ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む

紫楼

文字の大きさ
224 / 787
三章

218話 怒られ……なかった ★

 私の足取りはボーナスが出なかったサラリーマンより重い……なんてことはなく、いつも通りジェイクの抱っこで帰宅なのです。

 ポーションは五本分、あとはアズライト達が全部飲んでくれた。確か三十本くらいは取れたはずだから、二十五本分くらい飲んでくれた。
 普通に特級、最上級を作ったら一回で一、二本らしいから改めてとんでもない。
 入手困難な素材使うより魔力ゴリ押しの方が量が出来ちゃう?古代竜の涙とか入手は無理……ん?

 (アズライト、ちょっと涙をくれない?)
『いきなり何を言うておるのかの?』
 (確か極上級ポーションの素材に古代竜の涙ってのがあったよ)
『それは不可能な話だの、我のような偉大な古代竜が涙を流すことなどそうそうあるものか。担がれたんじゃないのかの?』
 (だよね?だって焰獄鳥の肝ってのも眉唾だよね)
『燃え盛る火山にいる魔獣を捕獲するのも捌くのも人間には無理じゃの。しかも死んだら炎になって消えるから内臓どころか骨も残らぬよの』
 (作れない物を依頼されて腹立ち紛れに入手出来ないものを書き出した感じだね)

 だとすると超級も嘘っぽいなぁ。まぁ作る気はないけど。

 現実逃避で現実的ではないことを考えてたら屋敷に着いちゃった。

 そろそろジュリアスさま達が帰ってくる時間なので玄関ホールで待機しようと思ったら、ディディエの事を思い出した。
 いきなり成長しちゃった事はルルゥに報告しないとダメだよね。

「アラン、ルルゥと話をしなきゃ」
「そうですね」

 流石に夕食の準備中だから後の方がいいかな?

「あらなぁに?内緒話かしらぁ?」

 ルルゥ登場、……食べ物絡みじゃなくても鼻がいいのか。

「あのね。ディディエが成長しちゃった」
「あらぁ?雛なんだから育つのはいい事じゃない?」
 ニーナが抱っこしていたディディエを渡すとちょっと固まった。

 まぁ、そうなるよね。サイズはあんまり変わってないけど羽毛が消えちゃってミニトカゲの羽がついてるバージョン。ぽっこりしてたお腹は羽毛だったのかな。
 鳥の部分どこだ?普通にドラゴンじゃ?みたいなさ。
 竜鳥って鳥(・)ってついてるけど口は嘴じゃないし、鳥って部分が羽ついてるってことだけ。あと成長が私が両手で抱えられるくらいのサイズで落ち着いちゃうっていう。謎生物。
 今回のレベルアップ?で羽毛が消えてより恐竜チックな怪獣チックな仕上がりに。

「まぁ!毛ないわねぇ、つんつるてんねぇ」

 禿げたみたいに言うのはやめて差し上げて下さい。

「ピキャー」

 ルルゥを見つめて嬉しそうにスリスリ。ちゃんと主従なのねぇ。

 ほっこりしてたんだけど、私の処刑台行きは刻々と近づいてる。

 お義母さまもお迎えに出てきて、「リーシャちゃんおかえり」ってハグしてくれた。

 門の方から声がして気配が近付いてくるよ。
 BGMはサメ映画のアレ。

 デーデンデーデンデーデン。 
 シャークが来るよぉ~!

 デーデデデデデン!

 侍従が扉を開けて迎え入れる。

 (きゃーーーー!ヘルプミー!!オーマイガ!オーマイガ!)

 悪ノリしました。
 ジュリアスさまの顔を見てちょっと落ち着きました。

「ジュリアスさま、おかえりなさい」
「顔色が悪いな?どうした?」

 私の些細な顔色にも気がついてくれる素敵な旦那さま。

 その旦那さまの後ろには……

「何かやらかしましたか?」

 ヒィー!やっぱり無理ー。
 綺麗な弧を描いたような微笑みを浮かべたサーキスさまが近寄ってきた。

「早く楽になりましょうね」

 その楽(・)は極楽行きでしょうか?

 居間に連行された私はジュリアスさまの横にちょんと座って。
 蛇に睨まれたカエルの気分。
 ルルゥもディディエのことがあるから話を聞くためについて来てる。

 アランとジェイクが状況を説明してくれてた。

「はぁ。なぜ下級が特急になるのか全くわかりませんが、わざとじゃないのはわかりました」
 サーキスさま、ポーションを手に取って光に透かして見て、頭痛が痛いみたいになってる。それ、飲んでもいいですよ?

