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おまけ 3 終
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王都の別邸に着いた。ソワソワして落ち着かないけど長旅でみんな疲れてるだろうし今日は休む事に。
と思ったらミランダから作戦会議を持ちかけられた。良かった、心配で眠れそうになかったから。
書類の束をミランダに見せるとだんだん険しい顔つきに。終いには剣の柄に手を掛けたので慌てて弁明した。半ベソかいた。ついでに自分のことも話した。
信じられなそうだったけど、色々思い当たるようだ。
涙を零した時は慌ててしまった。泣き顔も素敵だ、じゃなくて!ハンカチを差し出す、今のスマートじゃなかったか。タイトル忘れたけどあの映画観てて良かった。
その後の言葉で原作の強制力とやらから抜け出せたことを知った。嬉しくなって思わず抱き締めてしまったけど、ちょっと恥ずかしくなって笑って誤魔化した。
作戦はぶっつけ本番。俺が王様に会いに行ったりとか怪し過ぎるから、そっちへの説明はミランダに任せる。
俺は書類に名前のある悪者──間者、不満分子、悪魔崇拝者などなど──に手紙を送り付け、郊外にある古めのいかにもな屋敷に集める。
集まった所を俺の防壁魔法で一気に捕らえる。騎士団を密かに街に配して余計な被害が及ばないように。
最初は俺の合図とともに騎士団に突入してもらう予定だったんだけど、これは対抗手段を持たない俺が死ぬしかない策とも呼べないものだった。あ~、防御魔法使えてよかった!
王城にも悪者が行くかもしれないと話したら、王様もめちゃくちゃ強いから心配するなとのことだった。
「お集まりの諸君!今宵の殺戮の宴でもって魔王様を歓待しようではないか!乾杯!」
と油断させてからの「プロテクトウォール!!」
心臓はバクバクと爆音を奏で、膝は意志を持ったかのようにガクガク震えている、なんとか気取られないようにしながら魔法発動!集まった悪者たちは、頭上から下方向に押し潰すように展開された障壁と床にサンドイッチされた状態だ。
すぐに騎士団が雪崩れ込んできてどんどん捕縛していく。
「フォーレ卿!」
と大声が聞こえ咄嗟に《リフレクトドーム》を唱える。漏れ出た悪者が俺に迫ってたようだ。
屋敷内に居た反乱分子は全て捉えられたようだった。中には仕込み毒で自死した人も居たようだが。
「フォーレ卿、大事無いか?」
聞いてきたのは先程大声で危険を知らせてくれた美丈夫、騎士団長のレイザー卿だ。
ド緊張での消耗と魔力を消費したからか意識が朦朧としている。でも生き残れた。
「無事に戻って来れたら伝えたいことがある」って言った後気付いた死亡フラグとやらをへし折ってやったぜへへへ。
レイザー卿に肩を貸してもらいなんとか王城へ。ミランダを見つけたと思ったら城の客間のベッドの上だった。
死んだ……一世一代のプロポーズをする前に力尽きるとか、死亡フラグの強制力を甘く見ていた。俺は情けなくて静かに涙を流した。
嘘です、オイオイ嗚咽を漏らしながら最後の最後決められなかった自身の不甲斐無さにベッドの上をのたうち回ってました。
後処理とこれからの事を決めてフォーレ領に帰ることに。醜態を晒してすっかり陰に入った俺は、妙にご機嫌なミランダに在らぬ疑いを持ってしまった、誰か良い人でもできたんだろうか、と。
結局勘違いだったと判明するまで半年も掛かってしまったが、俺の最後までカッコ付かないプロポーズも快く了承してくれた嬉しい!
屋敷でささやかではあるけどパーティーを開いた。みんなが笑顔になっていて、こんな幸せが続けばいいと願った。
時は流れて、やはり魔王は復活してしまった。
ゲームではレオン、レイザー卿、エステルというパーティーだったが、レイザー卿の代わりにカミーユがパーティーに入る事になった。
原作を知ってる者からすると、敵対する筈だった者同士が共闘する胸熱展開に密かにテンションが上がっていた。
レイザー卿が騎士団を率いて治安維持に努めてくれた為、ゲームのように荒廃した土地はほとんど無い。我がフォーレ領も無事だ。
それからまあ、何と言いますか、ミランダと二人で愛を育んだ結果、ジュリアンという天使のような子を授かることができまして、えぇえぇ、ありがとうございます。
転生したら結婚しててしかも子持ちとか、色々思うところがない訳じゃなかったけど、俺みたいな人間でも人を愛するということが、家族を愛することができて良かったと心からそう思う。おかげさまで今でも相思相愛です。
魔王討伐隊に関しては何の不安も不満も無かった。ミランダが参加したがっていたが「万が一の時王都を護るのは君しかいない!」とカミーユと王様たちとで何とか説得した。
万が一魔王がミランダに懸想したらとてつもなく面倒臭い事になりそうだったのと、レオン君がね、なんかね、ミランダを見つめる眼差しにおかしなものを含んでいる気がしてね。これは王様もなんとなく感じてたようで、快く俺に協力してくれた。ゲームだとレオンはエステルとくっつくからあまり心配はしていない。うん、していない……
ミランダには私と云う夫が居ますんですからね!ちょっと言葉はおかしかったですけれども!
勇者パーティー凱旋後、原作ファンとして我慢出来なくてついカミーユやエステルに絡んでしまった。ミランダから愛の鉄槌を貰ってしまい床さんとご挨拶する羽目になった。気に掛けてくれるのはジュリアンだけだった天使!
自分で言うとなんとも安いエピローグの言葉かもしれないけど、「これで世界に平和が戻った」んだ。みんなの笑い声が聞こえる。ゼロ距離で床とご対面してるから確認できないけど、きっと笑顔を浮かべているだろう。
あの時の願いは叶ったようだ。
いや、まだまだこれからも。俺は最後までカッコ付かなかったけど。
幸せに暮らせる日々が続くよう願う。
いつまでも
ずっと このまま
~終~
と思ったらミランダから作戦会議を持ちかけられた。良かった、心配で眠れそうになかったから。
書類の束をミランダに見せるとだんだん険しい顔つきに。終いには剣の柄に手を掛けたので慌てて弁明した。半ベソかいた。ついでに自分のことも話した。
信じられなそうだったけど、色々思い当たるようだ。
涙を零した時は慌ててしまった。泣き顔も素敵だ、じゃなくて!ハンカチを差し出す、今のスマートじゃなかったか。タイトル忘れたけどあの映画観てて良かった。
その後の言葉で原作の強制力とやらから抜け出せたことを知った。嬉しくなって思わず抱き締めてしまったけど、ちょっと恥ずかしくなって笑って誤魔化した。
作戦はぶっつけ本番。俺が王様に会いに行ったりとか怪し過ぎるから、そっちへの説明はミランダに任せる。
俺は書類に名前のある悪者──間者、不満分子、悪魔崇拝者などなど──に手紙を送り付け、郊外にある古めのいかにもな屋敷に集める。
集まった所を俺の防壁魔法で一気に捕らえる。騎士団を密かに街に配して余計な被害が及ばないように。
最初は俺の合図とともに騎士団に突入してもらう予定だったんだけど、これは対抗手段を持たない俺が死ぬしかない策とも呼べないものだった。あ~、防御魔法使えてよかった!
王城にも悪者が行くかもしれないと話したら、王様もめちゃくちゃ強いから心配するなとのことだった。
「お集まりの諸君!今宵の殺戮の宴でもって魔王様を歓待しようではないか!乾杯!」
と油断させてからの「プロテクトウォール!!」
心臓はバクバクと爆音を奏で、膝は意志を持ったかのようにガクガク震えている、なんとか気取られないようにしながら魔法発動!集まった悪者たちは、頭上から下方向に押し潰すように展開された障壁と床にサンドイッチされた状態だ。
すぐに騎士団が雪崩れ込んできてどんどん捕縛していく。
「フォーレ卿!」
と大声が聞こえ咄嗟に《リフレクトドーム》を唱える。漏れ出た悪者が俺に迫ってたようだ。
屋敷内に居た反乱分子は全て捉えられたようだった。中には仕込み毒で自死した人も居たようだが。
「フォーレ卿、大事無いか?」
聞いてきたのは先程大声で危険を知らせてくれた美丈夫、騎士団長のレイザー卿だ。
ド緊張での消耗と魔力を消費したからか意識が朦朧としている。でも生き残れた。
「無事に戻って来れたら伝えたいことがある」って言った後気付いた死亡フラグとやらをへし折ってやったぜへへへ。
レイザー卿に肩を貸してもらいなんとか王城へ。ミランダを見つけたと思ったら城の客間のベッドの上だった。
死んだ……一世一代のプロポーズをする前に力尽きるとか、死亡フラグの強制力を甘く見ていた。俺は情けなくて静かに涙を流した。
嘘です、オイオイ嗚咽を漏らしながら最後の最後決められなかった自身の不甲斐無さにベッドの上をのたうち回ってました。
後処理とこれからの事を決めてフォーレ領に帰ることに。醜態を晒してすっかり陰に入った俺は、妙にご機嫌なミランダに在らぬ疑いを持ってしまった、誰か良い人でもできたんだろうか、と。
結局勘違いだったと判明するまで半年も掛かってしまったが、俺の最後までカッコ付かないプロポーズも快く了承してくれた嬉しい!
屋敷でささやかではあるけどパーティーを開いた。みんなが笑顔になっていて、こんな幸せが続けばいいと願った。
時は流れて、やはり魔王は復活してしまった。
ゲームではレオン、レイザー卿、エステルというパーティーだったが、レイザー卿の代わりにカミーユがパーティーに入る事になった。
原作を知ってる者からすると、敵対する筈だった者同士が共闘する胸熱展開に密かにテンションが上がっていた。
レイザー卿が騎士団を率いて治安維持に努めてくれた為、ゲームのように荒廃した土地はほとんど無い。我がフォーレ領も無事だ。
それからまあ、何と言いますか、ミランダと二人で愛を育んだ結果、ジュリアンという天使のような子を授かることができまして、えぇえぇ、ありがとうございます。
転生したら結婚しててしかも子持ちとか、色々思うところがない訳じゃなかったけど、俺みたいな人間でも人を愛するということが、家族を愛することができて良かったと心からそう思う。おかげさまで今でも相思相愛です。
魔王討伐隊に関しては何の不安も不満も無かった。ミランダが参加したがっていたが「万が一の時王都を護るのは君しかいない!」とカミーユと王様たちとで何とか説得した。
万が一魔王がミランダに懸想したらとてつもなく面倒臭い事になりそうだったのと、レオン君がね、なんかね、ミランダを見つめる眼差しにおかしなものを含んでいる気がしてね。これは王様もなんとなく感じてたようで、快く俺に協力してくれた。ゲームだとレオンはエステルとくっつくからあまり心配はしていない。うん、していない……
ミランダには私と云う夫が居ますんですからね!ちょっと言葉はおかしかったですけれども!
勇者パーティー凱旋後、原作ファンとして我慢出来なくてついカミーユやエステルに絡んでしまった。ミランダから愛の鉄槌を貰ってしまい床さんとご挨拶する羽目になった。気に掛けてくれるのはジュリアンだけだった天使!
自分で言うとなんとも安いエピローグの言葉かもしれないけど、「これで世界に平和が戻った」んだ。みんなの笑い声が聞こえる。ゼロ距離で床とご対面してるから確認できないけど、きっと笑顔を浮かべているだろう。
あの時の願いは叶ったようだ。
いや、まだまだこれからも。俺は最後までカッコ付かなかったけど。
幸せに暮らせる日々が続くよう願う。
いつまでも
ずっと このまま
~終~
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