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Hello Lucifer
14話 決着
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「アルネイラちゃん、気分の方はどうだ?」
「頭がふらつく……血を失いすぎたようだ」
座りながら壁にもたれるアルネイラが、心配するビナルファにそう返す。
現在彼女はビナルファの風術によって、止血処置が為されている。
傷口の断面から覗く血管を空気の栓で塞ぎ、溢れ出てくる血液を最小限に抑えていたのだった。
ビナルファがマナを温存したのも、セルヴスが魔神の相手を引き受けたのもそう、全ては彼女の命を案じての行動原理だったのだ。
しかしいくら風術の練度に長けたビナルファと言えども、血管の一つ一つ――微細な毛細血管までもを塞ぎきることは叶わず、少しずつではあるが血は滲みポタポタと傷口から滴らせているのが実状となる。
そして彼のマナの残量にもやはり限りがあり、そう長くは処置を施し続けられないのがその顔色から窺えた。
「もう少しの辛抱だ、アルネイラちゃん。後は、セルヴスが止めを刺すだけだ」
彼女に安心を与えると、ビナルファは先程まで自身が居た戦場へと視線を移す。
そこには土術によって捕縛された魔神と、アビアーノから剣を受け取ったセルヴスの姿があった。
◇◆◇◆
セルヴスが石剣を受け取ると、彼はそのまま魔神の元へ身を低く屈めて疾走る。
身動きが取れない魔神に念じる暇も与えず、あっという間に間合いを詰めた彼は剣を逆水平に薙ぐ――。
当然の如く狙いは首筋。
剣撃を放ったセルヴスを始めとした、礼拝の間にいる人間全てが、決着の時を迎えたと確信していた。
――しかし突如、魔神の傍らの空間が捻れ始めたのだ。
「転送術――新手だ! セルヴス、一旦退け!」
グレイムが声を大にして命じる。
しかしセルヴスは剣速を緩めず、振り抜こうとする。
新たな魔神が現れる前に止めを刺せると踏んだのだろう。
(転送術が完了する前に首を……落とす!)
そう気持ちを逸らせた彼の剣閃が、魔神の首を通過するか否かのタイミング。捻れた空間の先である"次元の裂け目"から、赤黒に染まった手が這い出る。
(――――圧壁――――)
「エンケドゥ、どけっ!」
「――っ!」
文字通りの"新手"が念じたであろう特性を感知したシングラルが、猛スピードで駆け寄り割って入るようにセルヴスの肩を押して突き飛ばす。
――しかしその瞬間、目に見えない超重力の壁がシングラルの伸ばした左腕ごと空間を圧し潰し、石床をひしゃげさせる。
「ぐっ……うぅっ!」
そう呻いたシングラルの腕は轟音と共に床へと叩き付けられ、鋭利な刃物で切断されたかの如く、彼の左腕は半分となってしまったのだ。
圧し潰された肘から先は、見るも無惨な姿となって床に転がっている。
「助かったよ、“クィン”」
「……帰るぞ、“オクト”」
"オクト"と呼ばれた青年の姿の魔神が、笑顔を覗かせる。
赤い手だけを裂け目から顕在させた、"クィン"という名の女性の声の魔神がそう返す。
すると、空間の捻れはオクトを捕縛していた石床と瓦礫ごと包むように拡大を見せ、やがて収束を見せる。
「……消えた」
結果、魔神が捕らえられていた箇所は何も無かったかのよう綺麗に床ごと消失し、抉ったような跡だけがその場には残った。
◇◆◇◆
重傷を負ったシングラルさんの元へ、俺とスレイズが慌てて駆け寄る。
「シングラルさん、あの……大丈夫ですか?」
「平気だ。すぐに修復は終わる」
スレイズが訊くと、シングラルさんからはそう返ってきた。
『腕を無くして平気なものか』と思い改めて心配をしたが、みるみる内に元通りになっていく左腕を見て、俺は息を呑む。