「そしてこれを山ほど飲んだと……」

 私にくっついていたアズライトをジロリと見る。

「これ一本でオークションに出しますとおそらく最低白金貨一枚はしますよ」
 白金貨は確か日本円だと一千万円?
 一般的な庶民の年収は銀貨五十枚くらい……
 銀貨は一万円相当で金貨は百万だっけ。

 誰が買うんだ。

 アズライト達が飲んだの白金貨二十五枚分!すっご!めっちゃ年代物のワインたくさん飲めた!

 特級ってそんな高いんだ。

「リーシャさま、これは騎士団が一本白金貨一枚で五本引き取らせて頂きたい」
「え?お金は要らないですよ」
「ダメです。これだけのものを無償で出しては世の理が崩れます。上乗せはできませんが口座に入金しておきますね」

 クソ真面目か。たまたま出来ちゃっただけなのに。

「ところでこんなすごい物を作って貴方の体調は大丈夫なのですか?」

「魔力をたくさん使ってスッキリですよ?」

「それは良かったですね」
 
 あれ?なんか怒ってないっぽい。

「ですが、くれぐれも外部に特級ポーションが作れるなんて知られてはいけません。誘拐されて監禁されポーション製造機にされますよ」

 うげ。そんなのは嫌なのでもう作らないよ。

「しかしヘドロポーションが出来なくなってしまいましたか。困りましたね。便利でしたのに」

 あれ?一体何に使ってたんだろう?
 サーキスさまがちょっと悪い笑みをしたよ。

「何かいいアイデアがあると良いのですが」

 それは私も元クソ親父のためにどうにかしたいよ。

「ポム達がレベルアップしたのは困ったわねぇ。食い逃げが今までより上手くなっちゃいそうねぇ」

 ルルゥがそんなことを呟いたので気が抜けて解散になった。
 断頭台はとりあえず回避だ。

 ジュリアスさまとお部屋で着替えてると、
「魔力が不安定じゃなくなったから急変の心配が無いからな。ルークも安心したんだろう」って。
 どんだけか弱い生き物だったの私……
 夕食後にルルゥに丸投げしといた栗が出てきた。

 マロングラッセが出来たみたい。
 お酒で漬けたのとノーマルの。
 私はもちろんお酒の方。

 ルルゥがちゃんと栗に合うブランデーを使ったみたい。
 おいしー。
 噛み締めてる間にどんどんなくなっていく。

「これはいいな」
 ジュリアスさまもお酒の方が気に入ったみたい。

 ポム達にはノーマルな方でアズライトはお酒の方。

「あらあら、これはすぐ無くなりそうねぇ」

「「「キュ⁉」」」

 ほっぺにいっぱい蓄えてたポムとティムがガーンとなってから外に行っちゃった。

『池の島に行くのであろうの』
 ああ、魔法で育てて回収するのか。

「ルルゥ、ポム達が池にグ◯コ採りに行くみたい」
「あらぁそれは素敵ね☆」

 今までよりレベルが上がったからさらに豊作かも?

「よし!僕も池に行く~」
「ワシも行こうかの」
 クラウスさまとお義父さまが張り切って出て行っちゃった。

『やれやれ、今夜は騒がしかろうの』

 アズライトは食べるだけ食べて池に行っちゃった。
感想 6

あなたにおすすめの小説

【完結】憧れのスローライフを異世界で?

さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。 日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

【完結】旦那様、どうぞ王女様とお幸せに!~転生妻は離婚してもふもふライフをエンジョイしようと思います~

魯恒凛
恋愛
地味で気弱なクラリスは夫とは結婚して二年経つのにいまだに触れられることもなく、会話もない。伯爵夫人とは思えないほど使用人たちにいびられ冷遇される日々。魔獣騎士として人気の高い夫と国民の妹として愛される王女の仲を引き裂いたとして、巷では悪女クラリスへの風当たりがきついのだ。 ある日前世の記憶が甦ったクラリスは悟る。若いクラリスにこんな状況はもったいない。白い結婚を理由に円満離婚をして、夫には王女と幸せになってもらおうと決意する。そして、離婚後は田舎でもふもふカフェを開こうと……!  そのためにこっそり仕事を始めたものの、ひょんなことから夫と友達に!? 「好きな相手とどうやったらうまくいくか教えてほしい」 初恋だった夫。胸が痛むけど、お互いの幸せのために王女との仲を応援することに。 でもなんだか様子がおかしくて……? 不器用で一途な夫と前世の記憶が甦ったサバサバ妻の、すれ違い両片思いのラブコメディ。 ※5/19〜5/21 HOTランキング1位!たくさんの方にお読みいただきありがとうございます ※他サイトでも公開しています。 【無断転載・AI利用禁止 / No Unauthorized Use or AI Training】 本作品の無断転載・複製・AI学習利用を禁じます。 Unauthorized reproduction or use for AI training is strictly prohibited. © 魯恒凛 / RoKourin

転生皇女セラフィナ

秋月真鳥
恋愛
公爵家のメイド・クラリッサは、幼い主君アルベルトを庇って十五歳で命を落とした。 目覚めたとき、彼女は皇女セラフィナとして生まれ変わっていた——死の、わずか翌日に。 赤ん坊の身体に十五歳の記憶を持ったまま、セラフィナは新しい人生を歩み始める。 皇帝に溺愛され、優しい母に抱かれ、兄に慈しまれる日々。 前世で冷遇されていた彼女にとって、家族の愛は眩しすぎるほどだった。 しかし、セラフィナの心は前世の主・アルベルトへの想いに揺れ続ける。 一歳のお披露目で再会した彼は、痩せ細り、クラリッサの死を今も引きずっていた。 「わたしは生涯結婚もしなければ子どもを持つこともない。わたしにはそんな幸福は許されない」 そう語るアルベルトの姿に、セラフィナは決意する。 言葉も満足に話せない。自由に動くこともできない。前世の記憶を明かすこともできない。 それでも、彼を救いたい。彼に幸せになってほしい。 転生した皇女が、小さな身体で挑む、長い長い物語が始まる。 ※ノベルアップ+、小説家になろうでも掲載しています。

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています

かきんとう
恋愛
 王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。  磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。  その中心に、私は立っていた。  ――今日、この瞬間のために。 「エレノア・フォン・リーベルト嬢」  高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。

誘拐された公爵令嬢ですが、なぜか皇帝に溺愛されています』

富士山麓
恋愛
舞踏会で王太子から婚約破棄を告げられそうになった瞬間―― 目の前に現れたのは、馬に乗った仮面の皇帝だった。 そのまま攫われた公爵令嬢ビアンキーナは、誘拐されたはずなのに超VIP待遇。 一方、助けようともしなかった王太子は「無能」と嘲笑され、静かに失墜していく。 選ばれる側から、選ぶ側へ。 これは、誰も断罪せず、すべてを終わらせた令嬢の物語。

【完結】モブなのに最強?

らんか
恋愛
 「ミーシャ・ラバンティ辺境伯令嬢! お前との婚約は破棄とする! お前のようなオトコ女とは結婚出来ない!」    婚約者のダラオがか弱そうな令嬢を左腕で抱き寄せ、「リセラ、怯えなくていい。私が君を守るからね」と慈しむように見つめたあと、ミーシャを睨みながら学園の大勢の生徒が休憩している広い中央テラスの中で叫んだ。  政略結婚として学園卒業と同時に結婚する予定であった婚約者の暴挙に思わず「はぁ‥」と令嬢らしからぬ返事をしてしまったが、同時に〈あ、これオープニングだ〉と頭にその言葉が浮かんだ。そして流れるように前世の自分は日本という国で、30代の会社勤め、ワーカーホリックで過労死した事を思い出した。そしてここは、私を心配した妹に気分転換に勧められて始めた唯一の乙女ゲームの世界であり、自分はオープニングにだけ登場するモブ令嬢であったとなぜか理解した。    (急に思い出したのに、こんな落ち着いてる自分にびっくりだわ。しかもこの状況でも、あんまりショックじゃない。私、この人の事をあまり好きじゃなかったのね。まぁ、いっか。前世でも結婚願望なかったし。領地に戻ったらお父様に泣きついて、領地の隅にでも住まわせてもらおう。魔物討伐に人手がいるから、手伝いながらひっそりと暮らしていけるよね)  もともと辺境伯領にて家族と共に魔物討伐に明け暮れてたミーシャ。男勝りでか弱さとは無縁だ。前世の記憶が戻った今、ダラオの宣言はありがたい。前世ではなかった魔法を使い、好きに生きてみたいミーシャに、乙女ゲームの登場人物たちがなぜかその後も絡んでくるようになり‥。    (私、オープニングで婚約破棄されるだけのモブなのに!)  初めての投稿です。  よろしくお願いします。