9 / 10
第8話 友人たちとのひと時
しおりを挟む
今日は私の高校の時の同級生が来てくれることになっている。
「若い子が来ても楽しくはないだろうけどねぇ」
予約のお願いをしたとき、ママはそう言いつつ、予約を受け入れてくれた。
カランカランカラン
ここに来るお客様ではめったに出さないような、賑やかなベルの音が響く。
「ユリカ、来たよー」
「おひさ~」
「ちょ~、ユリカ!いたぁ!マジウケる!!」
ワイワイと入ってきたのは高校の部活仲間のユカとハナとアミ。みんな就職してからなかなか会えてなかったのでうれしい。
「何がウケるの」
私はみんなの上着を預かってハンガーにかけていく。
「だってレトロじゃん~」
相変わらずなノリのアミは、ハナに「やめな」って肩を叩かれた。
「何を飲むんだい」
ママはいつもどおりにつきだしを出して、飲み物を聞く。
「「ハイボールで」」
「生ビールお願いします」
ユカとアミがハイボールでハナが生ビール。
「ユリカとママも乾杯しよう」
私とママは焼酎の水割りで乾杯した。
ユカがママお手製の出し巻き卵を嬉しそうに頬張って、すぐになくなってしまったお皿を悲しそうに見つめる。
「お代わりならあるよ。ほら」
「あ、ずるい。私も肉じゃがください」
確かユミのお母さんは料理が苦手でアミのお母さんは和食を作らない人。おうちで出ない味に飢えていたのかな。でもデパ地下のデリとかよく食べてたよね。っていうか、
「いいよ、好きなだけ食べて」
飲みに来たのに食べ物のほうが進む。なぜかチャーハンまで作ってもらって。
お腹が満たされて、酔いも良い感じになってきたら、近況とか話し始めた。
「もうねぇ、お局さんがいちいちいちいちいちいち!!チクチクしてくるの」
さっきまで一番静かだったハナがいきなりスイッチが入っちゃった。
ハナは一般事務なので、データの扱いや電話対応、何から何まで理不尽に怒られるらしい。
「でも外部から苦情が来てるのってだいたいお局の方よ」
顧客にも高圧的なんだって。よくクビにならないね……
「うちだって、先輩が意味わかんないよ」
アミは服飾の販売。二人とも正社員で頑張っている。
ちなみにユカは結婚して旦那さんの家業のお手伝いをしている。
「あんたたちは辞めたら逃げれるけど、私は離婚でもしないと無理だからね」
あれ?みんな鬱憤が溜まっているみたい。悪いお酒になりそう。
ユカは大学の時に知り合った先輩と卒業後すぐに結婚した。同居なんてありえないと言っていたけど、好きが先走っちゃって。
そしてお姑さんは「年寄りは口を出さない」なんて言いつつ、態度で出したり、ふと出る言葉で傷つけられることがあるって。世代のギャップもあるし難しいよね。
「みんな大変だね」
「あんたみたいにスパッと決断できたらいいんだけどね」
私はホテルの受付として入った会社で、研修中にあちこちの部署体験で回ったことで環境と勤務時間がバラバラ過ぎて馴染めず、リタイヤした。一通り終わって受付に固定されたのだけど、いろいろ……ね。
「私は辞めても次やりたいことなんてないし、就職活動も嫌だから耐えてる」
「んー、私はもうちょっとお金貯まったらやめるかな。最近お局がやばくて」
ハナが唐突に、怖い顔をした。
「何がやばいのよ」
「なんかねぇ、うちの課長、ジジィなんだけど昔はモテていただろうなって感じの……なんて言うのかな、イケオジ?私から見たらただのセクハラスレスレなオジなんだけどね。まぁお局以外もジジィが好きみたいな人いるのよ」
ジジィだけどイケオジ??
「ジジィ以外にも結構セクハラジジィ多いんだけどさ、その課長はとにかくお局たちに好かれてて」
セクハラが多い時点でやめたい会社だよ……
「で、ほとんどのオッサンたちは新人を軽く喰える対象に見てるっていうか。三十代後半って若いつもりらしいけど、私たちにしたらオッサンだからね」
まぁ、イケている人もいるにはいるけど、仮にお付き合いしているとかならともかく、関係のないオッサンは、ただのセクハラしてくるオッサンだよ。
「課長も何かといえばしれっと触ってくるし、頻繁に話しかけてくるの。それをお局たちがさ……嫉妬っていうの?あのジジィもわかっててやってるフシがあるよ」
「それはやだぁ……」
巻き込まずに勝手にやっててほしいよね。
「でね、同期でめっちゃ清楚で可愛い、八田さんって子がいるんだけどさ、いじめが苛烈すぎて最近すごくやつれてきちゃって、髪もパサパサになっててかわいそうなんだよ」
ストレスかな。
「この前なんか彼女がロッカー開けたときに急に後ろにに倒れこんで、『いやぁ目がぁ!!ああぁ髪の毛がぁ!!』って泣き叫んだのよ」
え、怖い。いじめどころじゃないヤバい嫌がらせじゃん。
「でもね、私たちがロッカー確認したら髪の毛も目も出てこないのよ」
「何それぇ……」
ハナがその時のことを思い出したのか肩を竦める。
「昨日、彼女から社内メールが来たんだけど、家の外から監視されてるって……ストレスで大変なのかなって思うじゃない?でも最近お局たちもなんか肌が荒れて萎びてるの」
なんだろう。急にいじめの怖い話から違う怖い話になったみたい?
続く
「若い子が来ても楽しくはないだろうけどねぇ」
予約のお願いをしたとき、ママはそう言いつつ、予約を受け入れてくれた。
カランカランカラン
ここに来るお客様ではめったに出さないような、賑やかなベルの音が響く。
「ユリカ、来たよー」
「おひさ~」
「ちょ~、ユリカ!いたぁ!マジウケる!!」
ワイワイと入ってきたのは高校の部活仲間のユカとハナとアミ。みんな就職してからなかなか会えてなかったのでうれしい。
「何がウケるの」
私はみんなの上着を預かってハンガーにかけていく。
「だってレトロじゃん~」
相変わらずなノリのアミは、ハナに「やめな」って肩を叩かれた。
「何を飲むんだい」
ママはいつもどおりにつきだしを出して、飲み物を聞く。
「「ハイボールで」」
「生ビールお願いします」
ユカとアミがハイボールでハナが生ビール。
「ユリカとママも乾杯しよう」
私とママは焼酎の水割りで乾杯した。
ユカがママお手製の出し巻き卵を嬉しそうに頬張って、すぐになくなってしまったお皿を悲しそうに見つめる。
「お代わりならあるよ。ほら」
「あ、ずるい。私も肉じゃがください」
確かユミのお母さんは料理が苦手でアミのお母さんは和食を作らない人。おうちで出ない味に飢えていたのかな。でもデパ地下のデリとかよく食べてたよね。っていうか、
「いいよ、好きなだけ食べて」
飲みに来たのに食べ物のほうが進む。なぜかチャーハンまで作ってもらって。
お腹が満たされて、酔いも良い感じになってきたら、近況とか話し始めた。
「もうねぇ、お局さんがいちいちいちいちいちいち!!チクチクしてくるの」
さっきまで一番静かだったハナがいきなりスイッチが入っちゃった。
ハナは一般事務なので、データの扱いや電話対応、何から何まで理不尽に怒られるらしい。
「でも外部から苦情が来てるのってだいたいお局の方よ」
顧客にも高圧的なんだって。よくクビにならないね……
「うちだって、先輩が意味わかんないよ」
アミは服飾の販売。二人とも正社員で頑張っている。
ちなみにユカは結婚して旦那さんの家業のお手伝いをしている。
「あんたたちは辞めたら逃げれるけど、私は離婚でもしないと無理だからね」
あれ?みんな鬱憤が溜まっているみたい。悪いお酒になりそう。
ユカは大学の時に知り合った先輩と卒業後すぐに結婚した。同居なんてありえないと言っていたけど、好きが先走っちゃって。
そしてお姑さんは「年寄りは口を出さない」なんて言いつつ、態度で出したり、ふと出る言葉で傷つけられることがあるって。世代のギャップもあるし難しいよね。
「みんな大変だね」
「あんたみたいにスパッと決断できたらいいんだけどね」
私はホテルの受付として入った会社で、研修中にあちこちの部署体験で回ったことで環境と勤務時間がバラバラ過ぎて馴染めず、リタイヤした。一通り終わって受付に固定されたのだけど、いろいろ……ね。
「私は辞めても次やりたいことなんてないし、就職活動も嫌だから耐えてる」
「んー、私はもうちょっとお金貯まったらやめるかな。最近お局がやばくて」
ハナが唐突に、怖い顔をした。
「何がやばいのよ」
「なんかねぇ、うちの課長、ジジィなんだけど昔はモテていただろうなって感じの……なんて言うのかな、イケオジ?私から見たらただのセクハラスレスレなオジなんだけどね。まぁお局以外もジジィが好きみたいな人いるのよ」
ジジィだけどイケオジ??