彼の身体に魔神の血が流れているというのは本当で、何故そんな人がゼレスティアにいるのだろう、と疑問が過る。
「マルロスローニ、お前……何故邪魔をした!?」
額に青筋を浮かべたセルヴスが、シングラルさんの元へと歩み寄る。
滅多に感情を露にすることのない彼が、こんなにも怒りに満ちているのを見るのは初めてだ。
「ハッ、随分な言い草だな。俺が突き飛ばさなけりゃお前、間違いなく死んでたぞ?」
右腕で左肩を抑えた体勢で、シングラルさんが反論をする。
「そんな事などどうでもいい! お前の邪魔さえなければ、上位魔神を一体仕留めれたのだぞ!?」
自らの命の危機を『そんな事』と言い捨てるセルヴス。
敵を討ち取る事だけを至上命題に掲げたこの国では、模範回答となる主張だろう。
数ある"騎士道の心得”の中でも俺が最も嫌いとしている考えの一つだ。
「口を慎め、セルヴス。命の恩人に対して失礼な真似をするな」
ピースキーパーさんと肩を並べ、遅れてこちらに来たのはグレイム騎士団長。
「騎士団長、しかし……」
「それに私はお前に"退け"と命じ、無視をしたのはお前だ。私からの命令の違反は本来なら厳罰ものだぞ。今すぐマルロスローニに礼と謝罪をするんだ」
「……っ! はっ!」
正論で説き伏せられた彼は深々と頭を下げ、次にシングラルさんへ謝罪を行った。
「……二人はもう、向かったようだな」
ピースキーパーさんのその言葉の通り、ビナルファさんは一足早く宮殿を後にし、貧血で倒れたアルネイラを抱えながら風術で最寄りの診療所へと向かったようだ。
「――騎士団長!」
礼拝の間の入り口から、騎士団長を呼ぶ声。
全員の視線が集中した先には、声を発したアビアーノに加え、ジョルジオスさんとヴァシルが立っていた。
彼等三人は魔神が姿を消した直後、騎士団長から真っ先に階下の様子を見てくるよう命じられていたのだ。
「どうだ? 他に敵は居なかったか」
こちらへ歩み寄ってくる三人に、騎士団長が尋ねた。
「はっ。大広間を始めとした、一階全ての部屋と宮殿周辺を探したところ、他に魔神らしき者の姿はありませんでした。ただ……」
アビアーノが答えるが、口ごもる。
「なんだ? 何かあったのか」
説明を躊躇う彼に代わり、ジョルジオスさんが一歩前に出る。
「……死んどったよ、一階に居った騎士、ぜーんぶ」
「――っ!?」
全員に衝撃が走る。とりわけ驚愕していたのは、騎士達の長であるグレイムだった。
「一階と宮殿周りを警備させてた、上級騎士50名、全て殺されていた……ということか?」
まさか、とでも言わんばかりに改めて確認を要求する騎士団長。
階下にいた騎士達は、ディデイロやメスバー、更には扉の前に配置していた死んだ二人の騎士よりも遥かに手練れな上級騎士ばかり。
警備という建前で配置はされていたんだが、本当の役割は会談後に予定されていた会食での、ゼレスティアの使者達との交流が主目的であったという騎士達。
日頃から五星と共に任務へ駆り出される彼等の戦力は、一人一人が中位魔神と遜色ないレベルだと言われていた。
作戦会議の中でも挙がってた『先発部隊』の面々も、その五十人全員が名を連ねているため、部隊の再編成を余儀なくされるのは火を見るよりも明らかだろう。
――騎士団長がこんなに驚くのも無理はない。
「はっ、彼等に加え、雑務に携わっていた騎士達も併せ、計108名全員の死亡が確認できました」
「全て同一魔神に依るものなのか?」
セルブスが割って挟む。
「はい。死体の"形状"から察するに、先程交戦した上位魔神の特性によるものかと、思われます……!」
アビアーノの返答から推測される事実は、こうだ。
ピースキーパーさんや騎士団長達が会談を行っている間。さっきのオクトと呼ばれた魔神は突如として一階に出現し、俺達に悟られることなく階下の騎士を全滅させたのち、悠々と二階へ昇ってきたということになるのだ。
上位魔神のその強大な戦力が事実を伴い改めて、俺の脳裏に刷り込まれる――。
「……状況を、整理しよう」
ピースキーパーさんが、静かに口を開いた。
「頭がふらつく……血を失いすぎたようだ」
座りながら壁にもたれるアルネイラが、心配するビナルファにそう返す。
現在彼女はビナルファの風術によって、止血処置が為されている。
傷口の断面から覗く血管を空気の栓で塞ぎ、溢れ出てくる血液を最小限に抑えていたのだった。
ビナルファがマナを温存したのも、セルヴスが魔神の相手を引き受けたのもそう、全ては彼女の命を案じての行動原理だったのだ。
しかしいくら風術の練度に長けたビナルファと言えども、血管の一つ一つ――微細な毛細血管までもを塞ぎきることは叶わず、少しずつではあるが血は滲みポタポタと傷口から滴らせているのが実状となる。
そして彼のマナの残量にもやはり限りがあり、そう長くは処置を施し続けられないのがその顔色から窺えた。
「もう少しの辛抱だ、アルネイラちゃん。後は、セルヴスが止めを刺すだけだ」
彼女に安心を与えると、ビナルファは先程まで自身が居た戦場へと視線を移す。
そこには土術によって捕縛された魔神と、アビアーノから剣を受け取ったセルヴスの姿があった。
◇◆◇◆
セルヴスが石剣を受け取ると、彼はそのまま魔神の元へ身を低く屈めて疾走る。
身動きが取れない魔神に念じる暇も与えず、あっという間に間合いを詰めた彼は剣を逆水平に薙ぐ――。
当然の如く狙いは首筋。
剣撃を放ったセルヴスを始めとした、礼拝の間にいる人間全てが、決着の時を迎えたと確信していた。
――しかし突如、魔神の傍らの空間が捻れ始めたのだ。
「転送術――新手だ! セルヴス、一旦退け!」
グレイムが声を大にして命じる。
しかしセルヴスは剣速を緩めず、振り抜こうとする。
新たな魔神が現れる前に止めを刺せると踏んだのだろう。
(転送術が完了する前に首を……落とす!)
そう気持ちを逸らせた彼の剣閃が、魔神の首を通過するか否かのタイミング。捻れた空間の先である"次元の裂け目"から、赤黒に染まった手が這い出る。
(――――圧壁――――)
「エンケドゥ、どけっ!」
「――っ!」
文字通りの"新手"が念じたであろう特性を感知したシングラルが、猛スピードで駆け寄り割って入るようにセルヴスの肩を押して突き飛ばす。
――しかしその瞬間、目に見えない超重力の壁がシングラルの伸ばした左腕ごと空間を圧し潰し、石床をひしゃげさせる。
「ぐっ……うぅっ!」
そう呻いたシングラルの腕は轟音と共に床へと叩き付けられ、鋭利な刃物で切断されたかの如く、彼の左腕は半分となってしまったのだ。
圧し潰された肘から先は、見るも無惨な姿となって床に転がっている。
「助かったよ、“クィン”」
「……帰るぞ、“オクト”」
"オクト"と呼ばれた青年の姿の魔神が、笑顔を覗かせる。
赤い手だけを裂け目から顕在させた、"クィン"という名の女性の声の魔神がそう返す。
すると、空間の捻れはオクトを捕縛していた石床と瓦礫ごと包むように拡大を見せ、やがて収束を見せる。
「……消えた」
結果、魔神が捕らえられていた箇所は何も無かったかのよう綺麗に床ごと消失し、抉ったような跡だけがその場には残った。
◇◆◇◆
重傷を負ったシングラルさんの元へ、俺とスレイズが慌てて駆け寄る。
「シングラルさん、あの……大丈夫ですか?」
「平気だ。すぐに修復は終わる」
スレイズが訊くと、シングラルさんからはそう返ってきた。
『腕を無くして平気なものか』と思い改めて心配をしたが、みるみる内に元通りになっていく左腕を見て、俺は息を呑む。
彼の身体に魔神の血が流れているというのは本当で、何故そんな人がゼレスティアにいるのだろう、と疑問が過る。
「マルロスローニ、お前……何故邪魔をした!?」
額に青筋を浮かべたセルヴスが、シングラルさんの元へと歩み寄る。
滅多に感情を露にすることのない彼が、こんなにも怒りに満ちているのを見るのは初めてだ。
「ハッ、随分な言い草だな。俺が突き飛ばさなけりゃお前、間違いなく死んでたぞ?」
右腕で左肩を抑えた体勢で、シングラルさんが反論をする。
「そんな事などどうでもいい! お前の邪魔さえなければ、上位魔神を一体仕留めれたのだぞ!?」
自らの命の危機を『そんな事』と言い捨てるセルヴス。
敵を討ち取る事だけを至上命題に掲げたこの国では、模範回答となる主張だろう。
数ある"騎士道の心得”の中でも俺が最も嫌いとしている考えの一つだ。
「口を慎め、セルヴス。命の恩人に対して失礼な真似をするな」
ピースキーパーさんと肩を並べ、遅れてこちらに来たのはグレイム騎士団長。
「騎士団長、しかし……」
「それに私はお前に"退け"と命じ、無視をしたのはお前だ。私からの命令の違反は本来なら厳罰ものだぞ。今すぐマルロスローニに礼と謝罪をするんだ」
「……っ! はっ!」
正論で説き伏せられた彼は深々と頭を下げ、次にシングラルさんへ謝罪を行った。
「……二人はもう、向かったようだな」
ピースキーパーさんのその言葉の通り、ビナルファさんは一足早く宮殿を後にし、貧血で倒れたアルネイラを抱えながら風術で最寄りの診療所へと向かったようだ。
「――騎士団長!」
礼拝の間の入り口から、騎士団長を呼ぶ声。
全員の視線が集中した先には、声を発したアビアーノに加え、ジョルジオスさんとヴァシルが立っていた。
彼等三人は魔神が姿を消した直後、騎士団長から真っ先に階下の様子を見てくるよう命じられていたのだ。
「どうだ? 他に敵は居なかったか」
こちらへ歩み寄ってくる三人に、騎士団長が尋ねた。
「はっ。大広間を始めとした、一階全ての部屋と宮殿周辺を探したところ、他に魔神らしき者の姿はありませんでした。ただ……」
アビアーノが答えるが、口ごもる。
「なんだ? 何かあったのか」
説明を躊躇う彼に代わり、ジョルジオスさんが一歩前に出る。
「……死んどったよ、一階に居った騎士、ぜーんぶ」
「――っ!?」
全員に衝撃が走る。とりわけ驚愕していたのは、騎士達の長であるグレイムだった。
「一階と宮殿周りを警備させてた、上級騎士50名、全て殺されていた……ということか?」
まさか、とでも言わんばかりに改めて確認を要求する騎士団長。
階下にいた騎士達は、ディデイロやメスバー、更には扉の前に配置していた死んだ二人の騎士よりも遥かに手練れな上級騎士ばかり。
警備という建前で配置はされていたんだが、本当の役割は会談後に予定されていた会食での、ゼレスティアの使者達との交流が主目的であったという騎士達。
日頃から五星と共に任務へ駆り出される彼等の戦力は、一人一人が中位魔神と遜色ないレベルだと言われていた。
作戦会議の中でも挙がってた『先発部隊』の面々も、その五十人全員が名を連ねているため、部隊の再編成を余儀なくされるのは火を見るよりも明らかだろう。
――騎士団長がこんなに驚くのも無理はない。
「はっ、彼等に加え、雑務に携わっていた騎士達も併せ、計108名全員の死亡が確認できました」
「全て同一魔神に依るものなのか?」
セルブスが割って挟む。
「はい。死体の"形状"から察するに、先程交戦した上位魔神の特性によるものかと、思われます……!」
アビアーノの返答から推測される事実は、こうだ。
ピースキーパーさんや騎士団長達が会談を行っている間。さっきのオクトと呼ばれた魔神は突如として一階に出現し、俺達に悟られることなく階下の騎士を全滅させたのち、悠々と二階へ昇ってきたということになるのだ。
上位魔神のその強大な戦力が事実を伴い改めて、俺の脳裏に刷り込まれる――。
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