9 / 15
8
しおりを挟む
「・・・芙蓉は見受け先に行ったぞ」
あれから数日経って、蘇芳が知らせに来た。
宴の話も何も聞か無かったな。ケチ臭い旦那に当たったなぁ。
「そうかよ」
蘇芳が自分で茶を入れて手土産に持ってきた菓子を頬張る。
「何も聞かんのか?」
「聞いてどうする。」
銀時が調べるって言ってたが何か分かっても知らせてこないなら手出しさせたくないんだろ?
「わかってんならいい。しばらくは常盤屋の周辺に出向くなよ?」
お前も銀時も過保護だな。
「ふん、依頼が入ったら行くしかねぇだろ?蜻蛉屋や蝸牛楼にも上客がいる」
花町は並びで建ってるんだから通りの店を避けたら飯が食えんだろうが。まぁすぐさま食い詰めるほど貧しくもねぇがよ。
「お前の腕ならもう大店に卸すだけで良い稼ぎだろ?」
いい評価されるのは嬉しいが。
「お客が望むものを直接聞いて喜ぶ顔を見るのがいいんだよ」
据え置きや卸用だって別に手を抜いたりしてねぇが、客とのやり取りの中で出てくるモンもある。
「仕事に口出す気はないが他の店に行くにしても気をつけろよ。お前は迂闊に手を出す心配はねぇが巻き添えが出ないとも限らんよ」
「へぇへぇ」
ここ数日、助左が大人しくて良かったのにこうるせぇこった。
「憂さ晴らしに抜きてぇって言うんなら俺がしてやるから大人しくしてな?」
からかい混じりに言われて側にあった大福の包みを投げてやった。まぁ軽く受け取られた。
そこまで若くも青くもねぇわ。
戸口から軽い音がして見やると、お蝶さんが声をかけてきた。
「お邪魔だった?」
「邪魔じゃないよ。どしたい?」
なぜ蘇芳が迎え入れるんだよ!
「うちに稽古に来てくれる娘がね、竜さんに渡してくれって」
手拭いに何か包んだ物を渡された。
「常盤屋の雛菊ちゃんってね、芙蓉さんが世話してた新造なのだけど」
常盤屋と聞いて蘇芳が眉を寄せる。
「お蝶さん、その子は慌てた様子だったかい?」
「いいえ?いつでも良いからって預かったと聞いたわ」
蘇芳が目で促して来たので包みを開く。
綺麗な色合いの組紐が出て来た。
手紙も添えられていたが組紐を託した経緯が書かれているだけで何か問題があったと言う内容では無かった。気持ちホッと息を吐いた。
「・・・東の方の組み方だな」
なんでも詳しいのな、蘇芳。
「この辺りのとは違って面白い柄ねぇ」
「随分前に手に入れたけど仕舞い込んでて忘れてたんだと。似合いそうだからどうぞってな」
本当はもっと細々書かれているが、個人的な事を話す気は無い。
「確かに似合うわねぇ、美人さんが増すわ」
ニコニコと蘇芳に出された茶と菓子を食う。
「男が美人になっても仕方ねぇだろ」
お蝶さんはいつもこんな感じでちょいと抜けた雰囲気だ。
「うふふ、竜さんが美人さんだと私の目が幸せよ?」
俺を欲の籠った目で見ないしさっぱりした性格で付き合いやすい人だがこう言った冗談を良く言うのが玉に瑕。
また戸口から気配がして視線をやってみれば、不機嫌そうな銀時がいた。
無言で入って来て寛ぐのは構わないが流石に四人も居ると狭いな。
トリは今どこに預けてるんだ?
あれから数日経って、蘇芳が知らせに来た。
宴の話も何も聞か無かったな。ケチ臭い旦那に当たったなぁ。
「そうかよ」
蘇芳が自分で茶を入れて手土産に持ってきた菓子を頬張る。
「何も聞かんのか?」
「聞いてどうする。」
銀時が調べるって言ってたが何か分かっても知らせてこないなら手出しさせたくないんだろ?
「わかってんならいい。しばらくは常盤屋の周辺に出向くなよ?」
お前も銀時も過保護だな。
「ふん、依頼が入ったら行くしかねぇだろ?蜻蛉屋や蝸牛楼にも上客がいる」
花町は並びで建ってるんだから通りの店を避けたら飯が食えんだろうが。まぁすぐさま食い詰めるほど貧しくもねぇがよ。
「お前の腕ならもう大店に卸すだけで良い稼ぎだろ?」
いい評価されるのは嬉しいが。
「お客が望むものを直接聞いて喜ぶ顔を見るのがいいんだよ」
据え置きや卸用だって別に手を抜いたりしてねぇが、客とのやり取りの中で出てくるモンもある。
「仕事に口出す気はないが他の店に行くにしても気をつけろよ。お前は迂闊に手を出す心配はねぇが巻き添えが出ないとも限らんよ」
「へぇへぇ」
ここ数日、助左が大人しくて良かったのにこうるせぇこった。
「憂さ晴らしに抜きてぇって言うんなら俺がしてやるから大人しくしてな?」
からかい混じりに言われて側にあった大福の包みを投げてやった。まぁ軽く受け取られた。
そこまで若くも青くもねぇわ。
戸口から軽い音がして見やると、お蝶さんが声をかけてきた。
「お邪魔だった?」
「邪魔じゃないよ。どしたい?」
なぜ蘇芳が迎え入れるんだよ!
「うちに稽古に来てくれる娘がね、竜さんに渡してくれって」
手拭いに何か包んだ物を渡された。
「常盤屋の雛菊ちゃんってね、芙蓉さんが世話してた新造なのだけど」
常盤屋と聞いて蘇芳が眉を寄せる。
「お蝶さん、その子は慌てた様子だったかい?」
「いいえ?いつでも良いからって預かったと聞いたわ」
蘇芳が目で促して来たので包みを開く。
綺麗な色合いの組紐が出て来た。
手紙も添えられていたが組紐を託した経緯が書かれているだけで何か問題があったと言う内容では無かった。気持ちホッと息を吐いた。
「・・・東の方の組み方だな」
なんでも詳しいのな、蘇芳。
「この辺りのとは違って面白い柄ねぇ」
「随分前に手に入れたけど仕舞い込んでて忘れてたんだと。似合いそうだからどうぞってな」
本当はもっと細々書かれているが、個人的な事を話す気は無い。
「確かに似合うわねぇ、美人さんが増すわ」
ニコニコと蘇芳に出された茶と菓子を食う。
「男が美人になっても仕方ねぇだろ」
お蝶さんはいつもこんな感じでちょいと抜けた雰囲気だ。
「うふふ、竜さんが美人さんだと私の目が幸せよ?」
俺を欲の籠った目で見ないしさっぱりした性格で付き合いやすい人だがこう言った冗談を良く言うのが玉に瑕。
また戸口から気配がして視線をやってみれば、不機嫌そうな銀時がいた。
無言で入って来て寛ぐのは構わないが流石に四人も居ると狭いな。
トリは今どこに預けてるんだ?
0
あなたにおすすめの小説
数年振りに再会した幼馴染のお兄ちゃんが、お兄ちゃんじゃなくなった日
プリオネ
恋愛
田舎町から上京したこの春、5歳年上の近所の幼馴染「さわ兄」と再会した新社会人の伊織。同じく昔一緒に遊んだ友達の家に遊びに行くため東京から千葉へ2人で移動する事になるが、その道中で今まで意識した事の無かったさわ兄の言動に初めて違和感を覚える。そしてその夜、ハプニングが起きて………。
春にぴったりの、さらっと読める短編ラブストーリー。※Rシーンは無いに等しいです※スマホがまだない時代設定です。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる