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一章
〈新月の雷光〉といっしょ
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ピピピ。
朝四時。めちゃくちゃ早起きである。
今日は森に調査行かなければなので仕方なし。
コーヒーセットして、シャワー使って、着替えて、一服。
朝食は下で食べるとして、今日は昼どうするかね。屋台かなぁ?
あ、タバコほとんど売っちゃったんだった。吸ったことないのを選んで三種類ポチッと。もちろんティアランシアには送っておく。
メールボックスは「神殿来て」「チロルチョコ好き」と前とそう変わらない内容だ。
その中の合間に、俺が強めの魔獣と出会う事について書いてあった。
|||||||||||||||||||||||||||
成の魔力っていうか神力がとっても美味しそう見えるから制御をしてね!
||||||||||||||||||||||||||||
地球の食べ物や香辛料は芳しく美味しそうだから、人も魔獣も未知の匂いだと興味を持ちやすいよ!
香辛料になる素材はあるにはあるけど、あんまり広まってないから。
例えば、硬い実や臭い実の中に良い物があったりするんだけど、気付いて貰えないんだよ。みんな探究心が足りないよね?
||||||||||||||||||||||||||||
神力ってなんぞ。
大事なことは先に言っておけ?
香辛料とか見つけて使って欲しいならとっつきやすい見た目にすれば良いのに。
神様のする事はよくわからないな。
五時過ぎたので下に降りるとエンマさんが「おはよう、坊や」って。
やっぱりカウンターに案内されて、朝食が出てくる。
「いただきます」
上からドタドタ音がして〈新月の雷光〉も「おっす」「ちゃんと起きたな!」っとテーブル(指定席?)に座る。
「エンマさん、おはよー」
「今日のご飯なにー」
今日の朝食は芋とオーク肉、カボチャと豆を煮たスープ。程よく煮崩れたカボチャと豆に塩とハーブかなぁ。
俺は濾しちゃったスープの方が好みだけど、このスープ、なんかほっこりだ。
パンは素朴なハードパン。この世界には柔らかいパンあるのかなぁ。
「おれコイツ嫌いだってば」
「腹持ちが良いだろうが」
カボチャをクレイバーの皿に押し付けるシャート。おそらくドットとクレイバーは三十代前半でドレイクとシャートが二十代後半くらいだと思うけど、シャートは弟枠か。
「おい、お前たち、今日は調査だって?弁当持っていけ」
厨房からボルクさんが出てきて葉っぱで包まれたお弁当が置かれた。
「おー、サンキュー」
「坊やがいるからって優しいじゃん」
「え?」
レアなことなの?
「うるさい。黙って持ってけ」
「坊やは慣れてないとだけ、気を遣ってあげんとよ?」
ちょっと照れてるボルクさんとドットたちに俺のお守りをちゃんとしろっていうエンマさん。
なんか実家の親を思い出す。やっぱ先に逝って悪かったなって今更。兄家族が同居で孫もいるし、姉家族が近くにいるから心配はしてないけど。
「「「行ってくる」」」
「「行ってきます」」
「行ってらっしゃい」
「・・・」
宿を出てすぐに。
「ジェイル!オヤツは買うか?」
「飲むもんは持ったか」
遠足前の確認みたいなこと言い出した。
冒険慣れしてなくとも現在の俺は見た目はイケメン、魂は四十二歳オッさんだぞ。
「結構奥に行くと思うから飲み物とオヤツは大事だぞ」
武器や防具の心配はしてないのが面白い。
ドットたちは胸当てや籠手、膝当てって結構簡素な姿だ。
ちなみに俺は腰に刀と小型ナイフだけで短銃は外してある。
防具も無しで結構な軽装だ。
「エイプやベアでかすり傷一つしてないから心配はしてねぇが多少は見た目を装えよ」
見せ防具なんて要るのか?
「新人は金無くても木や皮の防具ぐらい揃えるぞ」
木や皮・・・防御力が無さそうだ。
「弱いのなら良いけど、強いの来たら一発で串刺しになるよな」
あのサルめっちゃスピードあったし、クマは爪がデカくてえぐかったぞ。
「ああ、普通は坊やが遊んでる場所には出ないなぁ」
遊んでねぇ・・・ょ、タバコ休憩と酒と飯・・・遊んでたかな??
屋台のソーセージのお兄ちゃんに声掛けられて、みんなの分合わせて十本買った。完全に覚えられてる。
「ドットさん、クレイバーさん、兄さんとお知り合いだったすか!」
「おう、コイツは冒険者ギルドのルーキーだ。よくしてやってくれ」
そう大きくもない町でギルドの近くならみんな顔見知りか?
結局、飲み物として、皮袋入りのワインと干した果物を買った。
この世界の飲み水、腐りやすいから何日か出かける時は酒なんだって。
そして酒の皮袋は新しいのじゃないとダメで使った皮袋は売る。
ちょっと待て。何日か?
「あ!今日は日帰り予定だぞ」
びっくりした。何日もタバコ吸えないとか暴れるぞ。せっかく解禁したのに。
飲み水が腐るかぁ。濾過器とか無さそうだし、水飲むのは避けよう。
そう言えば、商業ギルドで果汁出た。
水よりワインが安いみたいな世界だなぁ。
宿でも食事のセットはエールって飲み水問題か。
顔と体拭いたの、お湯だから良かったけど一回井戸水で良いってやっちゃった。
東門の門番はワイドさんだった。
「おー、おっす。早いな。今日は一緒の仕事か。気を付けてな」
〈新月の雷光〉顔パスで俺も顔パス。ちょっと嬉しい。
「そう言えば坊やは地道に歩いてるんだよな?短時間しか森にいないのに毎度襲われてるのか」
ぬ?
転移使ってるから、移動に時間かけてないんだよな。
ドットたちは奥に行ってるらしいのに毎日戻ってるな。まさか〈転移〉ってみんな使えるのか?
俺がいつも転移に使ってる岩陰付近に着くとドットが、
「よし!人に当たる心配無しだな!シャート、やってくれ」
「はーい」
って言って、シャートが杖を懐から出して呪文を唱える。
「大空翔ける鳥より軽く、大地駆け抜ける馬より早く〈駿足〉」
地面に魔法陣が浮かんで俺たちの身体を光が包む。
これって付与魔法??シャートが魔導士??
「よし、じゃ行くか」
「「「おー」」」
あ、自分の足で全力疾走する感じなのね。
================
〈新月の雷光〉
ドット
ドレイク
クレイバー
シャート
朝四時。めちゃくちゃ早起きである。
今日は森に調査行かなければなので仕方なし。
コーヒーセットして、シャワー使って、着替えて、一服。
朝食は下で食べるとして、今日は昼どうするかね。屋台かなぁ?
あ、タバコほとんど売っちゃったんだった。吸ったことないのを選んで三種類ポチッと。もちろんティアランシアには送っておく。
メールボックスは「神殿来て」「チロルチョコ好き」と前とそう変わらない内容だ。
その中の合間に、俺が強めの魔獣と出会う事について書いてあった。
|||||||||||||||||||||||||||
成の魔力っていうか神力がとっても美味しそう見えるから制御をしてね!
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地球の食べ物や香辛料は芳しく美味しそうだから、人も魔獣も未知の匂いだと興味を持ちやすいよ!
香辛料になる素材はあるにはあるけど、あんまり広まってないから。
例えば、硬い実や臭い実の中に良い物があったりするんだけど、気付いて貰えないんだよ。みんな探究心が足りないよね?
||||||||||||||||||||||||||||
神力ってなんぞ。
大事なことは先に言っておけ?
香辛料とか見つけて使って欲しいならとっつきやすい見た目にすれば良いのに。
神様のする事はよくわからないな。
五時過ぎたので下に降りるとエンマさんが「おはよう、坊や」って。
やっぱりカウンターに案内されて、朝食が出てくる。
「いただきます」
上からドタドタ音がして〈新月の雷光〉も「おっす」「ちゃんと起きたな!」っとテーブル(指定席?)に座る。
「エンマさん、おはよー」
「今日のご飯なにー」
今日の朝食は芋とオーク肉、カボチャと豆を煮たスープ。程よく煮崩れたカボチャと豆に塩とハーブかなぁ。
俺は濾しちゃったスープの方が好みだけど、このスープ、なんかほっこりだ。
パンは素朴なハードパン。この世界には柔らかいパンあるのかなぁ。
「おれコイツ嫌いだってば」
「腹持ちが良いだろうが」
カボチャをクレイバーの皿に押し付けるシャート。おそらくドットとクレイバーは三十代前半でドレイクとシャートが二十代後半くらいだと思うけど、シャートは弟枠か。
「おい、お前たち、今日は調査だって?弁当持っていけ」
厨房からボルクさんが出てきて葉っぱで包まれたお弁当が置かれた。
「おー、サンキュー」
「坊やがいるからって優しいじゃん」
「え?」
レアなことなの?
「うるさい。黙って持ってけ」
「坊やは慣れてないとだけ、気を遣ってあげんとよ?」
ちょっと照れてるボルクさんとドットたちに俺のお守りをちゃんとしろっていうエンマさん。
なんか実家の親を思い出す。やっぱ先に逝って悪かったなって今更。兄家族が同居で孫もいるし、姉家族が近くにいるから心配はしてないけど。
「「「行ってくる」」」
「「行ってきます」」
「行ってらっしゃい」
「・・・」
宿を出てすぐに。
「ジェイル!オヤツは買うか?」
「飲むもんは持ったか」
遠足前の確認みたいなこと言い出した。
冒険慣れしてなくとも現在の俺は見た目はイケメン、魂は四十二歳オッさんだぞ。
「結構奥に行くと思うから飲み物とオヤツは大事だぞ」
武器や防具の心配はしてないのが面白い。
ドットたちは胸当てや籠手、膝当てって結構簡素な姿だ。
ちなみに俺は腰に刀と小型ナイフだけで短銃は外してある。
防具も無しで結構な軽装だ。
「エイプやベアでかすり傷一つしてないから心配はしてねぇが多少は見た目を装えよ」
見せ防具なんて要るのか?
「新人は金無くても木や皮の防具ぐらい揃えるぞ」
木や皮・・・防御力が無さそうだ。
「弱いのなら良いけど、強いの来たら一発で串刺しになるよな」
あのサルめっちゃスピードあったし、クマは爪がデカくてえぐかったぞ。
「ああ、普通は坊やが遊んでる場所には出ないなぁ」
遊んでねぇ・・・ょ、タバコ休憩と酒と飯・・・遊んでたかな??
屋台のソーセージのお兄ちゃんに声掛けられて、みんなの分合わせて十本買った。完全に覚えられてる。
「ドットさん、クレイバーさん、兄さんとお知り合いだったすか!」
「おう、コイツは冒険者ギルドのルーキーだ。よくしてやってくれ」
そう大きくもない町でギルドの近くならみんな顔見知りか?
結局、飲み物として、皮袋入りのワインと干した果物を買った。
この世界の飲み水、腐りやすいから何日か出かける時は酒なんだって。
そして酒の皮袋は新しいのじゃないとダメで使った皮袋は売る。
ちょっと待て。何日か?
「あ!今日は日帰り予定だぞ」
びっくりした。何日もタバコ吸えないとか暴れるぞ。せっかく解禁したのに。
飲み水が腐るかぁ。濾過器とか無さそうだし、水飲むのは避けよう。
そう言えば、商業ギルドで果汁出た。
水よりワインが安いみたいな世界だなぁ。
宿でも食事のセットはエールって飲み水問題か。
顔と体拭いたの、お湯だから良かったけど一回井戸水で良いってやっちゃった。
東門の門番はワイドさんだった。
「おー、おっす。早いな。今日は一緒の仕事か。気を付けてな」
〈新月の雷光〉顔パスで俺も顔パス。ちょっと嬉しい。
「そう言えば坊やは地道に歩いてるんだよな?短時間しか森にいないのに毎度襲われてるのか」
ぬ?
転移使ってるから、移動に時間かけてないんだよな。
ドットたちは奥に行ってるらしいのに毎日戻ってるな。まさか〈転移〉ってみんな使えるのか?
俺がいつも転移に使ってる岩陰付近に着くとドットが、
「よし!人に当たる心配無しだな!シャート、やってくれ」
「はーい」
って言って、シャートが杖を懐から出して呪文を唱える。
「大空翔ける鳥より軽く、大地駆け抜ける馬より早く〈駿足〉」
地面に魔法陣が浮かんで俺たちの身体を光が包む。
これって付与魔法??シャートが魔導士??
「よし、じゃ行くか」
「「「おー」」」
あ、自分の足で全力疾走する感じなのね。
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〈新月の雷光〉
ドット
ドレイク
クレイバー
シャート
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