーと思ってたけど、やっぱりあのヴェルスミスの息子なだけあって戦闘センスは半端じゃねーな。ただ気に食わないのが、これ程の実力をなーんで俺達にも今まで隠していたのかってことなんだよなー。ま、この調子だと今日だけは退屈せずに済みそーかな)
思わぬ掘り出し物の発見にサクリウスの機嫌が上向き、口元を鎌の柄のように歪ませる。
「……ライカ、“参った”って言ってくれよ」
冷たく、力強く、アウルはライカに敗北の宣言を要求した。
対するライカは、友人が隠し持っていた思わぬ実力に狼狽えるばかり。
(コイツ、何で今までこんな実力を……。こんな奴……お、俺なんかが勝てるワケがねえ……!)
「ライカ!」
アウルは逡巡するライカに向け、語気を強め判断を煽る――が。
「ま、ま、ままま参った……! なんて、言うわけ無いだろぉっ!」
直後、ライカが後ろに向かってバク転の要領で跳ぶ。
「おおおーっとぉ! ライカ選手跳んだあああー! そして着地失敗いいいぃ!!」
「うるせー!」
そう言うと起き上がり、少しズレた眼鏡を直し、再びアウルの前にライカは立ち尽くす。
倒れた拍子にバンブレードもしっかりと回収をしていた。
「どうしてだよ、ライカ……」
「俺の覚悟は、お前の覚悟にも負けてるつもりなんてねえぞ! 参ったと言わせたいなら……俺を倒してみろ! アウルっ!」
ライカの虚勢とも言える強がりに、ギャラリーは再び熱を取り戻す。
試合は、まだまだ激しさを増していく――。
「「うぇぇぇぇえええええい!!」」
試合場を囲むように騒ぐ学士達が、狂ったように歓声を上げる。
「受付に引き続き今回も実況は、ハイデン・メストゥが引き受けるぜぃっ!」
「早速始めたいところだが、初めて参加する野郎もいるから簡単にルール説明をするぜ!」
勿論このルール説明は、初出場のアウルとライカに向けられたもの。
「勝負は3分間の一本勝負! 相手に“参った”と言わせるか、有効な攻撃を一発でも入れた方の勝利だ! わかりやすいだろ!」
「それと、3分間で決着がつかなかった場合は両者敗退とする! まあ、大体決着はつくがな! ちなみに、顔面への意図的な攻撃は、反則負けと見なすぜ! 流石に授業で大怪我になるとシャレにならんからな!」
「以上でルール説明は終わりだ! んじゃ、早速一試合目に移るぜ!!」
「「うおおおおおおおぉぉっ!!」」
怒号のような歓声が大会開始の幕開けとなる。
「第一試合!」
「赤コーナーはこの男!!」
「名門の血が疼いたか!? 永きに渡りベールに包まれた実力が遂に解き放たれる!! 初参戦――!!」
「アウリイイィィスト・ピイイィスキィーパアアァー!!」
名を呼ばれると同時に、ゆっくりとサークルに向かって歩を進めるアウル。
その表情は、強い決意に満ち溢れていた。
「そしてえええ、青コーナーはこの男ぉ!!」
「家業の食堂はどーしたッ!? 剣を握っとる場合かッ! 包丁を握れッ!! こちらも初参戦――!!」
「ライカアァァートオオォ・ハァァァティイィスッ!!」
「ちょっと待てぇ! 俺の紹介おかしいだろ!!」
ハイデンに対し文句を垂れながら、ズカズカと入場するライカ。
「さあさあ、両雄出揃いました!! 一試合目からなんと好カード! 実況の私としては、常に一緒に仲良く過ごしていた両選手がどんな試合をするのか興味が尽きませんっ!」
ここぞとばかりにハイデンが私見を挟む。
しかしこの試合の組み合わせは、トーナメント表が完成した時からギャラリーのほぼ全員が楽しみにしていたカードだったのだ。
――沸き立つ観衆の中、二人の少年が相対をする。
「ライカ……どうして」
「お前を一人で行かせるわけねえだろうが」
戸惑いを隠せないアウルに向かって、強い決意を携え堂々と立つライカ。
「約束しろ、アウル。俺が勝ったら、俺も一緒にクルーイルさんのところに連れてけ!」
「……わかったよ」
梃子でも動きそうにないライカの固い意志。
アウルも説得は無理だと諦め、約束をしてしまう。
そして、お互いに定位置につき剣を構える――。
「それではああぁっ! 試合開始ィッ!!」
ハイデンの声と共にギャラリーの一人が指笛を鳴らし、それがゴング代わりとなった。
「うおおおおおおおっ!!」
先に動いたのはライカ。
バンブレードの柄を両手で持ち、不格好に大きく振りかぶりながらアウルに向かって突進。狙いは右肩である。
「おおおーっと、ライカ選手! 素人丸出し感が半端なあああいっ!」
(あぁそうだよ、素人だよ! 剣術なんて今までまともに学ぼうともしなかったからな!)
ギャラリー達から嘲笑が聞こえてくるが、意に介することなくライカは愚直に突き進む。
しかし、なにも考えが無いという訳でもなかったのだ。
(……けどよ、素人なのはアウルも一緒なはず! 素人同士の対決はビビった方が負ける! だから先に仕掛けたもんの勝ちだっ!)
ライカはそう推測。
勢いを殺さずそのまま真っ直ぐ向かう。
「…………」
対するアウルは試合開始地点から微動だにせず、向かってくるライカをただじっと見据えるだけだった。
(もらったぁ――!)
ライカは勢いそのままに、バンブレードを思い切り振り下ろす。
アウルはまだ動く素振りすら見せていない。
観戦をしている誰もが、早くも決着がついたと思った――が。
「え……?」
と漏らしたのは実況のハイデンだったか。ライカだったか。
確認する余地もなく、その場に居た全員が目の前で起きた現象に目を疑ってしまう。
振り下ろした筈のライカのバンブレードは芝生の上に落ち、アウルが逆手に持つバンブレードの柄頭が、ライカの喉元に突き付けられていたのだ――。
「今の、見えた奴いるか……?」
ギャラリーの一部である学士の一人が、その場にいた全員に問い掛ける。
しかし、答えることの出来る者は一人も居なかった。
実況のハイデンも、余裕の観戦を決め込んでいたパシエンスですらも、当然見えてはいない。
誰かがゴクリと生唾を飲み込む。
(ま、マジかよ……コイツ!)
喉元に柄頭を突き付けられている為、下顎を上に向けた姿勢のまま硬直するライカ。
目の前で相対していた彼には今の攻防が全て見えていた。
(アウルは……)
「へぇーやるじゃん。柄で剣撃を真横から弾いて、最小限の動きで喉元に入り込むなんてなー」
「「!!?」」
ライカの思考を読み取ったかのような、絶妙すぎるタイミングで言葉を紡いだのは、いつの間にか観戦に訪れていたサクリウスであった。
「さ、サクリウス様。いつの間に……というか今のを見えていたんですね……」
「なーに、ちょっっっとだけ面白そーに見えたから見に来ただけだっての」
殺伐としていた空気にあっけらかんとした態度を続けるサクリウス。
声をかけたハイデンが戸惑いを見せる。
(……にしてもアウリスト・ピースキーパーか。クルーイルと違って才能は全くねーと思ってたけど、やっぱりあのヴェルスミスの息子なだけあって戦闘センスは半端じゃねーな。ただ気に食わないのが、これ程の実力をなーんで俺達にも今まで隠していたのかってことなんだよなー。ま、この調子だと今日だけは退屈せずに済みそーかな)
思わぬ掘り出し物の発見にサクリウスの機嫌が上向き、口元を鎌の柄のように歪ませる。
「……ライカ、“参った”って言ってくれよ」
冷たく、力強く、アウルはライカに敗北の宣言を要求した。
対するライカは、友人が隠し持っていた思わぬ実力に狼狽えるばかり。
(コイツ、何で今までこんな実力を……。こんな奴……お、俺なんかが勝てるワケがねえ……!)
「ライカ!」
アウルは逡巡するライカに向け、語気を強め判断を煽る――が。
「ま、ま、ままま参った……! なんて、言うわけ無いだろぉっ!」
直後、ライカが後ろに向かってバク転の要領で跳ぶ。
「おおおーっとぉ! ライカ選手跳んだあああー! そして着地失敗いいいぃ!!」
「うるせー!」
そう言うと起き上がり、少しズレた眼鏡を直し、再びアウルの前にライカは立ち尽くす。
倒れた拍子にバンブレードもしっかりと回収をしていた。
「どうしてだよ、ライカ……」
「俺の覚悟は、お前の覚悟にも負けてるつもりなんてねえぞ! 参ったと言わせたいなら……俺を倒してみろ! アウルっ!」
ライカの虚勢とも言える強がりに、ギャラリーは再び熱を取り戻す。
試合は、まだまだ激しさを増していく――。
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