「ジジィ以外にも結構セクハラジジィ多いんだけどさ、その課長はとにかくお局たちに好かれてて」
セクハラが多い時点でやめたい会社だよ……
「で、ほとんどのオッサンたちは新人を軽く喰える対象に見てるっていうか。三十代後半って若いつもりらしいけど、私たちにしたらオッサンだからね」
まぁ、イケている人もいるにはいるけど、仮にお付き合いしているとかならともかく、関係のないオッサンは、ただのセクハラしてくるオッサンだよ。
「課長も何かといえばしれっと触ってくるし、頻繁に話しかけてくるの。それをお局たちがさ……嫉妬っていうの?あのジジィもわかっててやってるフシがあるよ」
「それはやだぁ……」
巻き込まずに勝手にやっててほしいよね。
「でね、同期でめっちゃ清楚で可愛い、八田さんって子がいるんだけどさ、いじめが苛烈すぎて最近すごくやつれてきちゃって、髪もパサパサになっててかわいそうなんだよ」
ストレスかな。
「この前なんか彼女がロッカー開けたときに急に後ろにに倒れこんで、『いやぁ目がぁ!!ああぁ髪の毛がぁ!!』って泣き叫んだのよ」
え、怖い。いじめどころじゃないヤバい嫌がらせじゃん。
「でもね、私たちがロッカー確認したら髪の毛も目も出てこないのよ」
「何それぇ……」
ハナがその時のことを思い出したのか肩を竦める。
「昨日、彼女から社内メールが来たんだけど、家の外から監視されてるって……ストレスで大変なのかなって思うじゃない?でも最近お局たちもなんか肌が荒れて萎びてるの」
なんだろう。急にいじめの怖い話から違う怖い話になったみたい?
続く
20
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【流血】とある冒険者ギルドの会議がカオスだった件【沙汰】
一樹
ファンタジー
とある冒険者ギルド。
その建物内にある一室、【会議室】にてとある話し合いが行われた。
それは、とある人物を役立たずだからと追放したい者達と、当該人物達との話し合いの場だった。
それなりに怖い話。
只野誠
ホラー
これは創作です。
実際に起きた出来事はございません。創作です。事実ではございません。創作です創作です創作です。
本当に、実際に起きた話ではございません。
なので、安心して読むことができます。
オムニバス形式なので、どの章から読んでも問題ありません。
不定期に章を追加していきます。
2026/2/15:『ねこ』の章を追加。2026/2/22の朝頃より公開開始予定。
2026/2/14:『いけのぬし』の章を追加。2026/2/21の朝頃より公開開始予定。
2026/2/13:『てんじょうのかげ』の章を追加。2026/2/20の朝頃より公開開始予定。
2026/2/12:『れいぞうこ』の章を追加。2026/2/19の朝頃より公開開始予定。
2026/2/11:『わふく』の章を追加。2026/2/18の朝頃より公開開始予定。
2026/2/10:『ふりかえ』の章を追加。2026/2/17の朝頃より公開開始予定。
2026/2/9:『ゆぶね』の章を追加。2026/2/16の朝頃より公開開始予定。
※こちらの作品は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで同時に掲載しています。
義兄のために私ができること
しゃーりん
恋愛
姉が亡くなった。出産時の失血が原因だった。
しかも、子供は義兄の子ではないと罪の告白をして。
入り婿である義兄はどこまで知っている?
姉の子を跡継ぎにすべきか、自分が跡継ぎになるべきか、義兄を解放すべきか。
伯爵家のために、義兄のために最善の道を考え悩む令嬢のお話です。
保谷むつみの事件簿と様々な混合物
鬼野宮マルキ
ホラー
霊媒師・保谷むつみの活躍を中心に1話完結型の作品。
メイン・ジャンルはホラー、そしてファンタジー、ハードボイルドなどを掲載。
色んな小説のプロトや初期原稿も含む。
日本語非ネイティブなため、ほんの少しでも「面白い」や「続きが読みたい」と思っていただけたら、応援、コメント、指摘、ダメだし等々をいただけたら、すごく作者の励みになります。
よろしくお願い申し上げます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる