かつて転生者だった私たちは

塩沢ぷじゃん

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「で、どういうつもりだったんだ?」

ひと通り盛り上がった後のエリオット王子の詰問口調にビクッと身構える。

「怖いよ王子、そんなんじゃ話せないだろ」

ジュリアンが庇ってくれた。正直ゲームの方のは軽薄で好きになれなかったけどこっちのジュリアンだったら推せる!とか思ってる場合じゃなかった。

「えぇと」

私は気持ちを落ち着かせながら喋り出す。

「私はただ平穏無事に過ごしたかっただけで、でも最後のイベントは絶対だからひたすらレベルを上げてました」

 そう、このゲームにも一応最後に世界浄化イベントがあるが、よっぽどの事が無い限りここでゲームオーバーになることは無い。
 ちなみに、レベルの他に各キャラとの親密度が高い程浄化の作用が高まるのでグッドエンドを見る事ができる。私はだいたいノーマルエンドでしたが……

「それなら知ってるなあ。時々様子見がてら話しかけてたし。浄化イベントでがあったら嫌だったからね」

とジュリアン。
 たまに話しかけられるなーとは思ってたけどそんな意図があったなんて。

「その辺は心配ないよ。聖女が見つかり次第修練させるよう王命が下っていたからね」
「だからエリオットもヒロインに関わろうとしなかったのか」
「必要が無いからね。波風も立てたくなかったし」

 なんだろう、雨に当たって冷えたのかなあ。あまりの冷たさに体が震えてきそう。

「私も最初どうなるか不安でしたが、エンジュさんが良識のある方で良かったです」

 確かにライラさんとは距離を取っていたし、たまに廊下ですれ違う時でも、軽く会釈しながら「……っス」「……ゥっス」って挨拶を交わす程度だったな。思い返してみれば前世持ちって分かるヒントはあったのかもしれない。
 聖女であっても極力目立たなければわざわざ平民に絡まないだろうと思ってたからそういうことなんだって勘違いしてた。あと良識のある方ってコレ褒められてないよね。

「何なの?なんなのよ…さっきからみんなで。わた、わ、私だってヒロインで、そんなに毛嫌いしなくたっていいじゃない!聖女修行大変だったんだから!もっとチヤホヤがあっても良かっ……なんでみんなそんなに上手く適応出来てるのー⁉︎」

 ヒステリックに喚く私をジュリアンが抱きしめて大丈夫だからとあやしてくれた。
 あまりのことにヒッと硬直する。しかもいい匂いがする。我を取り戻すどころかそのままどこかへ抜けていってしまいそうなところを留まる。チョロ過ぎませんか自分。

ジュリアンをぐいっと手で押して離し、

「取り乱してすいませんでした」

とテーブルに額を付けて謝った。

「いや、こっちも悪かったよ。エンジュの事っていうよりエンジュの…ああ、ややこしいな!だから、ヒロインがゲームの通りじゃなくて君だったから良かったって。ほら!エリオットもなんか言え!」

「あ、ああ。そうだな、すまない。なんというか……いや、もっと性悪な奴が転生しててもおかしくなかったっていうか。どうか、顔を上げてほしい」
「私も、こんなつもりじゃなかったの、ごめんなさい」
「俺も悪ふざけが過ぎた。ごめん」

と、みんなに謝られるとそれはそれで居心地が悪い。のそのそと頭を上げて「いえ、その、こちらこそ」と返すのが精一杯だった。
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