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一章
良い奴らでも酒は怖い
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タバコ咥えたまま、スキットル持った右手をホールドされて屋内に連れ戻された俺。
「ジェイル!!これ飲ませてくれ」
「ワインの味が忘れられない」
「ヤンだけズルい」
いやヴァロ、カードで勝負して決めたんだからズルいとかないだろ。
「ドット、コイツに酒くれるように頼んでくれよ」
だから酒は水の代わりなんだろ。俺から水を取り上げるなって。
「お前らそんな美味いって酒を自分たちだけで飲んだのか」
そうそう、そうなるよな?俺のせいじゃないぞ。
「このスキットルの酒嗅いだことない匂いするー」
だから匂い嗅ぐなって。
「なんの酒だぁ?」
あかん、この三十代前後のヤロウたちはみんな酒好きだった。
ドットたちがあんまりタバコに興味示さなかったからのうっかりしてたけど、酒は別だったかー。
「・・・」
「ジェイル、酒は売れるほどあるのか?」
別にあげても良いけどさ、ホイホイ出すなとか常識知らずとか言われちゃうんだよ。
「今後飲む酒が美味しく感じなくなっても飲みたいの?」
ピザのソースで色々悶えたじゃん。
依頼中は焼いた肉で我慢できても酒は多分嫌になるぞ。
「そんなにか?」
「ジェイルの酒は透明な味がしたんだよー」
透明な味ってなんだ。
こっちのワインとは確かに違って濾過したような味わいだろうけど。
多分こっちのは葡萄の皮や残留物が完全に除去されてなくて管理が常温っていう杜撰な扱いなんだと思う。発酵が進んじゃうやつ。ひどいと酢になってるの飲んでるんじゃないか?知らんけど。
「それをお前だけ飲んだのかぁ?」
「カードで勝ったもん!!」
もんじゃないよ。何かわいこぶってるんだ。
「あー、だが気になるから売ってくれ」
「別に酒くらいあげるけど、後で何か言うなよ」
宿でエール奢って貰ったし、色々教えてくれてるしな。
「バーカ!ペーペーの持ち物をタダで強奪できっかよ」
ほぼほぼ強奪ですが何か?
マジックバッグ(無限収納)から二本取り出した。
容器交換で酒壺になってる。
たんたんたぬきの持ってそうな壺ですな。
「「「おおおお」」」
片方はワインでもう片方がブランデーか。
俺はどっちも好きだけど、この世界では多分エールとワインが水代わり、ブランデーは嗜好品だな。
面倒だから一壺金貨一枚って言ったら怪訝な顔をされた。タバコも別に高く売る気なかったんだし、俺は普段飲む分は高くても五千円前後にしてるんだから、十分ぼったくってんだ。
「よし!賭け・・・」
ランガがドットにゲンコツ落とされた。
〈新月の雷光〉の方が〈鋼鉄の拳〉より少し先輩らしいぞ。
「一人だけ飲んだら後でギャーギャー言うんだろうが!!」
そうだそうだ!!
ボトル一本分なんだから一杯ずつ飲め!!
「「「「ちぇー」」」」
生真面目そうなドレイクがコップを並べて入れ始めた。
「俺は良いから。もうタバコ吸ってきて良い?!」
付き合いきれん。
「そっちのスキットルはこっちと違う匂い~」
「変わった匂いー」
お前たちは臭いを嗅ぐ妖怪か何かか?
ヤンとヴァロが俺の手のスキットルをまだ狙ってる。
「あー、五月蝿いな。もう半分も入ってないんだから良いだろ」
二人はランガとドットに絞められて大人しくなったので外に出た。
タバコの時も結構ウザかったけど、酒もまたうるさいんだな。
地球の酒もタバコもすごい水準だったんだ。
こっちの世界はまだタバコ産業も酒造りも発展途上っぽい。原初の味を体験できたと思えばなぜか嬉しいぞ。
酒はまず水が美味しくないとダメだろうって思うから浄水を頑張れ。
「ふー」
うーむ。結局はタバコ吸う時はベランダ族じゃないけど、外ばっかだな。
ベランダもマンションだと隣近所に害があるから庭が広い一戸建てじゃないと無理だぞ!
電子タバコは試したことないけど昔禁煙パイポだっけ、ちょっと吸ってなんか違うなって。
愛煙家のために色々考えてくれた一品だけど、タバコはやっぱタバコなのだよ。
酒もなぜノンアルコールが出てきたのか?飲めない時、飲めない人に、ってわかるよ。でもアルコール入ってないならそれはただの飲料物だ。
酒が好きな人間にはノンアルコールは意味がわからない。ノンってことはそれはアルコールじゃないんだよ!ただの飲料物なんだよ!!?アル中の叫び。
でも世の中に欲しい人がいるんだよな。
今度ランガたちにノンアル渡してみようかな?酒だーってなるかね。酔った気になったら酒じゃなくて、雰囲気を飲んでる。
屋内がちょっとうるさい。
「うめぇ!!」
「これまさか神の水か?」
「おい!これは本当にワインなのか?」
逆にこっちの濃いのを飲んでると物足りないんじゃないかと思えば、そうではないらしい。
九人でボトル二本分はすぐ終わるだろうに結構長いこと騒いでるなぁ。
ふと俺の腕から赤いライトが点滅してるのに気がつく。
スマートウォッチが危険察知をお知らせだ。
MAPを開くとかなり遠い。
ここから半日ってなぜお知らせしてくるんだ。
でも反応が結構大きいな。
詳細がわからないんだが誰かに報告すべきか。
地図を確認するとポルドス寄りなんだけど。
しらせると、この範囲でなぜわかるんだとか言われるよなぁ。
見て見ぬ振りは寝覚めが悪いことになりそうだし。
はぁー・・・、余分なもの作っちゃったかな。スマホだったらポッケに入れっぱで知らんぷりだったのに。
--------------------
〈新月の雷光〉
ドット
ドレイク
クレイバー
シャート
〈鋼鉄の拳〉
ランガ
ヤン
ヴァロ
「ジェイル!!これ飲ませてくれ」
「ワインの味が忘れられない」
「ヤンだけズルい」
いやヴァロ、カードで勝負して決めたんだからズルいとかないだろ。
「ドット、コイツに酒くれるように頼んでくれよ」
だから酒は水の代わりなんだろ。俺から水を取り上げるなって。
「お前らそんな美味いって酒を自分たちだけで飲んだのか」
そうそう、そうなるよな?俺のせいじゃないぞ。
「このスキットルの酒嗅いだことない匂いするー」
だから匂い嗅ぐなって。
「なんの酒だぁ?」
あかん、この三十代前後のヤロウたちはみんな酒好きだった。
ドットたちがあんまりタバコに興味示さなかったからのうっかりしてたけど、酒は別だったかー。
「・・・」
「ジェイル、酒は売れるほどあるのか?」
別にあげても良いけどさ、ホイホイ出すなとか常識知らずとか言われちゃうんだよ。
「今後飲む酒が美味しく感じなくなっても飲みたいの?」
ピザのソースで色々悶えたじゃん。
依頼中は焼いた肉で我慢できても酒は多分嫌になるぞ。
「そんなにか?」
「ジェイルの酒は透明な味がしたんだよー」
透明な味ってなんだ。
こっちのワインとは確かに違って濾過したような味わいだろうけど。
多分こっちのは葡萄の皮や残留物が完全に除去されてなくて管理が常温っていう杜撰な扱いなんだと思う。発酵が進んじゃうやつ。ひどいと酢になってるの飲んでるんじゃないか?知らんけど。
「それをお前だけ飲んだのかぁ?」
「カードで勝ったもん!!」
もんじゃないよ。何かわいこぶってるんだ。
「あー、だが気になるから売ってくれ」
「別に酒くらいあげるけど、後で何か言うなよ」
宿でエール奢って貰ったし、色々教えてくれてるしな。
「バーカ!ペーペーの持ち物をタダで強奪できっかよ」
ほぼほぼ強奪ですが何か?
マジックバッグ(無限収納)から二本取り出した。
容器交換で酒壺になってる。
たんたんたぬきの持ってそうな壺ですな。
「「「おおおお」」」
片方はワインでもう片方がブランデーか。
俺はどっちも好きだけど、この世界では多分エールとワインが水代わり、ブランデーは嗜好品だな。
面倒だから一壺金貨一枚って言ったら怪訝な顔をされた。タバコも別に高く売る気なかったんだし、俺は普段飲む分は高くても五千円前後にしてるんだから、十分ぼったくってんだ。
「よし!賭け・・・」
ランガがドットにゲンコツ落とされた。
〈新月の雷光〉の方が〈鋼鉄の拳〉より少し先輩らしいぞ。
「一人だけ飲んだら後でギャーギャー言うんだろうが!!」
そうだそうだ!!
ボトル一本分なんだから一杯ずつ飲め!!
「「「「ちぇー」」」」
生真面目そうなドレイクがコップを並べて入れ始めた。
「俺は良いから。もうタバコ吸ってきて良い?!」
付き合いきれん。
「そっちのスキットルはこっちと違う匂い~」
「変わった匂いー」
お前たちは臭いを嗅ぐ妖怪か何かか?
ヤンとヴァロが俺の手のスキットルをまだ狙ってる。
「あー、五月蝿いな。もう半分も入ってないんだから良いだろ」
二人はランガとドットに絞められて大人しくなったので外に出た。
タバコの時も結構ウザかったけど、酒もまたうるさいんだな。
地球の酒もタバコもすごい水準だったんだ。
こっちの世界はまだタバコ産業も酒造りも発展途上っぽい。原初の味を体験できたと思えばなぜか嬉しいぞ。
酒はまず水が美味しくないとダメだろうって思うから浄水を頑張れ。
「ふー」
うーむ。結局はタバコ吸う時はベランダ族じゃないけど、外ばっかだな。
ベランダもマンションだと隣近所に害があるから庭が広い一戸建てじゃないと無理だぞ!
電子タバコは試したことないけど昔禁煙パイポだっけ、ちょっと吸ってなんか違うなって。
愛煙家のために色々考えてくれた一品だけど、タバコはやっぱタバコなのだよ。
酒もなぜノンアルコールが出てきたのか?飲めない時、飲めない人に、ってわかるよ。でもアルコール入ってないならそれはただの飲料物だ。
酒が好きな人間にはノンアルコールは意味がわからない。ノンってことはそれはアルコールじゃないんだよ!ただの飲料物なんだよ!!?アル中の叫び。
でも世の中に欲しい人がいるんだよな。
今度ランガたちにノンアル渡してみようかな?酒だーってなるかね。酔った気になったら酒じゃなくて、雰囲気を飲んでる。
屋内がちょっとうるさい。
「うめぇ!!」
「これまさか神の水か?」
「おい!これは本当にワインなのか?」
逆にこっちの濃いのを飲んでると物足りないんじゃないかと思えば、そうではないらしい。
九人でボトル二本分はすぐ終わるだろうに結構長いこと騒いでるなぁ。
ふと俺の腕から赤いライトが点滅してるのに気がつく。
スマートウォッチが危険察知をお知らせだ。
MAPを開くとかなり遠い。
ここから半日ってなぜお知らせしてくるんだ。
でも反応が結構大きいな。
詳細がわからないんだが誰かに報告すべきか。
地図を確認するとポルドス寄りなんだけど。
しらせると、この範囲でなぜわかるんだとか言われるよなぁ。
見て見ぬ振りは寝覚めが悪いことになりそうだし。
はぁー・・・、余分なもの作っちゃったかな。スマホだったらポッケに入れっぱで知らんぷりだったのに。
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〈新月の雷光〉
ドット
ドレイク
クレイバー
シャート
〈鋼鉄の拳〉
ランガ
ヤン
ヴァロ
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