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第四部 また追放されました!?
第7話『薬師、双子たちと薬を配る』
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……結局、ロヴェル君の調合作業が終わったのは、お昼を過ぎた頃だった。
その頃になるとメアリーちゃんもベッドから起きてきて、五人で遅めの昼食を済ませる。
それから皆で薬を配りに行こうとするも……ロヴェル君は自分の作った喉の薬だけを持つと、一人でさっさと出かけてしまった。
「きっと、アンナのところだよ」
「うんうん。間違いないね」
そんな彼の背を見送りながら、双子ちゃんたちはクスクスと笑っていた。
……アンナって誰だろう。
「ねぇエリンさん、まずは誰に薬を持っていくの?」
思わず首を傾げていると、ミーナちゃんがそう訊いてくる。
「えっと、最初は腰痛の薬で、依頼主はベルゼットさんという男性の方です」
「ベルゼットさんだね! こっちだよ!」
「時間あるし、配達がてら村を案内してあげる! メアリーも行こう!」
「わーい! おでかけ! おでかけ!」
言うが早いか、双子たちはわたしの手を引いて走り出す。
そんな中、メアリーちゃんは外出が嬉しいのか、わたしたちの後ろを跳ねるようについてくる。
病み上がりだし、あまりはしゃぎ過ぎないでほしいんだけど。
◇
……やがて二人に案内され、わたしは村はずれにある古い家を訪れる。
「……なんじゃ、お前は」
その扉を叩くと、中から立派なひげを蓄えた初老の男性が姿を現す。
「え、えっと、あのその」
「ベルゼットさん、こんにちは! この人は王都からやってきた薬師さんで、エリンさんっていうの! 遅くなったけど、頼まれてた腰痛の薬、作ってきたよ!」
その容姿に気圧され、わたしがしどろもどろになる中……双子ちゃんたちは顔なじみなのか、愛嬌を振りまきながらわたしを紹介してくれる。
「なんじゃ。噂に聞くニグラード工房の後釜か」
「え、いやその、わたしは後釜ではなくて、指導役……」
そう説明するも、ベルゼットさんは聞く耳持たず。そのシワだらけの大きな手で薬の入った袋をむんずと掴むと、家の中へと戻っていった。
「よかったねー。ベルゼットさん、喜んでたよ!」
「え、あれで?」
メアリーちゃんの言葉に、思わず大きな声が出てしまう。ずっと眉間にシワを寄せていたし、とても喜んでいるようには見えなかったけど。
そんなことを考えていた矢先、再び扉が開く。
「……これでも食え」
ベルゼットさんはそう言って、大量の栗を手渡してくれる。
「わーい! 栗だー!」
「あ、ありがとうございます」
「……」
喜ぶ双子たちの代わりにお礼を言うも、ベルゼットさんはわずかに頷いて、家の中に戻ってしまった。
……無愛想な人だけど、本当に喜んでもらえたのかな。
それからも家々を巡り、薬を届けていく。
その度に双子ちゃんたちがわたしを紹介してくれるのだけど……住民たちは誰もが怪訝そうな目でわたしを見てくる。
田舎特有の……他所者に対する警戒感だとは思うけど、なんだか歓迎されていないような気がして、わたしはなんともいえない気持ちになった。
「あ、エリンさん、ちょっとこっちに!」
……そうこうしていると、前を歩いていたニーナちゃんたちが木の陰に隠れた。わたしも思わず、同じように身を隠してしまう。
「い、いったいどうしたんですか?」
「ほら、あそこ。ロヴェルがいるよ」
言われたほうを見てみると、そこには一人の少女と楽しげに会話をするロヴェル君の姿があった。
「この薬、ロヴェルが作ってくれたの?」
「へへっ、まぁな」
「ありがとう。もう少しでまた寝込んじゃうとこだったよ……ケホ、ケホ」
長い金髪を大きめの三つ編みにした少女は嬉しそうに言うも、直後に咳き込んでいた。
「アンナ、無理すんなよ。また歌、聞きたいしさ」
「うん。また良くなったら聞かせてあげるよ。村の発表会も近いし、そのうち練習も……ケホッ」
アンナと呼ばれた少女は再び咳き込む。喉の薬を欲しがるくらいだし、調子が悪そうだ。
「ロヴェルはねー、アンナのこと、好きなんだよ」
「そうそう。ロヴェルと同い年なんだけど、歌がすごく上手なの」
双子たちは顔を見合わせて笑いあう。
こんな小さな村でも、色恋沙汰はつきもののようだ。
「げ、お前ら、見てたのかよっ」
その時、ロヴェル君に見つかってしまった。彼は血相を変えて、わたしたちの側にやってくる。
「見てたよー。アンナ、元気そうで何よりだね」
「うるさいっ、どっか行けよっ」
ミーナちゃんが茶化すように言うも、ロヴェル君は怒り心頭。ほとんど突き飛ばすように、わたしたちを追い払う。
……まぁ、今のところはアンナちゃんの症状も軽いようだし、急を要することもなさそうだ。
しばらく経過観察をすることにしよう。
その頃になるとメアリーちゃんもベッドから起きてきて、五人で遅めの昼食を済ませる。
それから皆で薬を配りに行こうとするも……ロヴェル君は自分の作った喉の薬だけを持つと、一人でさっさと出かけてしまった。
「きっと、アンナのところだよ」
「うんうん。間違いないね」
そんな彼の背を見送りながら、双子ちゃんたちはクスクスと笑っていた。
……アンナって誰だろう。
「ねぇエリンさん、まずは誰に薬を持っていくの?」
思わず首を傾げていると、ミーナちゃんがそう訊いてくる。
「えっと、最初は腰痛の薬で、依頼主はベルゼットさんという男性の方です」
「ベルゼットさんだね! こっちだよ!」
「時間あるし、配達がてら村を案内してあげる! メアリーも行こう!」
「わーい! おでかけ! おでかけ!」
言うが早いか、双子たちはわたしの手を引いて走り出す。
そんな中、メアリーちゃんは外出が嬉しいのか、わたしたちの後ろを跳ねるようについてくる。
病み上がりだし、あまりはしゃぎ過ぎないでほしいんだけど。
◇
……やがて二人に案内され、わたしは村はずれにある古い家を訪れる。
「……なんじゃ、お前は」
その扉を叩くと、中から立派なひげを蓄えた初老の男性が姿を現す。
「え、えっと、あのその」
「ベルゼットさん、こんにちは! この人は王都からやってきた薬師さんで、エリンさんっていうの! 遅くなったけど、頼まれてた腰痛の薬、作ってきたよ!」
その容姿に気圧され、わたしがしどろもどろになる中……双子ちゃんたちは顔なじみなのか、愛嬌を振りまきながらわたしを紹介してくれる。
「なんじゃ。噂に聞くニグラード工房の後釜か」
「え、いやその、わたしは後釜ではなくて、指導役……」
そう説明するも、ベルゼットさんは聞く耳持たず。そのシワだらけの大きな手で薬の入った袋をむんずと掴むと、家の中へと戻っていった。
「よかったねー。ベルゼットさん、喜んでたよ!」
「え、あれで?」
メアリーちゃんの言葉に、思わず大きな声が出てしまう。ずっと眉間にシワを寄せていたし、とても喜んでいるようには見えなかったけど。
そんなことを考えていた矢先、再び扉が開く。
「……これでも食え」
ベルゼットさんはそう言って、大量の栗を手渡してくれる。
「わーい! 栗だー!」
「あ、ありがとうございます」
「……」
喜ぶ双子たちの代わりにお礼を言うも、ベルゼットさんはわずかに頷いて、家の中に戻ってしまった。
……無愛想な人だけど、本当に喜んでもらえたのかな。
それからも家々を巡り、薬を届けていく。
その度に双子ちゃんたちがわたしを紹介してくれるのだけど……住民たちは誰もが怪訝そうな目でわたしを見てくる。
田舎特有の……他所者に対する警戒感だとは思うけど、なんだか歓迎されていないような気がして、わたしはなんともいえない気持ちになった。
「あ、エリンさん、ちょっとこっちに!」
……そうこうしていると、前を歩いていたニーナちゃんたちが木の陰に隠れた。わたしも思わず、同じように身を隠してしまう。
「い、いったいどうしたんですか?」
「ほら、あそこ。ロヴェルがいるよ」
言われたほうを見てみると、そこには一人の少女と楽しげに会話をするロヴェル君の姿があった。
「この薬、ロヴェルが作ってくれたの?」
「へへっ、まぁな」
「ありがとう。もう少しでまた寝込んじゃうとこだったよ……ケホ、ケホ」
長い金髪を大きめの三つ編みにした少女は嬉しそうに言うも、直後に咳き込んでいた。
「アンナ、無理すんなよ。また歌、聞きたいしさ」
「うん。また良くなったら聞かせてあげるよ。村の発表会も近いし、そのうち練習も……ケホッ」
アンナと呼ばれた少女は再び咳き込む。喉の薬を欲しがるくらいだし、調子が悪そうだ。
「ロヴェルはねー、アンナのこと、好きなんだよ」
「そうそう。ロヴェルと同い年なんだけど、歌がすごく上手なの」
双子たちは顔を見合わせて笑いあう。
こんな小さな村でも、色恋沙汰はつきもののようだ。
「げ、お前ら、見てたのかよっ」
その時、ロヴェル君に見つかってしまった。彼は血相を変えて、わたしたちの側にやってくる。
「見てたよー。アンナ、元気そうで何よりだね」
「うるさいっ、どっか行けよっ」
ミーナちゃんが茶化すように言うも、ロヴェル君は怒り心頭。ほとんど突き飛ばすように、わたしたちを追い払う。
……まぁ、今のところはアンナちゃんの症状も軽いようだし、急を要することもなさそうだ。
しばらく経過観察をすることにしよう。
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