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一章
一章②
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「僕が犬達の行動を不審に思い調べ出したのが君の研究室に来る3ヶ月ほど前だったな。」
一条は驚いた様子で、話を聞きながらコーヒーを飲み干して、紅茶の紙コップに砂糖とミルクを入れる。
「驚いたな。そんなに前から、再会した時ですらペットによる事件が多いくらいの報道だったはずだ。」
「僕と君の差はシンプルだよ。」
一条はハッとして、続く言葉を遮り話し始めた。
「すまない。配慮が足りなかった。」
「いや、構わない。辛い事ではあったが今は考察の方が重要だ。僕の飼っていた犬も急に失踪したんだ。」
夏月もコーヒーを片づけて、紅茶の紙コップを手に取るが何も入れずにそのまま飲み始める。
「私は噛まれたり、する事はなかったが首輪を引きちぎって脱走していたからね。朝起きたら、リビングで血だらけになっていたから慌てて病院に連れて行こうと玄関を開けたら急に走り去ってね。」
「君を攻撃したくなかったんだろうか。」
「それは希望的感想だね。動揺させて逃げ切ったように感じてはいたよ。」
夏月は新たな資料を鞄から取り一条に差し出しながら話を続けた。
「そうか。」
「ああ、それまでに異変は何もなく突然だったからね。狂犬病の疑いもないから、不思議に思い同様の事件を調べたのさ。まずは資料を読んでみてくれ。」
「わかった。」
そして、一条は資料と共に当時のニュースを夏月は飼い犬であるアーサーが逃げ出した暑い夏の日を思い出す。
2199年夏
探偵事務所にて
犬科の生物が狂犬病の様な症状を起こす事が多発しているニュースは以前から気にしていた。だが、自分のペットには予防接種などを十分にしているので心配していなかった夏月だったが、近頃は動物園で飼育されている動物から野犬にいたるまで同じ様に症状が広がるのは狂犬病としてはおかしいと考えていた。依頼のない日に飼い犬のアーサーのためにも原因を調べてみようかと考えて、休みの日だったが早くに起き、部屋を出てまず異臭に気付く。脳裏をよぎったのは折にぶつかり続けて死んでしまった狼のニュースを思い出して慌ててリビングに走って行く。そこで見たのは首から血を流してぐったりと倒れている飼い犬アーサーだった。
「アーサー!大丈夫か?」
アーサーを抱き抱えて、玄関を開けるとすぐに暴れ出したアーサーを離してしまう。
普段の夏月であれば、昨今のニュースを考えていればすぐに玄関を開けることはなかっただろう。だが、やはり自分の飼い犬が倒れている姿を見て冷静さを失っていた。すぐに追いかけたが見失い家に帰った頃には冷静さを取り戻していた。
「おかしい。アーサーは賢いが、今回のこれは人間の様な知性を感じる。」
現代 一条研究室
「そこからだね。僕が一連の犬についての事件を調べ始めたのは」
「そうか。」
紅茶も飲み終えた一条は、インスタントコーヒーを淹れる。
「だが、わからない。それで何故あの犬の知性が人間並だと感じたんだ。」
少しだけ、淋しく笑いながら答えた。
「君は僕を騙し切れるか。」
「何を、」
と言いつつ、どんなドッキリやサプライズも見破られる事を思い出す。
「無理だな。」
「彼はやってのけたんだよ。僕の認識を利用して、古式ゆかしい騙しの手段死んだフリただそれだけで、僕を騙し逃げ切った。人間の自分達に対する認識を逆手に取って実に鮮やかにね」
「そう言われると、怖いな」
「それからは、足で調べたさ。そこから君と合うまでの3ヶ月を振り返ろう。」
一章③に続く
一条は驚いた様子で、話を聞きながらコーヒーを飲み干して、紅茶の紙コップに砂糖とミルクを入れる。
「驚いたな。そんなに前から、再会した時ですらペットによる事件が多いくらいの報道だったはずだ。」
「僕と君の差はシンプルだよ。」
一条はハッとして、続く言葉を遮り話し始めた。
「すまない。配慮が足りなかった。」
「いや、構わない。辛い事ではあったが今は考察の方が重要だ。僕の飼っていた犬も急に失踪したんだ。」
夏月もコーヒーを片づけて、紅茶の紙コップを手に取るが何も入れずにそのまま飲み始める。
「私は噛まれたり、する事はなかったが首輪を引きちぎって脱走していたからね。朝起きたら、リビングで血だらけになっていたから慌てて病院に連れて行こうと玄関を開けたら急に走り去ってね。」
「君を攻撃したくなかったんだろうか。」
「それは希望的感想だね。動揺させて逃げ切ったように感じてはいたよ。」
夏月は新たな資料を鞄から取り一条に差し出しながら話を続けた。
「そうか。」
「ああ、それまでに異変は何もなく突然だったからね。狂犬病の疑いもないから、不思議に思い同様の事件を調べたのさ。まずは資料を読んでみてくれ。」
「わかった。」
そして、一条は資料と共に当時のニュースを夏月は飼い犬であるアーサーが逃げ出した暑い夏の日を思い出す。
2199年夏
探偵事務所にて
犬科の生物が狂犬病の様な症状を起こす事が多発しているニュースは以前から気にしていた。だが、自分のペットには予防接種などを十分にしているので心配していなかった夏月だったが、近頃は動物園で飼育されている動物から野犬にいたるまで同じ様に症状が広がるのは狂犬病としてはおかしいと考えていた。依頼のない日に飼い犬のアーサーのためにも原因を調べてみようかと考えて、休みの日だったが早くに起き、部屋を出てまず異臭に気付く。脳裏をよぎったのは折にぶつかり続けて死んでしまった狼のニュースを思い出して慌ててリビングに走って行く。そこで見たのは首から血を流してぐったりと倒れている飼い犬アーサーだった。
「アーサー!大丈夫か?」
アーサーを抱き抱えて、玄関を開けるとすぐに暴れ出したアーサーを離してしまう。
普段の夏月であれば、昨今のニュースを考えていればすぐに玄関を開けることはなかっただろう。だが、やはり自分の飼い犬が倒れている姿を見て冷静さを失っていた。すぐに追いかけたが見失い家に帰った頃には冷静さを取り戻していた。
「おかしい。アーサーは賢いが、今回のこれは人間の様な知性を感じる。」
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「そこからだね。僕が一連の犬についての事件を調べ始めたのは」
「そうか。」
紅茶も飲み終えた一条は、インスタントコーヒーを淹れる。
「だが、わからない。それで何故あの犬の知性が人間並だと感じたんだ。」
少しだけ、淋しく笑いながら答えた。
「君は僕を騙し切れるか。」
「何を、」
と言いつつ、どんなドッキリやサプライズも見破られる事を思い出す。
「無理だな。」
「彼はやってのけたんだよ。僕の認識を利用して、古式ゆかしい騙しの手段死んだフリただそれだけで、僕を騙し逃げ切った。人間の自分達に対する認識を逆手に取って実に鮮やかにね」
「そう言われると、怖いな」
「それからは、足で調べたさ。そこから君と合うまでの3ヶ月を振り返ろう。」
一章③に続く
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